うつわにビーツを据えること。
韓国からフローリストさんがIKEBANA体験にいらしてくれています。僕からIKEBANAの何を学びたいのだろうかと尋ねますと、Balanceだと答えるので、コンポジションの話かと思いきや、僕がライフワークにしている木塊の軸を捉える習作群の方でした。
花をいける上で、重力はとても大切な要素です。
いや人間だって、立っていれば足の裏、座っていればお尻、寝ていれば背中、猫背の人なら肩や首、といった具合に四六時中その影響下にあるわけでして、花のバイタリティを表現するにあたっては切り離せない存在なのです。
木塊の軸を捉え、うつわの口を接点としてバランスを取ることで、地球の真ん中から引っ張られて垂れ下がる見えない糸たる重力を可視化する。接点が小さいほど、糸は細く緊張感を持って鑑賞者の前に現れる、という具合です。
通常のお稽古ですと生徒から笑みがこぼれる、ということはけっして多くないのですが、このバランスウッドは違います。集中力を発揮してまんまと止めることができたなら、誰もが笑顔になれるのです。僕も褒めやすい。
「彼女、韓国では有名なフローリストなのよ」と紹介された方がビーツをうつわに据えて満面の笑みです。なんて平和な日。
明日はフリースタイルについて少々掘り下げたお稽古を行う予定です。
ありがたくいただき、世界のどこかにタネを撒こうと思います。