【アニメ感想】名探偵コナン 第1136話「大岡紅葉の甘い罠(後編)」
待望の原作回・京都スイーツ回の後編!
今回は謎の新キャラが登場したり、あのキャラの意外な過去が明らかになったり……と、かなりの重要回です。
登場キャラは江戸川コナン、毛利蘭、毛利小五郎、服部平次、遠山和葉、安室透、黒田兵衛、大岡紅葉、伊織無我、綾小路文麿。
■今週のお話
【ゲストキャラクター】
軽尾明児(かるお みょうじ)……48歳。プロデューサー
稲場玲佑(いなば れいすけ)……39歳。脚本家
木俣重記(きまた しげき)……50歳。舞台監督
株本恭助(かぶもと きょうすけ)……52歳。演出家
行田仁香(ぎょうだ にんか)……女優、故人
自殺ではなく殺人事件だという前提で捜査を再開する綾小路警部たち。
だが犯行のためには、株本に仮眠を取らせてこの部屋に籠らせる必要がある。
だとすると、彼に睡眠薬を盛った人物がいるはずだが……。
睡眠薬が混入された可能性があるのは、ピザ・コーヒー・キャンディだ。
だがダイエット中の株本はピザを切り分けただけで食べていないし、コーヒーはお盆から無作為にとったもの。
残るはキャンディだが、睡眠薬をまぶしたらすぐに気づかれるため、これも違う。
ところが黒田が、妙なことを言い出す。「株本は本当にピザを食べなかったのか?」と。
なんでも、株本の遺体の口から、アーモンド臭と共にピザの匂いがしたのだという。株本が切り分けたピザは円形で、つまみ食いをした跡はなかったのだが……。
そして黒田は、この部屋から獣の匂いもするとも指摘。綾小路は慌てて懐に手をやり、ペットのシマリス・マロちゃんを隠す! マロちゃん可愛いーーーっ!
その頃の蘭と和葉は、いち早く平次の元に向かうため、次のスイーツ店にやって来た。
車を降りた伊織は、辺りをキョロキョロ見回す。付添人に聞かれて、伊織は「癖のようなものだ」と答える。
そして木俣たち容疑者は、自分に株本殺害の動機がないことを訴える。
だが株本が自殺する理由なら心当たりがあるという。最近、目をかけていた女優の行田仁香が自殺したことだ。
仁香の時も今回とかなり似た状況で、違う点といえば、仁香の現場は高層マンションだったことと、第一発見者の中に株本もいたことだ。
仁香が死んで深くショックを受けていた株本だったが、ある時突然、自分が舐めていたキャンディを見て何かに気づいた。そして舞台が成功することも確信し、舞台を中止しないことを決めたらしい。
キャンディの話題になったことで、紅葉が興味深いことを思い出す。
現場に突入した時に小五郎が落としたキャンディの中に、音もせず高く弾んだキャンディが混ざっていたという。
それを聞いたコナンと平次は、すべての謎の答えにたどり着く。
相変わらず株本自殺説を訴える容疑者たちのもとに、コナンと平次がピザを持って走ってくる。
二人は①睡眠薬を飲ませた方法と、②密室を作った方法を順を追って説明する。
まず①の謎解きから。株本はある方法を使い、実はこっそりピザを食べていたのだという。
それを証明するため、コナンと平次は台所へ。
ピザを切り分けようとする平次に、紅葉は「妻の役目です!」と、包丁を持ち出すが、刃が逆さまだ。紅葉はお嬢様であるため、料理をしたことがないらしい。
コナンと平次も料理はヘッポコだったよね……!w キュウリだかウインナーだかを切っても全部繋がってたような……!w
だが紅葉は米袋に躓き、バランスを崩して包丁を持ったまま平次の方へ!
和葉はそんなことが起きているとは露知らず、フルーツサンドを必死で食べる。
だが苦しそうに食べる蘭を見て、「ゆっくり食べよ!」と提案。
急いで食べてしまっては、蘭もお店の人が作ったスイーツも可哀そうだ、と。
平次は紅葉のハニートラップなんかに引っかからないから、大丈夫だ!と言う和葉だが、語尾に「……多分」と付け足す。
米袋でコケた紅葉は平次を押し倒し、二人は急接近! そして平次の手は紅葉の胸に……! ToLoveる平次!
紅葉はその勢いのまま平次に口づけしようとするが、すんでのところでコナンに阻まれる。
コナンの一言で我に返った平次は、手を震わせながらピザをカットする。
そして邪魔された紅葉はコナンを睨む。
そんなこんながありつつも、ようやくピザをカットした平次は、みんなのもとに戻る。
株本はピザを切る際、真ん中を細長く三角に切り取って食べていた。
余った両端をピッタリくっつければ、ピザは多少楕円になるが、気づかれにくい。
犯人は株本のこの習慣を知っていて、ピザの中央に睡眠薬を仕込んで彼を仮眠するように仕向けたのだ。
そしていよいよ、②の密室トリックの解明へ。平次はそれを見事に実践してみせる。
扉の下からはみ出た布は、ハンカチ。そしてドアが開かなかったのは、扉の内側のドアストッパーの下にゴムボールを噛ましているから。
床との間で強い摩擦が生じ、ドアが何かにつっかえたように開かなくなる。
ドアが何かにぶつかったような音は、ドアの下部分を蹴ったから。
そう、つまりみんなが株本を起こしに来た時、ドアは遺体で塞がれていなかったのだ!
そしてこのトリックが使えるのは、ドアを最初に開けようとした稲場だけ!
稲場の犯行手順は以下の通り。
・ピザに睡眠薬を仕込む。
・仮眠した株本の様子を見にいった際、ドアの隙間にハンカチを仕込む。
・みんなで起こしに来た時に真っ先にドアを開けようとし、みんながハンカチに気を取られている隙にドアの内側にゴムボールを挟む。
・ドアを開くと同時にドアの下部分を蹴り、何かにあたったように見せかける。
・みんなが部屋の中を見るために外に回った隙に、部屋の中で眠っている株本を毒殺する。
・遺体をドアに寄りかけて閉め、後からみんなに合流する。
トリックに使ったゴムボールは、キャンディの中に混ぜて隠した。紅葉が見た変なキャンディはそれだったのだ。
キャンディの包み紙をとめるセロハンテープに、稲場の指紋がついているはずだ、と言う平次に、稲場は観念して自白する。
事の発端は、株本に持ち掛けられて仁香と愛人関係になったこと。
稲場が別れを持ち掛けると、仁香は「妻にバラす」と脅してきた。
そこで稲場は今回のトリックを使って仁香を殺害したのだが、株本がそのトリックに気づいた。
株本は稲場を自首させるでも降板させるでもなく、「殺人者の魂の叫びを書け」と強いてきたという。
事件解決後、ようやく蘭・和葉・伊織が株本邸に到着。
殺人事件が起こったことに驚くとともに、平次と紅葉の「スキンシップ」に目くじらを立てる。
そして車から降りてキョロキョロする伊織に、黒田が話しかける。
そのキョロキョロは「点検」、尾行をまくことは「消毒」……。二人のやり取りを聞いていたコナンは、黒田が公安で伊織が元公安だということを知る。
伊織は「榊原」の偽名で潜入していたことがあるらしい。
しかも伊織は、安室と会った印象を「過去の柵を引きずっているようだが悪くない」と、黒田に告げる。
そんな彼らの横を、一台の黒い車が通り過ぎる。車内には呼吸器をつけた謎の老人が。
老人は、警察を「愚鈍な輩が群れてるだけ」と評していた。
■今週の感想
今週はてんこ盛り!!!
シマリスの名前が判明、黒田が公安だと確定、伊織が元公安だと判明、そして謎の老人登場……!!!
紅葉と平次が接近するシーンは、平次がぬるぬる動いてて面白かった!
そのあとに平次が震えてたのも、童貞感たっぷりでよかったw
そして稲場と仁香のシーン。舞台演劇のような演出が、めちゃくちゃ面白かった!!! やっぱり家村あゆみさんの演出好きだな~!
■原作からの主な変更点
・シーンの主な追加・変更
・紅葉に口づけを迫られた後、平次の手が震える描写が追加された。
・稲場の自白シーンに、大きく変更点が。
稲葉・株本・仁香の関係性が深掘りされ、舞台演劇のような演出が加わった。
また、原作では仁香が稲場に妻と別れるよう強要し、マスコミに愛人関係をバラす、と脅したのに対し、アニメでは稲場が仁香に別れを持ち掛け、仁香は稲場の妻にバラす、と脅したことになった。
・セリフの主な追加・変更
・各キャラクターのセリフ分担が、かなり細かく変更された。
・平次がハニートラップに引っかからない!という和葉の「多分」が、原作では心の声なのに対し、アニメでは実際に口に出している。
・平次→コナンの呼び方が、「コナン」から「ボウズ」に変更された。
平次のコナン呼び好きだから、これはちょっと残念だった!
・「スーパーボール」が「ゴムボール」の呼び方に変更された。
商標の都合かな?
・その他の変更
・軽尾の株本に対する呼び方が「株本さん」から「株本ちゃん」に変更された。前回気づかなかった!
・行田仁香を女優として育てたのは株本だ、という設定になっている。
■固有名詞
・大多福屋
蘭と和葉が行った店。おはぎ10色セットを食べた。
名前の由来は京都に実在する「ぎおんおはぎ 小多福」か?
・フルーツサンド aoiso(アオイソ)
蘭と和葉が行った店。名前の由来は「フルーツパーラー ヤオイソ」?
・ぐんどり
アオイソの隣にあるお店。原作には未登場。
アオイソのモデルになった「ヤオイソ」の隣には、「どんぐり」というお店が!
■今週のゲスト声優について
ついに登場した謎の老人! その声を担当したのは、70年代からアニメや特撮などでアテレコをされていたベテラン声優の森しんさん!
旧芸名は「拡森信吾」さんで、こちらの名前の方で馴染みがある方も多いのではないでしょうか!
『機動戦士Zガンダム』ではアストナージ・メドッソを、『機動戦士ガンダムZZ』ではビーチャ・オーレグを担当。『キャプテン翼』では高杉を演じていらっしゃいました。
コナンにもこれまで幾度となく出演。個人的に印象的だったのは、「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」で殺人の濡れ衣を着せられそうになったミイラ男。この時はとても頼りないキャラクターだったので、今回の怪しい老人役はかなり意外です!
そして謎の老人の運転手は竹内良太さん。
「神は言っている……」でお馴染み(?)、『エルシャダイ』のルシフェル役が代表作。他にも『ハイキュー!!』牛島若利、『魔法使いの嫁』エリアス・エインズワースなど、重低音を活かして様々なキャラクターを演じていらっしゃいます。
■スタッフ・キャスト
【構成/絵コンテ】金井次朗
【演出】家村あゆみ
【総作画監督】須藤昌朋
【作画監督】岩井伸之
【声の出演】
江戸川コナン:高山みなみ
毛利蘭:山崎和佳奈
毛利小五郎:小山力也
服部平次:堀川りょう
遠山和葉:宮村優子
大岡紅葉:ゆきのさつき
伊織無我:小野大輔
黒田兵衛:岸野幸正
綾小路警部:置鮎龍太郎
謎の老人:森しん
運転手:竹内良太
株本恭助:塩屋翼
軽尾明児:増谷康紀
木俣重記:天田益男
行田仁香:慶長佑香
男性:四宮豪
稲場玲佑:小西克幸
【サブキャラクターデザイン】吉見京子/高橋成之
【デザインワークス】小川浩
【原画】井元愛夕/青木香菜/藤原由弥/本吉晃子/大高美奈/小島絵美/斉藤千恵/薦田かなえ/餅田マコ/朝日菜穂子/北山小百合/吾梅子/井川春菜/長野まりえ/小坂知/髙木啓明/山本泰一郎
■【今週のおすすめ】『折れた足の手懸り』クレイトン・ロースン
今回ご紹介するミステリーは、「被害者が演出家」ということで、クレイトン・ロースンが1947年に発表した『折れた足の手懸り』(原題:The Clue of the Broken Leg)! 奇術師としての顔も持つミステリー作家クレイトン・ロースンによる短編で、彼の代表的な探偵グレート・マリーニが活躍するシリーズです。
奇術師グレート・マーリニは、舞台演出家フォージ・ラスコが射殺された現場にいた。疑わしいのは小説家キングスレー、女優ドロシー、被害者の妹マリーの三人。だが、銃声を聞いて駆けつけたキングスレーと被害者が雇った探偵フォイルも、窓の外にいたドロシーも、部屋から逃げる犯人を見ていない。犯人はどうやって部屋から消えたのか……?
……というお話。トリック自体はとても簡単なので、読んでいる途中で分かるかもしれません!