デジタルキャンプファイヤーを振り返る - 企画編 -
こんにちは。お久しぶりです。
今日はデジタルキャンプファイヤー誕生の背景について話していこうと思います。
コロナで案件が止まった、しかも商材がないやん
デジタルキャンプファイヤーの企画の始まりは、コロナが猛威をふるい緊急事態宣言が出た2020年の春頃に遡ります。
弊社は収益の大部分は受託開発費でした。中でも多かったのは、リアルの世界にバーチャルの世界を重ねるAR系の案件で、店舗やイベント会場に直接集まったユーザーを対象にしたプロダクトでした。しかし、コロナでイベント系のXR開発は軒並み凍結するという事態になりました。
イベント系以外のXRシステム開発案件には複数関わらせて頂いていたのですが、クライアントワークの事情で実績詳細はアピールしづらい、自社製品はまだ商材といえる状態になっておらず、新規営業もできない、という立ち往生状態。おのずと、「この先どうすべきか…」と考え出しました。
振り返ると2020年の半分くらいの時間は、組織やヒトの内側、深層の部分の掘り下げに徹底的に使っていました。コーポレートアイデンティティの見直し、ミッション、ビジョン、行動指針の見直し、VUCA時代における働く意味、会社のあり方etc…。
過去の経済危機は被雇用者側で乗り切ってきましたが、今回の危機は経営者側。難しく、慣れない状況ではありましたが、受託中心の会社から抜け出すキッカケと前向けに考えるようにしました。雇用を維持し、技術力、経験を蓄積しようと経営者としての目標を立てたのも同時期です。
コロナで案件が止まった、商材作るで
危機的状況はいつか終わる。それまで腹くくって自社開発に注力しよう。
(だけどキャッシュ限界あるので2020年末までな)
と週次会議でメンバーに伝えました。その時在籍していたのはそれなりに社会人歴長いメンバーばかりだったので、何か感じとってくれたのではないかと思います。
そして、メンバーで意見を出し合い整理していくと、僕たちが興味関心を持っているのは、デジタル空間内でのコミュニケーションの分野だということがわかりました。このテーマになった理由のひとつには、ビデオ会議ツールを使用することで社内コミュニケーションの質が低下したと報じるニュースが気になりだしたという点があります。
また、弊社はコロナ禍前からオフィスレス&フルリモートの会社だったのですが、VRを使った会議やコミュニケーションはしたことがありませんでした。そのため、この分野の技術研究を進めて、実際使いながら、課題発見、改善、経験値を蓄積できれば、スキルアップのためにも良さそうだという側面もありました。
そういった背景を踏まえ、マルチプラットフォーム対応のリアルタイム情報処理技術基盤の開発が始まりました。プロジェクト名は「Chan.Co」にしました。
今となってはOpen XRが進化&整備されたので独自開発必要性はが下がってしまいましたが、当時はまだ統一規格はなく、各社自前で作っているようなフェーズだったと記憶しています。
Chan.Coはテクノロジーファーストで立ち上がったプロジェクトなので、プロトタイプ初期は頭とコントローラーだけのシンプルなアバターでコミュニケーションをしていました。
そこまで出来上がった後は、「世界観を決めよう」という流れになりました。
先の見えないコロナ禍で、心を痛めた人が身近でもおり、安心できるコミュニケーションとは?人間が人間らしく振る舞える空間とは?ということを深く考えてました。
その起源をたどり辿り着いたのは、「原始時代から人の営みの中心に火があったではないか。」という答え。焚き火の効果に注目し人らしく振る舞えるのはオフィスや会議室ではなく自然の中なのではないかと考えました。
だから焚き火だけを流すノルウェー公共放送局の番組が高視聴率になったり、キャンプがブームになったのではないか……?
このようにして点と点がつながっていった結果、テクノロジーファーストで立ち上がったリアルタイム情報処理技術基盤の開発プロジェクトは「デジタルキャンプファイヤー」というVRコミュニケーションアプリ開発へと展開していきました。
気が合う仲間や家族とただ話がしたい、一緒に飯を食いたい、酒を飲み交わしたい。そういう当たり前にしてきたことができなくなっていった2020年。その渇望が、さまざまなアイディアにつながっていきます…。