「バクテン!!」を全日本チャンピオンが徹底解説(最終話)
こんにちは!
早いものでついに最終回ですね…😭
毎週続けてきたこの解説も気づけば12回目!
たくさんの方に読んでいただけて本当に嬉しいです!
では、今週も張り切って解説していきます💪
これまでの解説はこちら↓
監督の苦悩
今回の中心は志田先生といってもいいくらい、監督の苦悩がわかるお話でしたね。
僕自身、新体操の指導者・監督の経験はありませんので、完璧に志田先生の気持ちを理解することはできません…。
しかし、たくさんの怪我(自分のものもチームメイトのものも)と戦ってきたので、少し共感できる部分もありました。
試合が終わった帰り道、
「(責任を取ることに対して)そこまで覚悟を決めていたんですか?」
と美里に聞かれた志田監督は
「君たちの思いを無視してまで未来を押し付けるのも、何か違うと思ったんだ。例えそれが正しい未来だとしてもね。自分で選んで欲しかったんだ。」
と答えました。
ここ、すごくいいシーンでしたね。
選手たちのことを本気で考え、「あの選択は正しかったのか」といつも考え続けている監督の先生方の苦悩がよく表現されたシーンでした。
確かに、大人が「これが正しい」「こっちに進みなさい」というのは簡単なことかもしれませんが、そうやって進んだ道での経験は大して記憶に残らないし、もしそこで失敗をしたら大きな後悔が残ります。
逆に自分で選んだ道で得た経験は絶対に忘れないですし、そこで大きな失敗をしてしまったとしても、次に進む力になってくれます。
とはいえど、スポーツの場合、その「失敗」が体と結びついているから難しいのは確かです。
ましてや、新体操は危険性が高い上に団体スポーツなので、取り返しのつかない怪我(死亡や下半身付随など)を人に負わせてしまう可能性も大いにあります。
そんな背景があるので、志田監督は馬渕監督に「怒らないんですか?」と聞きましたし、アオ高の部員にも「やっぱり僕は指導者に向いていないみたいだ…」と言ったわけですね…。
いやー、本当に指導者って難しいですね…。
日本のスポーツ指導者の場合は特にですが、「技術を教える/試合で結果を出させる」コーチとしての役割だけでなく、「人間としてどう成長させるか」という教育者としての役割も担っています。
一人一人の人生があって、一人一人の考えがあって…
生徒にとって勝つことだけが学びではないと考えると、判断も難しくなりますよね…。
それにしても、このシーンの絵綺麗でしたね。
緑の稲穂は青春真っ只中の双葉たちを表しているようでしたし、空に描かれた8本の飛行機雲や鳥たちは、みんながこれから先、いろんなことを考えていろんな方向に成長していくことを表しているようでした。
怪我という描写
第11話の放送後、怪我をした双葉を出場させる展開について、「現代には合わない」「悪影響」などとという意見をSNS上で見かけました。
確かに、無理して出場することを美化してしまうのは良くないことかもしれない。
「スポ根」と言われる、現代では古い考え方なのかもしれない。
しかし、アスリートと呼ばれる現実の人間も、みんな大なり小なりの痛みを抱えながら自分のスポーツに全力を注いでいるのです。
もちろん、痛みを気にしないで試合に出られることは誰もが望んでいます。
怪我をしないようにトレーニングを積み、痛みがあるところはしっかり治療をし、万全の状態で試合に出られるよう誰もが努力をします。
しかし、そこまでしても、絶好調の体で試合に出られるのは稀なのです。
双葉が怪我をする展開にしたのは、最終回に向けてドキドキ感を演出するためや志田監督の苦悩を描くためだったのかもしれません。
しかし、例えそうだっとしても、新体操、そしてスポーツのリアルを描いたいい場面だったのではないかなと僕は思います。
※もちろん、怪我した状態で試合に出ることがいいと言っている訳ではありません。
衣装のキラキラ
演技を終えた後、アオ高の選手の呼吸とともに光る衣装のキラキラがとても綺麗でリアルでした!
あれは、スパンコールと呼ばれたり、ラインストーンと呼ばれたりするもの(どちらも別物ですが)で、新体操の装飾には男女問わずよく使われています!
チームによって、親御さんが衣装の装飾をしたり、選手自身がしたり、プロに頼んだり…と様々ですが、あのキラキラがあるだけで衣装の見栄えがかなり変わってきます。
価格自体はそんなに高いものではないので、自分で買って、専用の接着剤で衣装につけているチームの方が多い印象です🤔
ちなみに僕は大学時代、自分たちでキラキラをつけた経験があります。
そんなに難しい作業ではないのですが、とても細かい上に、とんでもない量を貼り付けなくてはいけないので、非常に根気がいります。
装飾中↓
わかりにくいですが、衣装の白い水玉模様に合わせてキラキラを配置していきました↓
そしてこれ、動いているうちによく取れるので、試合会場のフロアマットはこのキラキラがたっくさん落ちているんですよ!
試合後の片付け作業の時に、みんなそれを拾って帰って自分たちの衣装につけるという裏話も公開しておきますね笑
試合後の保護者への挨拶
双葉と美里が病院に行っている間、残りの4名は会場の外で保護者に挨拶をしていました。
「今日は応援ありがとうございました!」
と七ヶ浜が言っていましたが、試合後のああいう風景は実際にもあります!
男子の試合ではよく見る光景なのですが、試合後、観客席まで選手がいき、応援してくれた保護者の方や観客の方にお礼を言いにいくという風習があります。
観客席にお礼を言いにいくと、笑顔で迎えてくれる人もいれば、感動して涙している人もいたりして、そういった応援してくれている人の顔を見れるこの時間は、「あぁ、頑張ってよかったな」と思える、1年間で数回しかないホッとする時間でした。
今は観客を入れての試合がなかなかできませんが、それができるようになった時には、みなさん是非試合を見にきてください!
選手をここまで近くで見れるのは、見にきた人だけの特権ですよ😊↓
試合から帰ってくると…
試合から帰ってきた双葉は、寮の自分の部屋に入った後、
「なんか部屋に入った途端ホッとしちゃって。」
といって少しぼーっとしていましたね。
地方大会は地元・宮城県での開催だったので宿泊はありませんでしたが、基本的に他県で試合が行われる場合は、2泊3日ほどのスケジュールで行くことが多いです。
知らない土地にバスや新幹線、飛行機で移動して、旅館やホテルに部員みんなで泊まる。
まぁ言ってみれば修学旅行のような感覚があるので、試合に行く楽しみの1つではあるのですが…。
結局、寮が一番落ち着くんですよね笑
寮を見れば
「やっと帰ってきたー」と思いますし、
「よし、また頑張ろう」とも思いますし。
昨年、僕は久しぶりに大学の時の寮に行きましたが、「懐かしい」という感情は一切なく、ついこの間までいたかのような感覚がありました。
なんだか寮って特別な空間なんですよ🤔
ちなみにそれは体育館も一緒です。
仲間と切磋琢磨し、苦しみ、もがいた思い出いっぱいの練習場は、いつ行っても「よし、頑張ろう」と思わせてくれる特別な空間です!
㊗️ 映画化!!
さてさてさてさて…!!
このままいくと地方大会でお話し終わっちゃうけど、どうなるの…?
と思っていたところ…
まさかの映画化!!!!
そうですよね、そうですよね😭
インターハイのお話無しで終わるはずがないですよね😭
いやー、感無量です。
本当にありがとうございます。
あの大迫力の演技映像を映画館の特大スクリーンで見られるなんて、これほどの贅沢が他にあるでしょうか…!!
公開時期にもよりますが、僕はおそらく映画館では見られないと思います…😭
なので、僕の分までみなさん映画館まで足を運んで見に行ってくださいね!
いやー、羨ましい…。
まとめ
男子新体操というスポーツに出会い、アニメにしてくださった「バクテン!!」の制作陣の皆様、本当にありがとうございました!
そして、映画まで作っていただき、本当にありがとうございます🙇♂️
アニメを通してたくさんの人に僕たちが愛するスポーツが届いたこと、本当に嬉しく思っています!
この流れに乗っかって、僕たちももっと広める努力をしなくてはいけませんね!
そして、全12回にわたり、僕の解説を読んでくださったバクテンファンの皆様!
本当にありがとうございました!
皆様からいただいたお声の1つ1つが、記事を書く力になりました!
これからも、アニメ「バクテン!!」 、そして男子新体操をよろしくお願いします!🙇♂️
今日も右下のハートボタンを押すのを忘れずに!
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拡散のご協力をよろしくお願いします!🙇♂️✨
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井藤 亘(いとう わたる)
🇺🇸フロリダ ディズニーワールド常設ショー
Cirque du Soleil 「Drawn to Life」
男子新体操アーティスト🤸♀️
個人HPリンク
YouTube:WATARUN VLOG
Twitter:@wataru_cirque
Instagram:@wataru_cirque
・インターハイ団体優勝
・全日本新体操選手権大会団体4連覇
・テレビ東京「年忘れにっぽんの歌」鳥羽一郎コラボ 出演
・BS11「ザ・チーム〜勝利への方程式〜」出演
・TBS「音楽の日」三浦大知コラボ 出演
・Avex主催 「STAR ISLAND」サウジアラビア公演 出演
・中学、高等学校第1種教員免許状
・日本スポーツ協会公認 スポーツリーダー