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【アニメ感想】名探偵コナン 第1132話「円谷光彦の探偵ノート3」

絡み合う糸解きほぐす時、縦横無尽に煌めく推理!
不仲の兄弟、狙われた壺。探偵団が悪事を暴く!
たった一つの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人。
その名は、名探偵コナン!

松田千里さんによる「円谷光彦の探偵ノート」シリーズ、早くも3作目!
前回は2023年9月9日の放送。毎回シャーロック・ホームズの事件が登場するため、シャーロッキアンの私は飛び跳ねて喜んでます。

登場キャラは、江戸川コナン、吉田歩美、小島元太、円谷光彦、灰原哀、高木渉、千葉和伸。



■今週のお話

【登場人物】
結田槙夫(ゆいだ まきお)……78歳。
結田香蔵(ゆいだ こうぞう)……75歳。
木村阿美(きむら あみ)……34歳。


「北米花祭り」の殿様役オーディション(なんだそりゃ)会場前で激しく口論する、結田槙夫・香蔵の老兄弟。
怒った槙夫が帰っていったあと、居合わせた光彦・元太・歩美は香蔵に話を聞く。
香蔵は殿様役を射止めたらしいが、「部屋に入った瞬間、即決だった」と聞いた光彦は、シャーロック・ホームズの『赤毛組合』の話を思い出す。
その話よろしく、外出中に香蔵の家で何者かが悪事を働いているのではないかと勘繰った光彦は、元太・歩美と共に香蔵が住む大きな家を調べまわる。
だが結果は異常なし。
それでも香蔵は久しぶりの来客を歓迎し、碁盤が置かれた縁側で、3人をお茶とお菓子でもてなす。
槙夫と香蔵は、昔から顔を合わせるたび喧嘩する仲らしい。それほど仲が悪い槙夫が、香蔵が受けるオーディション会場にいたのは、彼を見張るためだった。なんでも、ある取り引きについて、二人は揉めているのだという。
その取り引きとは、「槙夫と香蔵が一つずつ所有している同じ壺を、セットで買い取りたい」という内容で、その旨が書かれた手紙が香蔵に送られてきたのだった。
提示額が高かったため二人とも乗り気だったのだが、どちらが窓口になるかで揉めてしまったらしい。
手紙の差出人は「伊尾木田 真由」。
骨董品雑誌に掲載された香蔵のインタビュー記事を見て、手紙を出したと思われる。
その手紙を見た光彦は、差出人の住所が京都府なのに、消印が東京都になっていることに気が付き、取り引きが詐欺なのではないか!と疑う。

一方その頃のコナンと灰原は、光彦たちを探しながらマンションの前を歩いていた。
すると、怪しい男が結田槙夫を尾行していることに気づく。
だが槙夫が自宅マンションに入ると、男は走ってマンションの裏手に曲がり、蕎麦屋の看板と工事中の看板の横を抜けて去ってしまった。
そこに光彦たちが合流する。香蔵の手紙の件で槙夫に会いにきたのだ。
探偵団が槙夫の部屋・401号室を訪ねると、槙夫は玄関で応対する。
玄関には、五重塔の写真や大きな荷物があった。灰原は、下足箱の上の診察券と入院の案内に目をやる。
歩美が「壺を誰かにみせたことがあるか」と聞くと槙夫はそれを否定。
では「伊尾木田 真由」は、どうやって壺がペアであることを知ったのだろう?

槙夫に追い出されてしまった探偵団は、次に槙夫の隣人・402号室の木村阿美にも話を聞く。変わった形のネックレスを下げた、ローテンションの女性だ。
木村は、槙夫とはたまにベランダで旅行や病院の予定などを話す仲だが、彼について詳しくは知らないらしい。
探偵団と話をしながらスマホで窃盗事件の記事を読む木村は、どこか素っ気ない様子。
そんな彼女の指のタコと、ポケットに入っている真っ白の手袋を見て、彼女が漫画家だと言い当てる歩美。珍しく歩美ちゃんが鋭い!?

灰原が窃盗事件の記事を調べると、それは骨董品店などに忍び込み、その場で価値を見極めて高価な品を盗むグループで、3日前にリーダー以外の全員が検挙されたというものだった。
コナンは、通りの向こうにずっと停まっている不審な車に近づく。
車内にいたのは……高木刑事と千葉刑事。
そう、槙夫を尾行していた怪しい男は、警察だったのだ。
警察は、例の窃盗団のリーダーが、このマンションの住人ではないかと考えている。
特に槙夫は、住人の中で一番外出が多く、部屋に生活感がないため疑わしい。
ちなみに槙夫の下の階の部屋は空き部屋で、さらにその下の階にはランチのみ営業の蕎麦屋がある。
高木刑事に双眼鏡を渡す灰原、かわいい。「ハイ」って!

公園で会議する探偵団。
光彦は、香蔵が受け取った「伊尾木田 真由」からの手紙を気にする。
手紙は、窃盗団が捕まったすぐ後に届いている。次のターゲットは香蔵の家なのか……?
香蔵の身を案じた光彦たちは、再度香蔵の家を訪れ、槙夫が自分の壺を狙っているかもしれないということを打ち明ける。
香蔵の部屋は骨董品の収集家らしく、皿や壺がたくさん飾られていて、鑑定用のルーペなどの道具も一式揃っている。
香蔵はついさっき、伊尾木田真由からの二通目の手紙を受け取っていた。「取引に応じる場合は、今晩京都まで来て欲しい」と……。
槙夫は、香蔵の留守中に壺を狙うのかもしれない。
その手紙と光彦たちの報告を踏まえて、香蔵は手紙には従わず、今晩は家で用心することに決めた。

その夜、香蔵の家を張り込む高木刑事。そしてこっそり探偵団も。だが光彦の姿がない。
シーンが省かれてるけど、コナンたちが「香蔵の家が狙われている」って高木刑事たちに報告したんだよね?
光彦はこっそり香蔵の家の敷地に忍び込み、槙夫を待つことに。おいおい光彦!また懲りずに勝手に……!!!
すると、家の勝手口から香蔵が出てきて、警察の目をかいくぐってどこかへ向かう。その先は……槙夫のマンションだった! 光彦も香蔵の後を追う。

その頃、香蔵がいないことに気づいた高木刑事たち。
実の兄が窃盗団のリーダーで、しかも自分の壺を狙っていることが信じられず、香蔵が飛び出したと悟った灰原。
コナンは、「伊尾木田 真由」が「結田 槙夫」のアナグラムだったことから、手紙の差出人は槙夫だと確信していたが……。
槙夫の家にあった写真、荷物、診察券。そして窃盗団の記事、香蔵の家にあったルーペ。これらをすべて合わせて考えると……。

槙夫のマンションの前で彼が出てくるのを待つ香蔵・光彦・千葉刑事。
一向に出てこない槙夫に業を煮やし、説得するために香蔵が電話をかける。
香蔵が「犯人なのか?」と聞くと、槙夫は電話越しに「……弟か。ツケで暮らしていて金が必要だった。打つ手なしだ。こっちには来るな、逆に私が出て行く」と言って電話を切る。
光彦は、槙夫が香蔵のことを「弟」と呼んだことから、部屋にいる別の誰かに、電話相手との関係性を知らせているのでは?と考える。
それを踏まえて、香蔵は「ツケ」が囲碁用語で「敵と隣り合う」という意味だということを閃く。つまり、槙夫は部屋にいる「敵」からの助けを、暗号で知らせたのではないか……。
そして、「逆に出て行く」は裏口を意味するのではないかと考えた光彦は、マンションの裏へ駆け出す。
千葉と香蔵が槙夫の部屋に突入すると、槙夫は中で倒れていた。壺で頭を殴られたようだ。
意識を取り戻した槙夫が、顛末を証言する。
槙夫はベランダにいた犯人と遭遇したが、そこに香蔵からの電話がかかってきたため「犯人が逃げる時間稼ぎをする」とごまかして、咄嗟に暗号を伝えたのだ。
香蔵を信じて暗号を伝えた槙夫。槙夫の身を案じた香蔵。二人は手を取り合う。

そんな槙夫の部屋の上から、避難はしごを伝って降りてくる怪しい人影。
光彦がその行く手を阻む。人影の正体は、木村阿美だった。
木村は漫画家ではなく、窃盗団のリーダーだと言い当てる光彦。
手袋は汚れていなかったし、ネックレスは盗む物の価値を見極めるためのルーペ。指のタコはそのルーペでできたものだった。
今回の光彦、推理力がカンストしてないか!?
そこにコナンたちが加勢。光彦を人質にして逃げようとした木村にコナンのサッカーボールが命中し、窃盗団のリーダーはお縄になった。

そして、探偵団のもとに集まる槙夫・香蔵。
木村が警察の監視の中でどうやって出入りしたか、を聞かれたコナンは、光彦に推理の披露役を譲る。
木村は仕切り壁を破って隣室である槙夫のベランダに侵入した。
そして逃走時は、槙夫のベランダの避難はしごで下まで降りる。
3階は空き部屋だし、2階の蕎麦屋は夜は営業していないので、そのまま降りることが可能だ。しかも、通りは工事中のため、警察が張り込めていなかった。おいおい、警察ザルすぎない?
槙夫から今晩旅行に行くと聞いていた木村は侵入を実行したが、忘れ物をした槙夫が戻って来たため、ベランダにいたところにバッタリ遭遇したのだ。

槙夫が「伊尾木田 真由」を騙った手紙を出したのは、香蔵を京都旅行に誘いたかったからだった。
後日、そんな二人の旅行写真を見る探偵団。
光彦はその写真をしおり代わりにノートにはさみ、次なる謎への期待に胸を膨らませるのだった。



■今週の感想

今回、めちゃくちゃ詰め詰めだったな~!! 爪爪爪だな!!!
窃盗団のリーダーが誰か、「伊尾木田 真由」が誰か、犯人の逃走ルート、槙夫の暗号……。要素が多い!

結局、よく分からなかった点も多いし……。
例えば槙夫の入院。えっと、入院が迫ってて時間がとれなくなるから、その前に香蔵と旅行に行きたかった、ってことかな?

あと、槙夫が「伊尾木田 真由」を騙った理由。
京都旅行に誘いたいのに、壺云々はいるかなぁ……。そしたら香蔵が旅行に壺持ってきちゃうじゃん。
お金を貰えるつもりではるばる京都まで来たのに、いざ来てみたらそれが貰えず、待っていたのが槙夫!ってなったら、香蔵が逆上しちゃうと思うけど。

木村の逃走ルートも、なんだかザルというか……。工事している程度で張り込みをサボっちゃあ困りますよ警察。


でも、面白い部分もいっぱいあった!
これまでの「円谷光彦の探偵ノート」は、光彦が先走ってピンチに陥り、コナンが助ける、という展開でした。
でも今回は文句を言わせぬ大活躍! 今回の光彦、推理力にバフがかかってましたね!(木村を「漫画家」だと指摘した歩美ちゃんもスゴかった!)

松田千里さん、こんなに濃密なお話が書けるのならば、松田さんの前後編もいつか見てみたいな~!!!

ところで、ネクストコナンズヒントの後のコナンくんのセリフ、なんでこんなありきたりなヤツなんだ……?
突然どうしちゃったの……?



■小ネタ

・『赤毛組合』

アーサー・コナン・ドイルによる、シャーロック・ホームズシリーズの一篇。(原題、The Red-Headed League)
最初の短編集『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されていて、一番有名なホームズ作品といってもいいかもしれません。

コナクラにとっては、53巻・FILE.10「不可思議なバイト」で登場するため、知名度が高いはず。

ただしこの時の邦題は『赤毛連盟』。今回、光彦の口から出たのは『赤毛組合』。
国内で流通している多くの邦題は『赤毛組合』の方で、調べたところ『赤毛連盟』の邦題が使われているのはハヤカワ文庫・偕成社などが確認できました。


・名探偵コナン メイン・テーマ(天空組曲ヴァージョン)

コナンがキック力増強シューズでボールを蹴るシーンに、メインテーマ天空の難破船verが使用されました。
アニコナでの使用率が高い曲! メイン部分以外はかなりイレギュラーな編成で、唯一無二のメインテーマです。



■固有名詞

・北米花祭り

詳細は不明だが、「殿様役」が存在するお祭り。
オーディションは公民館で行われた。

「北米花」という地名が登場した記憶はないのですが……、第320話のアニオリ『忍法アリバイ工作の術』では、「米花北公園」という場所が登場します。

・米花町

結田香蔵の住所は、東京都米花町1丁目132番地
ひゃ、ひゃくさんじゅうに番地!?

・月刊骨董品

結田香蔵のインタビュー記事が載った雑誌。「コレクター探訪」のコーナーがある。

・千条町

香蔵に手紙を出した「伊尾木田 真由」の住所は、京都府京都市東山区千条町8丁目3番地。
「~東山区」までは実在する地名で、千条町は架空の地名。

・梅松庵

槙夫が住むマンションの2階にある蕎麦屋。
最近はランチ営業のみで、夜は閉業している。

・米花総合病院

槙夫が入院する予定の病院。

初出は3巻・FILE.8「同一人物」。小五郎の依頼人・小川雅行医師が務めている大きな病院です。

そして25巻から26巻にかけて、洞窟内で撃たれたコナンが入院したのも、米花総合病院。



■今週のゲスト声優について

ゲスト声優は、窃盗犯:村上裕哉さん、結田槙夫:大川透さん、結田香蔵:二又一成さん、木村阿美:神田朱未さん。

結田兄弟の弟・香蔵の声は二又一成さん。
優しくて少し頼りないキャラを演じることが多いベテラン声優さんで、代表作は『サザエさん』三郎、『めぞん一刻』五代裕作、『キン肉マン』キン骨マンなど。
これでコナンには9回目の出演! 中でも印象的だったのは、阿笠博士の初恋回での蝶野晴男くんでしょうか……。

結田兄弟の兄・槙夫の声は大川透さん。
『鋼の錬金術師』ロイ・マスタング、『ひぐらしのなく頃に』富竹ジロウ、『ジョジョの奇妙な冒険』ナレーションなどで活躍されているベテラン声優さんです。低く落ち着いたお声で、頼りがいのある年上キャラやおじさんキャラを演じていらっしゃいます。一時期、お病気のために休養されていました。
コナンで大川透さんといえば、佐藤刑事のお父さん・佐藤正義を思い出す方も多いのではないでしょうか!

今回の犯人役は神田朱未さんでした!
神田さんといえば、『CLANNAD』の藤林椋、『魔法先生ネギま!』の神楽坂明日菜、『D.C.~ダ・カーポ~』の天枷美春など、2000年代のいわゆる「ギャルゲー」の常連声優さん。
コナンにはこれで3回目の出演で犯人役は初。初出演時の三沢真央役は印象的でした。



■スタッフ・キャスト

【脚本】松田千里
【絵コンテ】奥澤明裕
【演出】戸澤稔
【作画監督】佐々木恵子

【声の出演】
 江戸川コナン:高山みなみ


 円谷光彦:大谷育江
 吉田歩美:岩居由希子
 小嶋元太:高木渉

 灰原哀:林原めぐみ


 高木刑事:高木渉
 千葉刑事:千葉一伸
 窃盗犯:村上裕哉


 結田槙夫:大川透
 結田香蔵:二又一成

 木村阿美:神田朱未

【サブキャラクターデザイン】斉藤千恵
【デザインワークス】小川浩

【原画】スタジオ・ブーメラン/柏原英里花/大原淳/久木理恵/黒沢裕一/瀬戸優貴/川崎真穂/髙橋ひとみ



■【今週のおすすめ】『黒眼鏡の楽団』ロバート・L・フィッシュ

『シュロック・ホームズの冒険』ロバート・L・フィッシュ著/深町眞理子・他訳/早川書房

今回はシャーロック・ホームズの『赤毛組合』モチーフのお話ということで、ロバート・L・フィッシュが1960年に発表した『黒眼鏡の楽団』(原題:The Adventure of the Spectacled Band)という短編をご紹介! 登場するのはシャーロック・ホームズ……ではなく、その名も「シュロック・ホームズ」。シャーロック・ホームズのパロディー作品です。シュロックとは「三文」の意味で、口調や性格はホームズそのものなのですが、肝心の推理力がその名の通り「三文」なのです。

シュロック・ホームズのもとに、ジェイバーズ・ウィルスンという薬の卸売り人から電報が届く。なんでも、「近眼の登山家たち」という集団が奇妙な行動をとっているのだという。ウィルスン氏に話を聞くと、「近眼の登山家たち」は、彼の貸倉庫を利用している楽団だった。みな黒眼鏡に汚いオーバーオールを来ていて、倉庫の中で楽器を演奏している。演奏の練習のためだけに、高い賃料を払っていることを怪しんだウィルスン氏は、ホームズに相談に来たのだ。そしてホームズは助手役のワトニイを連れて、その倉庫に向かう。

……というお話。ウィルスン氏訪問の前に、ワトニイの心中をズバリ言い当てるホームズ。でもその推理はちょこっと間違っていました。そして謎の楽団の暗躍に、ホームズとワトニイがとった行動のオチが……。クスリと笑える一篇です。


光彦「Next Conan's HINT!」
コナン「暖炉!」
コナン「次回の名探偵コナンもお楽しみに! 真実は、いつも一つ!」

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