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植物は切られてもすぐには死なない。

3ヶ月経ってなお生命力残るスカビオサ


 写真のスカビオサは2023年2月2日に撮影したものです。伝票を確認すると仕入れたのは2022年11月5日ですからまるっと3ヶ月経ってる。その間、水を入れたガラス瓶に挿して日当たりの良い軒先に放置してありました。雨に吹かれ風に揺れ、1月は氷点下で霜が降りる日、氷が張る日も数日ありましたがお構いなし。
 淡いベージュ色だった花びらはさすがに日に焼け寒さに焼けてますが、中に除くシードポットは青々としてわずかに膨らんですらいます。いまだ上向いたものがあり、小さいながらも咲いた脇芽、これから咲かんとする蕾もあります。

2ヶ月水につけなかった白樺が芽吹いた。


 植物は、私たちが想像している以上に強い存在です。モジュール構造を採用しているために切られたことが死には直結しません。切り花の状態でも花を咲かすもの、種まで作れるもの、さらには切り口から根を生やすものもいます。

 お稽古や装飾用に仕入れて余した枝などは大概庭先に置いておきますが、2月3月になれば大概花芽が膨らみ始めるか若葉が萌ゆる様子が見られます。一度など、年末のディスプレイで使った白樺を回収してから2ヶ月程度、水にすらつけていないまま放置しておきましたが、立春を過ぎる頃には花芽を膨らませていました。そこで水につけると見事に花を咲かせ、さらに放っておくと若葉も出てきました。

矮小化されている植物のバイタリティ

 機密性の高い住環境で暖房ガンガンで人はぬくぬく空気はカラカラお肌も乾燥、みたいな環境であれば上のスカビオサや白樺も適応仕切れずに朽ち枯れ、早々にゴミ箱行きだったかもしれません。しかし自然環境化にうっちゃって仕舞えば、彼らの育った環境との違いはあれども、適応して行く、ということなのでしょう。

いけばなは植物に願いや思いを託して飾る行為です。こうした植物の特性を理解した上で植物の命をいただく、あるいは預かる、という意識が保てれば、花材への付き合い方向き合い方も自ずから変わってくるというものです。

話の展開が思い浮かばず長らく下書きに入れておいたものをリリース。


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渡来 徹 | 花道家
ありがたくいただき、世界のどこかにタネを撒こうと思います。