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中堅どころのインプロバイザーがヤメてしまう話を聞いて思ったこと

まず中堅どころっていうのがどれくらいの人を指すのか?分かってないのだけどw
そしてヤメることについて「止めるのは良くない」とか「続けるべき」という考えはワタリには、ない。
どれもその人の選択だから、その人が決断したことなのだからそれでいいのだ、という感覚をもっている。
ただ、妙な違和感があったので書いておこうと思った次第です。

その違和感がきたのは「ヤメていく理由」を聞いたときだった。

ヤメてしまう理由の一つとして、「はじめた頃のように楽しめなくなった」というのがあった。

え?ってなった。脳みそが混乱した。
その人は「はじめた頃のように楽しい」を続けようとしてたのか?と。

インプロやり始めのときは当然ながら面白い。
右も左も分からないから、飛び込むしかない。
またイエスアンドというもので自分のアイディアが受け入れられることが気持ち良いのかもしれない。
ただ、当然ながら、やっていけば知識もつくし経験も増えるから、どっちが右でどっちが左かわかるようになる。
それが「えっと右にいけば?それとも左かな?」と迷いの原因みたいになったりもする。
無我夢中でやっていた最初のころよりも思考的になってしまって、楽しめない、そしてうまくいかない、という経験が増える。
だから、ヤメてしまう。というもの。

もちろん実際はこんなざっくりじゃないだろう。でも概ねこんな感じだとしたら。

本当の意味で「うまくなろう」というのが目的じゃないんじゃないか?って思う。

だって、これ当然ながら通る道だから。
知識が増える。経験が増える。新鮮じゃなくなる。
そういう部分もある。でも鍛えるべきはやればやるほど磨かれる感覚。身体。
即興できる身体をつくること。
ビギナーのときは、言うたらボールがラケットに当たるのが楽しい!っていう状態。
で、今度はそのボールがどこに飛んでいったのか?を見る練習がはじまる。
コート外に行っていたり、はたまた相手にぶつかっていたり、そんな事実をしることになっていく。つまり自分の実力を見ることになる。
いまの自分の実力を知りつつ、「じゃあより精度をあげるにはどうしたら?」とトライしていく。
これがしんどいけど、とんでもなく楽しい作業。

なんだけど、まずこの自分の実力を見ることを拒否する人がいる。
全力で見ないようにする。
そして、うまくいかないのを人や環境のせいにする。
で、理由をつけてヤメる。(この理由をみつける能力がとんでもなく高い)

これって目的が本当の意味で「うまくなりたい」ではないと思うんだ。
きっと他の目的「いまのままの自分を認めてほしい」だったりすると思うんだ。
インプロを本当の意味でうまくなりたい時は、「素直にいまの自分をみつける」という作業は必須だと思うから。
なので、「やり始めたときよりも楽しめなくなった」という人は
自分の実力を見ることを避けてしまったのか、または「いまの自分の実力を見れるような環境にいなかった」のかもしれない。(指導者不在でやるインプロ稽古だとその可能性もある)

インプロの歴史や、どうやって観てる人を惹きつける即興表現をするのか?を座学的に学ぶこともときには必要だけど、やるべきは自分磨き。知性でなく感性。
そこを鍛えるために自分をみつめる。掘り下げる。
その方法は学ばないといかんと思う。
そして他ならぬ自分自身をつかってビギナーのときよりも遥かに深くて繊細で無限な即興体験をするには、一生懸命工夫をしないといけない。
(※ボールをただ打つんでなく右か左に振り分ける。そのときに悩んでいたら間に合わない。だからしっかりとボールを見ること、そのうえで感覚の自分に主導権を握らせて自然にラケットを振るように仕向けるなど)

それも学んでいける。

こんな面白いことなかなかないからずっとやってるわけだけど、
そもそも目的が「自分を深く見つめて、より良く成長させて、インプロをうまくなりたい」でないと、理想じゃない自分を知ることになってしまうから、そういう人にはしんどいものになるよなぁと思う。

ただ、こうやってなんとか言葉を駆使して(ワタリなりにね)書いてるのは

「本当の意味でうまくなりたい!」って思っていても、体調なりそのときのコミュニティの人間関係に疲れたりして、無意識のうちに「いまの自分を認めてほしい」に目的がすげ変わってしまって離れちゃったりヤメちゃったりすることはあるだろうと。

そういう人が路頭に迷ってしまわないように。なんか気づけるきっかけになったら嬉しいなと思って書いてます。(※一番はワタリのインプロワークショップにくるのが早いよ!!)

ヤメたくなったときにできるもう一つの方法

俳優もインプロバイザーも自分が成長しているのかどうかがとっても分かりづらい職業。
どれだけ自分が「できた!」と思っても「いや、おもんなかった」って言われたらそれまで。
評価はいつも他者。お客さん。

そんなワタリも20歳のとき、マインド重視のインプロばかりやって全然うまくなってる感覚がないし、逆に「ワタリはもう限界だな」とか周りから言われて(いま考えたらなんて酷いことを言われてるんだ!)、それが嫌でインプロを離れた時期があります。
で、なにやったか?っていうと、やればやるほどうまくなるパントマイムと和太鼓をやりまくりました。
とにかくやった。やればやるほど上達するのが嬉しかった。
そしてそれがまた自分のインプロ表現にとっても貢献してくれた。

これはオススメです。

インプロを上達させるために必須なもう一つのこと

インプロは本当にコツコツやっていく。
一喜一憂せず、成果を第一に気にせず、やれることをやっていく。
そしてワークだけではダメ。本番も同時にやっていくこと。
なぜなら稽古は基本できない部分にフォーカスするから。
できないことをできるようにするから、当然できないところをみていく。
できるようになったら更に高みを目指すわけだからまたできなくなるわけで。
本番はいまの自分が全力で楽しい時間をつくれるかのチャレンジ。
それができたかどうかは、お客さんが伝えてくれる。
いまの自分がどれだけやれるのかを知ることができる。

だから本番はドシドシやったほうがいい。
稽古しかやっていなくて「自分ができなくなってる」「成長してるかどうかわからない」となっているのであれば「そらそうやろ」ということなのである。
なのでワタリからのススメとしては
やればやるほどうまくなることをやれ。
本番はマストでやりな。

ということです。現場からは以上でーす!

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渡猛(TAKESHI WATARI)
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