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新規上場企業分析の人気記事は?2021年は、IPO全銘柄を企業分析
目論見書分析noteを書いている、株式会社UNCOVER TRUTHの渡邊(@yuyawatanabe0)です。
昨年5月から、新規上場企業の目論見書分析をスタートして、これまでに9社の分析記事を公開しました。「記事、読んでます」「勉強になります」などのコメントをもらったり、スキやフォローしてもらえると本当に嬉しい限りです!
この記事では、過去に人気となった記事の紹介、目論見書分析の目的と背景の説明、さらに、「今後のnoteはさらに充実します!」という意思表示も含めて、書かせてもらいました。
この記事に書かれていること
・2020年の目論見書分析で、どの記事が人気になったのか?
・私が目論見書分析記事を書く理由
・目論見書を深堀分析してわかること
・2021年の目論見書分析は、さらに充実します!
私のnoteダッシュボードを公開します(2021年1月23日現在)
noteを始めてから約8ヶ月、合計ビューは12,000を超えました。合計スキ数は354、フォロー数も266になります。やはり、noteを書いている立場として、リアクションを頂けるのは本当に嬉しいです。
グッドパッチの記事では、なんと土屋社長本人からオススメとサポートをもらいました!
それではここから本文です。
2020年新規上場企業数
2020年の新規上場企業数は93社となりました。2020年の新規上場企業一覧は、トレーダーズウェブや東京IPOなど専門サイトに詳細情報がありますのでそちらをご覧ください。また、最近の新規上場企業数の推移は以下になります。
出所:あずさ監査法人「2020年のIPO動向について」
最近5年間の新規上場会社数(2019年:86社 → 2020年:93社)
あずさ監査法人「2020年のIPO動向について」は、新規上場会社の決算月の分布、期越え上場の社数、売上高・経常利益ランキング、初値騰落率、主幹事証券会社状況、監査法人状況、グローバルオファリングなど、新規上場に関わるコーポレートアクションを検討するために有益な情報が掲載されています。興味がある方はぜひダウンロードしてください。
2020年のIPO動向について
(2020/1月~12月)
a)概況
b)新規上場会社の分析
c)新規上場時の初値騰落率(対公募価格比)の状況について
d)地域別状況
e)主幹事証券会社状況
f)監査法人状況
g)新規上場会社のグローバルオファリング(国外での募集・売出)の状況
h)新規上場会社の潜在株式比率等の状況
i)上場までの会社設立後経過年数について
上場延期からの再上場
2020年は社会環境の大きな変化がありIPOマーケットにも大きな影響を与えました。上場承認が発表されたものの、上場延期を余儀なくされた企業が18社もあります。私は、20年以上IPOマーケットに携っていますが、2001年アメリカ同時多発テロ、2008年リーマンショック、2011年東日本大震災など様々な状況下でも、18社もの上場延期が発表された年は記憶にありません。
上場延期を発表する主な理由
・投資家需要が低く、会社が想定する公募価格より低くなるため
・足元の社会情勢等を踏まえ、業績予想達成が不確実なため
上場承認後に延期を発表。その後再度上場承認された企業は10社
青:再上場までの日数が100日未満
黄:再上場までの日数が180日以上
投資家需要により公募価格が低い場合、企業が十分な資金調達をすることができません。また、既存株主が売出しに応じず、オファリング規模が変更になることもあります。ただしこの場合、価格に関して仕切り直しが出来れば、再申請して上場するまでの期間はそれほどかかりません(90日程度)。
一方、足元の社会情勢を踏まえて上場中止にする場合、その原因が「売上や利益が予算に対して大幅に下回っている。」「足元の業績を踏まえて、通期及び来期以降の計画を変更せざるを得ない」状況であるため、事業計画を見直し、業績予想の変更、変更された業績予想に対する予実管理を実施する必要があるため、再上場には6か月以上かかります。場合によっては、決算期を1期ずらすことも必要です。
いずれにしても、再度上場承認される企業は、変化の激しい社会環境であっても業績予想が達成可能であると取引所審査を通過した企業です。審査をクリアできた企業は予実管理に強い経営体質であり、業績予想未達の不安が少なく、数字に対するコミットメントが強い企業だと思われます。
目論見書分析 人気記事ランキング
昨年公開した目論見書分析記事のうち、最も合計ビュー数1位の人気記事は、ニューラルポケット。2位のグッドパッチがスキ数でトップです。3位のプレイドは公開からまだ2か月弱で他の記事よりも公開期間が短いですが、合計ビュー数がかなり伸びてます。
1位 ニューラルポケット(2020.8.10公開)
2位 グッドパッチ (2020.6.3公開)
3位 プレイド (2020.11.29公開)
4位 Sun Asterisk (2020.7.12公開)
5位 AI関連2銘柄の比較(2020.9.28公開)
合計ビュー数、コメント、スキ数の詳細
ニューラルポケットの記事は、設立からIPOまでの増資概要がすべてわかる資本政策表のExcelがダウンロードできます。まだ読んでない方はぜひ!
目論見書分析記事を書き続ける理由
本来、目論見書は一般投資家への情報提供のために交付されるものです。
目論見書を交付する目的は、投資家の投資判断の基準となる情報を提供することにある。一般に、目論見書には、発行者名、事業内容、資本構成、財務諸表、手取金の使途などの発行者に関する情報、発行総額、発行価格、利率、払込日、満期日などの発行する有価証券に関する情報、および引受人名、引受額、手数料などの引受に関する情報が記載されている。
出所:野村証券 証券用語解説集
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/mo/mokuromi.html
そして、新規上場企業承認されると、投資情報を提供する情報サイトやニュースサイトで、企業概要・業績・事業の特徴について記事を読むことができます。また、上場初日の初値予想をするような有料記事サイトはたくさんあります。
目論見書は投資情報提供が目的なのに、私がその分析記事を書く理由は
「目論見書分析をスタートアップの課題解決に活かしたい」から
私のnoteで解説する内容は、投資情報を提供する情報サイトとは一線を画してます。
目論見書は、全体を通して本当に読みづらい資料です。冒頭カラーの要約・概要ページ(10ページから15ページ程度)はわかりやすく書かれていますが、本文の100から150ページは、形式的なフォーマットで見づらく、堅苦しい文章が並んでいます。このフォーマットは、多少の変化はあったと思いますが、過去20年以上あまり変わってないような気がします。
文章は読みづらいんですが、100ページ以上の本文から、企業の歴史、経営方針、強み、事業方針など、様々な企業の特徴が見えてきます。
これらの情報は、スタートアップ設立を考えている経営者、資本政策を作成しているCFO、CVCから出資を受けることを検討しているレイターステージ企業の経営企画担当などにヒントになる情報が多く、目の前の課題解決の一助になります。
目論見書は、新規上場日から逆算して2年くらい前から作成を開始します。ある意味、企業の自叙伝であり、企業の叡智がつまっています。作成やレビューに関わるのは、企業の上場準備担当者のみならず、取締役全員、主幹事証券会社の公開引受担当、審査担当、取引所の審査担当など。作成途中に上場準備担当者が変更になったり、主幹事証券会社が変更になることもあります。
そして出来上がった目論見書には、最新の情報を真実をもって誤りなく記載されています。企業が目論見書表紙のデザインにこだわるのは、目論見書は単なる一書類ではなく、ある意味「作品」としての想いが詰まっているからです。
目論見書分析をしてわかること
例えば、顧客単価、解約率、ストック型とストック売上の定義について、他社のKPI設計を参考にしたい場合、資本政策の株価を検討する場合に、参考になります。
Sun Asteriskは、ストック売上とフロー売上の比率、顧客単価と解約率の推移をKPIとしている
取締役の選任時期や役員報酬はいくらにすればよいのか。
Branding Engineerの場合は、CFOは上場の2年前に採用。役員報酬は、代表が月額100万円、取締役は月額80万円
増資とストックオプションの株価を分けたい場合、どれくらい差をつけてよいのか。
グッドパッチの場合、2017年4月のシリーズCの発行価格が23,700円、その後2017年7月に発行されたストックオプションの行使価格が4,411円
みなさんは、社外取締役、経営アドバイザー、経営者仲間などからアドバイスを受けられると思いますが、そのアドバイスは、それぞれの方の経験によるところが大きいですよね。
そのような方からアドバイスを受けることができれば、もちろんそれを参考にしてもよいです。私が目論見書分析から解説しているのは、事実として、どのようなコーポレートアクションをとるとどのような結果になるか、IPOできる企業で実際に起こったことをわかりやすく解説しています。
2021年の目論見書分析は、さらに充実します!
・新規上場企業の全銘柄を分析
・テーマ別分析の充実(資本政策、事業KPI、等)
昨年は、私が注目するピックアップ企業のみ分析記事を公開していましたが、今年は全銘柄分析記事を公開します。
1月23日現在、既に2021年2月に7社が予定。その中でも注目したいのは、「AIアナリスト」を提供する株式会社WACUL(東京マザーズ・4173)。AIというテーマ銘柄であるだけでなく、高成長、SaaS銘柄、赤字から黒字転換など、分析するテーマ性として十分。後日、記事をアップします。
特に注目する企業は5,000字以上の深堀分析、それ以外の企業については、新規上場企業概要・業績推移・資本政策・注目ポイントをわかりやすく解説します。
最後に
私は、現役のスタートアップCFOとして、目論見書分析から得られた情報・叡智を、自社の経営管理やデータマネジメントに活用しています。実際、現場で起きている課題に対して、すべてがそれで解決できるわけではありませんが、自分がやりたいと思うことに対する意思決定の後押し、になることが多いです。
自分自身も目の前の課題解決に取り組んでいる身ではありますが、同じように悩みを抱えている、スタートアップの経営者、CFO、経営管理に携わる方から、資金調達、コーポレート業務の効率化、上場準備などの相談を受けています。お気軽にtwitter(@yuyawatanabe0)までご連絡ください。
それでは、スタートアップCFOによる、「目論見書分析note」を引き続きよろしくお願いします!