【アニメ感想】名探偵コナン 第1134話「ポジティブ男の災難」
今回の脚本担当は扇澤延男さん! 登場する人名前や地名でわかるなあ。
登場キャラは、江戸川コナン、目暮十三、吉田歩美、小嶋元太、円谷光彦、高木渉、灰原哀。
■今週のお話
【登場人物】
間小吉(はざま しょうきち)……29歳。小説家志望
今泉照代(いまいずみ てるよ)……66歳。アパートの大家
小宝粘二(こだから ねんじ)……32歳。間の隣人
多羅尾靖(たらお やすし)……30歳。ユスリの常習犯
間大吉(はざま だいきち)……29歳。小吉の双子の兄
買い物帰りの、間小吉という細身の男性と話しながら歩く少年探偵団。
彼は小説家志望で、務めていた会社が潰れた時でも「神様が執筆の時間を増やしてくれた!」と考えたという。
そんな彼を、歩美は「すごく前向きだねー」と形容するが、灰原とコナンは苦笑い。
すると、間のアパートの前で何やら口論する二人が目に入る。
それは大家の今泉照代と、小吉の隣人の小宝粘二だった。
小宝の部屋に空き巣が入ったのだが、今泉が警察を呼ぶことに反対し、対立しているようだ。
今泉が反対する理由は、おそらくアパートの評判が落ちるから。だが小吉に説得され、結局警察に通報することになる。
ところがやってきた警察は隣人である小吉を疑い、念のため指紋を採取する。
翌日(日曜)、空き巣事件の動向が気になってアパートを訪ねた探偵団。
そこに目暮・高木がパトカーでやってくる。どうして空き巣事件に捜査一課が?と疑問に思うコナン。
目暮警部はアパートから出てきた小吉に、殺人事件の関与について、話を聞かせてほしいと言う。
その殺人事件は一週間前、黒金台で発生した。
殺害されたのはユスリ・タカリの常習犯である多羅尾靖。なんで「ユスリ」「タカリ」がカタカナなんだろ!
殺害方法は、後頭部を殴って気絶させてからナイロンロープで絞殺した、というもの。
凶器のナイロンロープには指紋が残っていたが、前科者や多羅尾のユスリの被害者の指紋とは一致しなかった。
捜査は行き詰っていたが、昨日の空き巣事件で登録された小吉の指紋が、凶器のものと一致したのだ!
目暮に凶器の写真を見せられた小吉は、それが自分宛に届いた荷物を梱包していたナイロンロープだったことを認める。荷ほどきをした後、ゴミ捨て場に捨てたという。
誰かがゴミ捨て場から持って行って犯行に使ったのでは……?と考える小吉。
「自分の指紋がついたものを凶器に使うはずがない!」と、無実を主張するが、目暮と高木は、そう思わせるために敢えて使った可能性を捨てきれない。
それもそのはず、なんと小吉と多羅尾は出身中学が同じで、目暮たちはそこに目を付けたのだ。
小吉は今泉に言われて、犯行日にパチンコ店に行っていたというアリバイを思い出すが……。
目暮高木は、小吉に一卵性双生児の兄・大吉がいることを引き合いに出し、パチンコ店の防犯カメラに写っていたとしても、アリバイが証明できないと言う。
そう、双子の兄を替え玉に使えば、偽のアリバイが用意できるのだ……。
大吉は何年も行方不明!? さらっとヘビーなこと言った!
小吉は署で事情聴取を受けることになるが、今泉と探偵団は、彼が犯人だとは思えない様子。
真犯人を探すことに決めた探偵団は、公園で話し合う。こうやって公園で探偵団が会議するシーン、なにげに好き!
歩美は、たまたま被害者と出身中学が同じだったこと・たまたま双子の兄がいてアリバイが成立しなかったことで、小吉の不運を嘆く。
小吉の指紋がついたものを凶器に使ったということは、犯人は彼に罪を着せようとした。つまり、多羅尾と小吉両者に恨みを持っていると考えられる。
だが、警察が凶器の指紋から小吉にたどり着くためには、彼の指紋が警察に採られる必要がある。そのために空き巣事件を自作自演したのでは……?と、小宝を怪しむコナン。
こうして小宝についての情報を得るため、探偵団は聞き込みを開始。
元太は、あのアパートが二年前にも空き巣に入られていたという情報を掴む。
その際、被害に遭った住人は面倒くさがって通報しようとしなかったが、大家の今泉と、当時まだ存命だった彼女の夫が通報を促したのだという。
今回の空き巣で今泉は通報に反対していたのに……、と不思議がる元太。
だが光彦たちは、「それは二回目だからでしょ」と元太にツッコむ。
するとそんな探偵団に、小宝が接触する。
「どうして俺のことを嗅ぎまわっている?」と追及する小宝だが、彼のもとに電話が。なんと、空き巣の犯人が捕まったというのだ!
空き巣は小宝による狂言ではなかった。しかも彼には、多羅尾殺害時にはマダガスカルに出張に行っていたというアリバイがあった。マダガスカルに出張!? なんでマダガスカル!?!?
小宝犯人説が覆り、捜査は振り出しに戻る。
行き詰ったコナンは、警察署の高木刑事を訪ねる。
高木は、コナンの「犯人が小吉に罪を着せようとした」という推理を否定。ナイロンロープに残った指紋は、拭い取ろうとした痕跡があり、小吉の指紋が採取できたのは部分指紋だったのだ。
わざわざ罪を着せようとするのに、指紋を拭うはずはない。
たまたま小吉が捨てたナイロンロープが犯行に使われた、と小吉の不運を嘆く探偵団。
だがコナンは、犯人がわざわざ指紋を拭おうとしたことが引っかかる。
もう一度今泉に話を聞きに行った探偵団は、事件の日に小吉がパチンコ店に行ったのは、今泉が強引に部屋から引っ張り出したからだと知る。
部屋に籠っていても小説のアイディアは出ないから、人間観察に行ってこい、と。
それを聞いて何かを閃いたコナンは、「逆だったのかも」とある可能性にたどり着き、それを確かめるため、探偵団に再び聞き込みを頼む。
光彦は青果店の店員から、事件の翌日に「近くに来たついでに」と"ある人物"が言っていた、との証言を得る。これで真相がわかった……。
犯人である決め手に欠けるため、警察から帰ってきた小吉。今泉はホッとするが、小吉は明日も警察に行かなければならないらしい。
そんな中、帰ろうとした高木刑事をコナンが引き留め、一同は公園でコナンの推理を聞くことになる。
最初、コナンたちは「犯人が小吉に罪を着せようとした」と思っていた。だが、真実は逆だった。「犯人は、小吉に疑いがかからないようにした」のだ。
ナイロンロープの指紋を拭ったのも、犯行日に小吉を外出させてアリバイを作らせたのも、小宝の部屋に空き巣が入った際に警察を呼ぶことに反対したのも、すべて小吉に疑いの目が向かないようにするため。
そう、犯人は大家の今泉照代だった。
動機はおそらく、二年前に他界した夫に関係するもの。
光彦が青果店の店員から聞いた「近くまで来たついでに」にというのは、今泉が夫の墓参りに来ていた時のこと。多羅尾を殺害して、夫の無念を晴らせたことを報告したのでは、とコナンは推理する。
多羅尾のタカリの被害に遭っていたのは、今泉の姪っ子だった。
彼女は心がうつろになり、交通事故で死亡。夫と二人で多羅尾に抗議に行くが、笑い飛ばされた。そのショックで夫は酒に酔い、階段を踏み外して事故死。
今泉が殺意を覚えたのは、夜の街ではしゃいで大笑いしている多羅尾を偶然見かけたときだった。
「迷惑をかけた」と詫びる今泉に、「心から償えばやり直せるはずだ」と笑顔を向ける小吉。
そんな彼を見た灰原は、「間さんは前向きな人ね」とほほ笑む。
今泉が連行された後、公園にやってきた肥満体系の男……。なんと彼は行方不明だった小吉の双子の兄・大吉だった!
とても替え玉に使えそうもない兄に、苦笑するコナンだった。
■今週の感想
やっぱり扇澤脚本は安定の見ごたえがあるな!
今回特によかったのは、冒頭で歩美ちゃんが灰原に言った「小吉さんってすごく前向きだね~」のセリフ! この時は灰原とコナンは苦笑いするのですが……。
事件解決後、今泉に「罪を償えばやり直せる」と言った小吉を、灰原が歩美に「間さんは前向きな人ね」と言う。
めちゃくちゃ粋だなぁ~!!!
んでちゃんと双子のお兄さんのオチもあって……すごく良い回だったなあ!
小吉と大吉がいて、あとは中吉がいたら……。
ミステリーの方もなかなか面白かった!
罪をかぶせないようにしたのに、罪をかぶせそうになってしまった……。いかにも扇澤脚本って感じ!
まあナイロンロープもっとちゃんと拭っとけよ!とは思ってしまったけどw
■固有名詞
・黒金台(くろがねだい)
多羅尾靖が住んでいた地域名。名前の由来は「白金台」?
黒鉄の魚影とはなんも関係ありません。おそらくw
・米花署
米花町の警察署。
・毛塚町(けづかちょう)
何県かは語られていないが、おそらく東京都内にある町。
・毛塚中学校
毛塚町にある中学校。間小吉と多羅尾靖の出身校。
・$箱天国(ドルばこてんごく)
間小吉が行っていたパチンコ店。
「駅前」と言われていたが、何駅なのかは不明。黒金台署のシーンでの高木刑事のセリフからして、米花駅かな?
■今週のゲスト声優について
ゲスト声優は、刑事:吉野貴大さん(初)、女性:くわばらあきらさん(初)、間小吉:島﨑信長さん(初)、小宝粘二:小松史法さん、多羅尾靖:星祐樹さん、今泉照代:江森浩子さん。
今回のメインゲスト・間小吉役は島﨑信長さん! なんとなんと、コナンへは初出演です!
島﨑さんといえば『Free!』の七瀬遙や『ソード・アート・オンライン』のユージオ、『ブルーロック』凪誠士郎など、数多くのアニメでイケメンキャラを演じている大人気声優さん。普段はクールなキャラクターのイメージが強いです。
犯人役・今泉照代はベテラン声優の江森浩子さんでした。
『ドラゴンボール』餃子、『ゲゲゲの鬼太郎』砂かけばばあ、『忍たま乱太郎』トモミなどが代表作。
マスコットキャラクター、美少女、少年、老婆……など、どんな役でも完璧に演じ分けてしまう名脇役。
声優の素顔を紹介するバラエティー番組「大胆MAP」では、インタビュアーの芸人さんの無茶ぶりで、餃子と砂かけばばあを交互に何度も演じ分ける様子が取り上げられていました。
小宝粘二の声は小松史法さん。(EDクレジットでは「小松忠法」と誤記されていました)
代表作は『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』のジャン=ピエール・ポルナレフ。『ダンボール戦機』の山野淳一郎などのアニメの他に、吹き替えでも多く活躍されている方で、アメリカ制作の実写映画『トランスフォーマー』では主人公・サム役が有名です。
■スタッフ・キャスト
【脚本】扇澤延男
【絵コンテ】大宙征基
【演出】木村佳嗣
【作画監督】津吹明日香/秦野好詔/鈴木FALCO
【声の出演】
江戸川コナン:高山みなみ
吉田歩美:岩居由希子
小嶋元太:高木渉
円谷光彦:大谷育江
灰原哀:林原めぐみ
目暮警部:茶風林
高木刑事:高木渉
刑事:吉野貴大
女性:くわばらあきら
間小吉:島﨑信長
小宝粘二:小松史法
多羅尾靖:星祐樹
今泉照代:江森浩子
【サブキャラクターデザイン】橋本正則
【デザインワークス】小川浩
【原画】中尾友治/柴田美和子/細野明美/細川ちよ/上杉遵史/鈴木FALCO/森亜紀子/山崎千絵/松坂定俊/西川千裕/高崎由利/鳥居愛緒/白井絢菜/大野杏/飛田みのり/浅沼速斗/久米一成
■【今週のおすすめ】『前科者』オースティン・フリーマン
今回ご紹介するミステリーは、「殺されたユスリ屋」「指紋から犯人だと疑われる」というキーワードから、オースティン・フリーマンが1912年に発表した『前科者』(原題:The Old Lag)という短編! 科学を駆使して捜査するソーンダイク博士シリーズの一篇です。
ソーンダイク博士を訪ねてきたのは、かつて彼が犯行を暴いて刑務所行きになったベルフィールドという男だった。彼は出所後は真人間に更生し、妻と幸せに慎ましやかに生きていた。ところが、コードウェルという男を殺害した罪を着せられ、指名手配されてしまったというのだ! なんでも、現場の窓ガラスにベルフィールドの五本の指の指紋がクッキリ残っていたという。
……というお話。ソーンダイク博士の最初の長編『赤い拇指紋』の内容に触れているのでご注意を!