【アニメ感想】名探偵コナン 第1139話「意地悪な弟に困る姉」
扇澤延男さん脚本のアニオリ回です!
登場キャラは、江戸川コナン、毛利小五郎、目暮十三、高木渉、千葉和伸。
■今週のお話
【ゲストキャラクター】
真壁五月(まかべ さつき)……28歳。OL
真壁佑人(まかべ ゆうと)……25歳。五月の弟
堂場諒一(どうば りょういち)……27歳。
立石健介(たていし けんすけ)……五月の婚約者。故人
真壁五月という女性から依頼を受け、マンションを張り込む小五郎。
五月は、「505号室の真壁五月は泥棒猫。会社の上司と不倫してる」という内容の中傷ビラを、自宅マンションのエレベーター内に貼った犯人を見つけて欲しい、と依頼した。
張り込みの結果、すぐに犯人の男を見つけた小五郎は彼を事務所に引っ張ってくるが……。なんとその男は、五月の弟・佑人だった!
五月に借金の申し入れを断られ、夜逃げすることになった佑人。それを逆恨みして中傷ビラを貼っていた。
「兄弟ってのは助け合うためにいるはずだろ!」と開き直る佑人に、コナンは「そんな身勝手な……」と呆れる。
五月は警察沙汰にはせず、佑人に念書を書かせることにする。
「二度と五月に迷惑はかけない」という旨の念書に拇印する佑人だが、不気味な微笑を浮かべて去っていった。
まだ懲りていないのでは……と心配するコナンと小五郎。五月も念書を破りながら、複雑な表情を浮かべる。
某日、タワマンで殺人事件の捜査にあたる目暮警部。
刺殺されたのは堂場諒一。死亡推定時刻は昼頃。部屋には物色された形跡があり、強盗の仕業に見えるが……。
千葉刑事によれば、堂場の評判は最悪で、各方面から恨みを買っていたという。そのため、怨恨の線でも捜査が進められる。
そんな中、捜査本部に匿名の電話がかかってくる。声は女性だった。
なんでも、犯行があった日の昼頃、現場近くで被害者に恨み言を言う女を目撃したという。
被害者に恨みを持つ人物の中で、女性で、より強い動機を持つ人物……。
こうして事情聴取されることになったのは、五月だった。
堂場は三年前、五月の婚約者・立石健介を交通事故で死なせている。
事故を巡って、堂場と五月の意見は対立。「立石が飛び出してきた」と主張する堂場に対し、五月は「彼は慎重な人だから有り得ない」と言い立てた。
しかし堂場は雇った弁護士のお陰で軽い罪で済んだ。
……そのような経緯があったため、ニュースを見た五月は、「自分が疑われるかも」と思ったという。
だが五月は、犯行時刻には落葉台にいて、そこで弟とバッタリ会った、とアリバイを主張する。落葉台は現場とは真反対。この証言が本当なら五月に犯行は無理だが……?
肉親の証言って証拠能力ないんじゃなかったっけ? 参考程度に、ってことなのかな?
高木刑事が裏付けのために佑人に会いに行くが、佑人は五月と会ったことをバッサリ否定。その日は一日中部屋に籠っていたという。
それを聞いた五月はショックを受け、再び小五郎に相談しに行く。
佑人は五月を殺人犯に陥れるために、彼女のアリバイを否定したのではないか。
そう考えたコナンと小五郎は、五月を連れて佑人のアパートを直撃するが、「警察に嘘はつけないよ」と頑なだ。どうすれば佑人に本当のことを話させることができるのか……? 小五郎たちは頭を抱える。
と、落葉台で会った佑人が爪楊枝を咥えていたことを思い出した五月。
佑人は落葉台で飲食店に行ったに違いない! そう考え、コナンと小五郎は手分けして落葉台の飲食店をあたり、佑人を覚えている人がいないか探し回る。扇澤さん脚本回の小五郎は、コナンのこと信頼しきってるよな~! もう完全に助手じゃん!
そこに高木と千葉も合流。だが彼らも収穫なしだった。
五月は評判の蕎麦屋目当てで落葉台に来たが、その日は定休日だったので、折角来たのだから、と裏通りを散歩していたという。そのため、防犯カメラにも姿はなかった。
再び探偵事務所で、匿名の女性からの情報提供がキッカケで自分が疑われていることを話す五月。
その電話は、自分を罠にはめるために、佑人が女友達に頼んでかけさせたのでは、と話す。
コナンと小五郎は、いくらお金を貸してくれなかったとはいえ、そこまでする必要があるだろうか?と疑問を口にするが、五月は声を荒らげて、今まで散々庇ってきたのにこんなに恨まれるなんて!と泣き出してしまう。
五月が帰った後、五月の態度の違和感について話し合うコナンと小五郎。
五月は、佑人との仲の悪さを強調したがっているように見えた……。
だが不仲を演じて何のメリットがある? そして小五郎はある仮説にたどり着く。
仮説を話すため、捜査本部を訪れた小五郎。
五月と佑人は実は仲が良く、五月が証言したアリバイと、佑人が一日中部屋にいたという証言は、どちらも嘘だったのでは?と話し出す。
堂場を恨んでいた五月。佑人は姉のために堂場殺害を決意する。
しかしその動機に気づかれないよう、姉弟仲の悪さを演出する行動に出る。佑人は五月を中傷するビラを貼った。五月も、佑人の真意を悟っていたのではないか。
当然、五月は堂場殺害を引き留めようとするが、佑人は殺人を決行してしまった。
そこで、今度は五月が佑人を庇うために「落葉台で会った」という偽のアリバイを証言した。
佑人がこの偽のアリバイに乗っからない理由は不明だが、五月と佑人にこの推理をぶつければ、感触で何か分かるかもしれない。小五郎はそう話す。
一方、探偵事務所にいるコナンは、独り言を呟きながら小五郎の推理を精査する。珍しくジャージ姿のコナンくん! 椅子でクルクル回転してて可愛いーw
佑人が五月を恨んでいるのが嘘なら、借金取りに追われている、というのも嘘なはず。だが彼の部屋はいかにも夜逃げしてきたような様子だった。
それに、仲の悪さが芝居なら、五月が念書を書かせたのは何故? 事務所で泣き出した五月もわざとらしかった……。
そこで、コナンは「もしかして、すべて逆?」と閃く。逆だったかもしれねェ……。
自分の仮説を確かめるために、スケボーを走らせるコナン。スケボー二週連続登場!
佑人から、借金取りの連絡先を聞き出す。
変声機を使ってある事を確認すると、目暮たちと五月・佑人を呼び出す。
小五郎は、五月と佑人に、自分の仮説をぶつける。佑人が姉のために堂場を殺害したこと。そして五月はそれを庇うために嘘のアリバイを証言したこと。そして、二人は本当は仲がいいこと。
素直に認める五月に対し、佑人は何が何だか分からない様子。そこでコナンは、小五郎を眠らせて事件の真相、「裏の裏」を話し出す。
真の犯人は五月。
わざとらしい芝居で、小五郎に「本当は仲がいいのでは?」と勘ぐらせ、佑人に容疑が向くように仕向けた。
落葉台のアリバイ証言も嘘。匿名の電話は五月自身で、警察の目を早く自分に向けさせ、そこから佑人に辿り着くように画策したのだった。
佑人が一日中部屋に籠っていたのは、借金取りが新居に押しかけてきたから。新居の住所は誰にも知らせていない。
五月は佑人に書かせた念書で彼の新しい住所を知り、借金取りに電話をかけてそれを伝えた。
堂場殺害の日に佑人が外出し、どこかでアリバイを作ってしまわないようにしたのだ。
捜査本部にかけた匿名の電話は、声門鑑定すれば五月の声だと分かる。
観念した五月は、動機を語り出す。
ひと月前、堂場が立石を轢いてしまったことを悪びれていないのを目撃してしまい、殺害を決意。
そんな中、佑人が自分の中傷ビラを貼っているのを知り、彼を犯人役に仕立てる計画を思いついた。
今度こそ五月は素直に認め、連行される。
その彼女に、どうして俺に罪を被せようとしたのか、と問いただす佑人。
五月は、素行が悪く甘ったれで身勝手な佑人のことが、子供の頃から嫌いだったと白状。
コナンは変声機のスイッチを切り(!?)、「この姉弟は……」と呆れる。
帰り道、幼い女の子が泣きじゃくる弟を慰める様子を見かけるコナンと小五郎。
小五郎は、「仲がいいのは見せかけで、裏の裏なんじゃ!」と邪推するが、コナンは「裏の裏だと表に戻るんだよ」と冷静にツッコむ。
■今週の感想
今週も扇澤節炸裂の回でした~。
扇澤さん回は明確なテーマやモチーフがなく、二転三転する事件のロジックで魅せる印象が強いので、どうしても、過去に似たような話があったような気がしてしまいます……。
今回は仲が悪い姉と弟。
そういえばコナンのメインキャラって、一人っ子が多いような……?と思い、調べてみました。
兄弟が判明しているのは以下のキャラ。
・灰原哀(宮野志保)……姉(宮野明美)
・鈴木園子……姉(鈴木綾子)
・白鳥任三郎……妹(晴月沙羅)
・円谷光彦……姉(円谷朝美)
・横溝参悟……弟(横溝重悟)
・京極真……妹
・本堂瑛祐……姉(本堂瑛海)
・榎本梓……兄(榎本杉人)
・赤井秀一……弟(羽田秀𠮷)、妹(世良真純)
・諸伏高明……弟(諸伏景光)
・宮野エレーナ……姉(メアリー世良)
・萩原研二……姉(萩原千速)
・工藤優作……兄(黒羽盗一)
……このぐらいかな? 思ったより多かったw
メインかは微妙だけど、鈴木次郎吉と史郎、赤木英雄と守も兄弟か。
歩美・元太はTHE・一人っ子って感じだなぁ。なんとなくだけど、和葉は兄か弟がいそうな性格だと思う(幼馴染の平次がいるからかな)。苗子は末っ子タイプっぽいw
京極妹はずーっと登場を願っているキャラの一人!
園子との対面は果たしたのか? どんな性格? 気になる点が多すぎる!!!
青山先生、いつかお願いします!
■固有名詞
・頑辺町(がんべちょう)
いかにも扇澤さんらしいネーミング。
・ガンベ荘
夜逃げした佑人の新居。住所は頑辺町6-1。佑人の部屋は203号室にある。
・警視庁臨海警察署
堂場諒一殺人事件の捜査本部が敷かれた警察署。
・落葉台駅(おちばだい)
五月が佑人と会ったと言い張った駅。
臨海エリアとは真反対にある。
■今週のゲスト声優について
ゲスト声優は、真壁佑人:米内佑希さん(初)、真壁五月:中原麻衣さん、堂場諒一:関幸司さん、借金取り:相馬康一さん(初)、女の子:田中那実さん(初)、女の子の弟:和久野愛佳さん(初)。
真壁五月役は中原麻衣さんが演じられました。
『ひぐらしのなく頃に』竜宮レナ、『CLANNAD』古河渚、『わがまま☆フェアリー ミルモでポン!』南楓など、2000年代を中心に多くのヒロインを担当した人気声優さん。
「個人的・演技がうまい女性声優ランキング」の上位に間違いなく入る方です。
五月の弟・佑人を演じたのは米内佑希さん。
『あんさんぶるスターズ!』仁兎なずな、『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』プロデューサー、『チア男子!!』坂東晴希などで活躍されている声優さん。
幼いキャラから少年・青年まで、幅広い年齢層を演じ分けることができる、こちらも演技派の声優さんです。コナンは初出演!
■スタッフ・キャスト
【脚本】扇澤延男
【絵コンテ】加瀬充子
【演出】髙本雄大
【作画監督】たなかみほ/西川真人/胡雲涛/廖菲/林子葉/拾月動画
【作画監督補佐】山本道隆/柏原英里花/小坂知
【声の出演】
江戸川コナン:高山みなみ
毛利小五郎:小山力也
目暮警部:茶風林
高木刑事:高木渉
千葉刑事:千葉一伸
真壁佑人:米内佑希
真壁五月:中原麻衣
堂場諒一:関幸司
借金取り:相馬康一
女の子:田中那実
女の子の弟:和久野愛佳
【サブキャラクターデザイン】橋本正則
【デザインワークス】小川浩
【原画】福島喜晴/丸英男/粟井重紀/藤田瑛心/半扇門/無錫月霊動画
■【今週のおすすめ】『検察側の証人』アガサ・クリスティ
今回ご紹介するのは、小説ではなく戯曲!
アガサ・クリスティが1925年に発表した『検察側の証人』(原題:The Witness for the Prosecution)です!
「身内のアリバイを否定する」というキーワードから選びました。
レナード・ボウルというイケメン青年の弁護を引き受けることになったウィルフリッド卿。
彼は道で助けた中年女性フレンチと懇意になり、家にちょくちょく遊びに行っていた。しかしフレンチは何者かに撲殺されてしまう。しかも、彼女の遺言によれば、遺産はレナードが貰うことになっていたのだ!
こうしてフレンチ殺害の罪で逮捕されてしまったレナード。彼は、「犯行時刻に一緒にいた妻のローマインならアリバイを立証してくれる」と言う。ローマインも最初は彼のアリバイを証言するが、法廷で参考人として証言台に立った彼女は、その証言をひっくり返してしまう!
……というお話。戯曲なので無駄な描写が少なく、サクサク読めます。殺人事件自体はシンプルですが、衝撃的な展開がいくつか用意されているので、戯曲とはいえミステリ好きにオススメしたい作品です。