春の宴、手ぶらの参加者。
「お呼びでない? こりゃまた失礼いたしました」
なんて昭和のギャグがある。慎ましい時代だったのだろうとしみじみ。呼ばれてもいないのに、誰も彼もが自分の意見を己の正義を背負って宣う今にあっては、笑い話になっていた時代が少々羨ましくもあり。こうして自分は棚にあげてるけれど。
クリスマス前に仕入れたアオモジが今週花開いた。およそ2ヶ月、その花芽は姿を変えずに蕾もままだったのに、ここのところの暖かさに誘われ一気に満開。
開花とともにあおみを帯びた萌黄は一気にクリーム色、そして花芯から茶へと変色していく。
この変化を「きたない」なんて言おうものならば、「お呼びでないよ」なんて言われそうです。なんせ種の存続を手伝うでもなく、ただただ鑑賞するのみですから外野もいいところ。
自然界が催す春の宴に手ぶらで参加する人間ですから、慎ましく、その姿と香りを愉しむが吉です。いやー、綻んだ空気にレモンのようなほのかな香気が心地よい。
ありがたくいただき、世界のどこかにタネを撒こうと思います。