徒然雨~3~
夢に中学の同級生がたくさん出てきた。夢の中では懐かしいという気持ちは湧かなくて、あの時の私はきっと「中学時代の私」だったのだと思う。あの時みたいに皆とはしゃぎたくなったけど、夢の中の一時がちょうど「イベント始まるから皆体育館に荷物置いて校庭に集合」みたいなシーンで慌ただしかったから、叶わなかった。
もう長いこと、中学の友人とは連絡を取っていない。それなのに突然夢に出てきた原因ははっきりしている。寝る間際にふと思い立って、仲が良かった友人たちの名前をネットで検索して回っていたのだ。もちろんまったく出てこない友人もいたけれど、何人かはヒットして、大学の頃や今の様子を垣間見ることができた。イラストが特別上手かった友人がコンテストで入賞していたり、大学での研究成果が評価されてサイトに取り上げてられていたり。
幼馴染が話をしている動画が、母校であろう大学のHPに掲載されていた。OBとして社会人目線で大学で学んだことを短く話すという動画。小中学生時代、本当に常に一緒にいた子。私の人格形成に多くの影響を与えているに違いのに、もう全く連絡を取らなくなってしまった子。ふと思い出した時、今はどう過ごしているんだろうと気になってはいた。その子が話をして、今どこで働いているのかを語っていた。声や話し方、笑い方があまり変わっていなくて、ふわふわと懐かしくなった。そっか、君はちゃんと元気に生きているんだね、自分の今と歩んできた道に胸を張れているんだね。もうそうそう道が交わることはないだろうけど、どうかずっと幸せでいて欲しい。
不思議なもので、一番と言っていいほど仲が良かった子とは疎遠になり、「フツーに仲が良い」くらいの子との方が縁が続いていたりする。あまりに一緒にいすぎて、成長して出てきた感性・性格の違いとか、居場所が離れて同じ時間を共有できなくなったギャップとか、そんな仲が良かった頃との断絶をより強く感じてしまうからかもしれない。あんなに大切で一緒にいたのにな、と切なくなるのに、離れれば離れるほど、近しかった頃との違いに怯えて一層会うのが怖くなる。仲が良くなるとは諸刃の剣なんだな、と、今になって言語化できるようになった。
話が戻るけれど、中学の頃はおおよそ楽しい記憶に溢れていて、今でもあの頃に戻れたら楽しいだろうなあと思う。天真爛漫で、未来への不安やプレッシャーもなくて、かといって小学生時代より世界は広がっていて。高校時代に並んで心が軽くて「自分は自由だ」と無意識に信じ切っていた時代かもしれない。
友人達に会いたいけれど、臆病で自分から連絡を取ることはきっとできないんだと思う。あわよくばどこかですれ違えないかな、と、地元に戻ると懐かしい姿をいじましく探してしまうのだ。
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