渡辺由美子(アニメ文化ジャーナリスト)

アニメ文化ジャーナリスト。 コンテンツビジネスの送り手とユーザーに関する記事のほか、作品評やファン文化も書きます。主な執筆媒体に『Business Insider』『東洋経済』『ASCII.jp』『朝日新聞』『現代ビジネス』等 Twitter @watanabe_yumiko

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最近の記事

高畑勲監督が『かぐや姫』で残した重たいバトン-新潟国際アニメーション映画祭プロデューサー陣トークレポート-

新潟国際アニメーション映画祭 第2回で「高畑勲監督特集」があり、私のお目当て『かぐや姫の物語』関係者のトークショーに行ってきました。 会場は新潟の老舗映画館、シネ・ウインドです。 「高畑勲の『かぐや姫の物語』とそれ以後」 【登壇】高橋望(MC)×西村義明(スタジオポノック代表取締役)×櫻井大樹(サラマンダーピクチャーズ代表取締役) 私は、『かぐや姫の物語』にかなり遅れてハマりました。 かぐや姫が、自身も人間という”自然の一部”として日々の暮らしに喜びを見出すこと。 一方で

    • 新潟国際アニメーション映画祭で華やいだ!富野監督、『犬王』応援上映、海外長編作品まで

      新潟国際アニメーション映画祭 第2回大変な盛り上がりでしたね! 長年アニメライターをしてきた私ですが、わからなかったのが「映画祭」というジャンル。 「監督が賞をとるところでしょう?」くらいの認識だった私に、新潟のアニメ映画祭でプログラムディレクターを担当している数土直志さんが、インタビューで意義や面白さを教えてくれました。 お話はこんな感じ(記事を読んでくださると嬉しいです!) ・「映画祭」の本場は欧州。世界中から応募された作品を審査して受賞作が決まる ・日本のアニメ監督も

      • YOASOBIが歌うクランチロールの祭典は、日本にどんな意味があるのか

        3月2日、「クランチロール・アニメアワード 2024」にプレスとして行ってきました! クランチロールは「日本アニメ」を世界各国・地域に配信している企業です。 アニメ配信をする世界企業はNetflixやDisney+など多々ありますが、特徴的なのは「アニメファン」を中心に据えようというスタンスです。 日本では配信をしていないので馴染みがないのですが、元々はアメリカのファンサブ(ファンがアニメに字幕を付けて動画を流すこと)から始まり、正規配信を始め、ソニーグループの傘下に入った

        • 女性の『刀剣乱舞』聖地巡礼が地域活性化に繋がった

          アニメ等の「聖地巡礼」と「地域の街おこし」について調査をする機会がありました。【前回】の続きを書きます。 「観光業界向け」のトークイベントで、 「コンテンツ(作品)の聖地巡礼が地域をどのように活性化させるか」をテーマに登壇者が語った トークセッションイベント「クールジャパンDXサミット2023」 「聖地巡礼ツーリズム」 登壇者 ・司会:エンタメ社会学者・中山淳雄さん(著書『推しエコノミー』等) ・JTBパブリッシング・江本典隆さん(『るるぶ沼津 ラブライブ!サンシャイン!!

          女性の聖地巡礼を「地域」リピーターに繋げるには

          アニメ等のファンによる「聖地巡礼」が「地域の街おこし」に貢献している事例が近年大きく取り上げられるようになりました。 私も先日、「聖地巡礼」をテーマにしたトークセッションに登壇しました。 私が発表させていただいたのが「女性の聖地巡礼と地域活性化」についてです。 「地域を訪れる女性客が増えると良いな」とお考えになっている方々にもご共有できたらと思い、ここに調査結果を書いてみます。 登壇したのはこちら、 観光業界向けのトークセッション「クールジャパンDXサミット2023」 「

          女性の聖地巡礼を「地域」リピーターに繋げるには

          『アリスとテレスのまぼろし工場』まぼろしの街に生きる私たち【ネタバレ感想】

          「何もない街を出る」話がとりわけ好きな私が個人的な感想を書きます。 ■「何もない街」と東京岡田麿里監督には何度か特集とインタビューをさせていただいていますが、なんとなく共通点もあるような気がして、(一方的に)シンパシーを感じています。 1つはアニメ業界にまだ物語の根幹を作る女性作家が少なかった時代に、男性メインの媒体で「自分を媒体にどう合わせるか」すりあわせをしながら作っていったこと。 2つ目は、自分が住んでいた街に複雑な感情を抱えていて、そこを離れて東京に出てきたことで

          『アリスとテレスのまぼろし工場』まぼろしの街に生きる私たち【ネタバレ感想】

          『君たちはどう生きるか』【ネタバレ感想】宮崎監督は「自分の人生の扉を離すな」と言った。

          メタファーがすぎる!ww そんな映画に見えました。 『ラピュタ』も『トトロ』も『カリ城』も、ジブリ作品のモチーフがてんこ盛り。 キリコさんの船の足こぎ(カッコいい!)には、『もののけ姫』のタタラ場の足踏みを、サギ鳥が渾身の力で飛ぶ「ビィィン」と鳴くような羽ばたきからは『ラピュタ』で海賊兄弟が乗るフラップターを感じました。 まだ1回しか見ていないのですが、その時点での感想を書きます。 眞人くんは宮崎駿監督の心の中にいる少年。 直近の記事には「自分の理想だけではなく己の悪い面

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          海外配信が狙う「日本アニメ」価値の高め方

          ソニーが取得し、重要視しているアメリカ発の「日本アニメ」配信企業・クランチロール。ソニーにとって海外展開の要のひとつと位置づけられています。 3月4日にはクランチロールによる日本アニメ作品の授賞式「アニメ・アワード2023」が”聖地”日本で初開催されました。グランドプリンスホテル新高輪「飛天の間」には、日本アニメ関係企業やクリエイターが集いました。 ■クランチロールは「日本アニメ」の世界配信インフラ クランチロールは日本アニメ作品を、世界各国に配信・配給を行なう企業です

          海外配信が狙う「日本アニメ」価値の高め方

          ソニーが取得したアニメ配信「クランチロール」とはどんな"黒船"なのか?

          今、世界各国で「日本アニメ」が急速に普及しつつあります。 そのインフラの役割を果たしているのが「配信」です。 日本でもNetflixやAmazon Prime Video、Disney+など、月額課金の動画配信が定着しています。(このサブスク配信、専門記事では「SVOD/サブスクリプション・ビデオ・オンデマンド」と呼ばれることが多いです) 今回、お伝えしたいのは「クランチロール(crunchyroll )」という 「日本アニメ」に特化した配信企業についてです。 日本では

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          メタバース空間がユーザーの個人体験を引き出す面白さ【日経COMEMO】

          メタバース空間の音楽フェス『JM梅田』(阪急阪神ホールディングス主催)に参加して、とても面白かったのでレポートします! このレポートを通してお伝えしたいテーマは 「私たちユーザーにとってのメタバースの面白さとは?」です。 バーチャル空間「メタバース」には、通信会社、エンタメ、ファッションまで様々な企業が参入しています。 ※上記記事の「バーチャル大阪」はKDDIと自治体(大阪府・大阪市)が連携。今回書く『JM梅田』は私鉄のグループ企業・阪急阪神ホールディングが主催したイベ

          メタバース空間がユーザーの個人体験を引き出す面白さ【日経COMEMO】

          メタバースって何!? スマホで入れるバーチャル空間と主な企業【日経COMEMO】

          「メタバースのライブに『キンプリ』が出るんだって!」 近頃耳にする「メタバース」ですが、私がそれが何かを知ることになったのは、 “推しのライブ”でした。 3月12、13日に開催された『JM梅田』は、阪急阪神ホールディングスが開催した“バーチャル音楽ライブ”です。 出演するのは初音ミク、Vtuberなどの「キャラクター」。 私が好きなアニメ『KING OF PRISM』(通称『キンプリ』)のキャラクターも、3DCGモデルが作られており、ライブに登場することになったのです。

          メタバースって何!? スマホで入れるバーチャル空間と主な企業【日経COMEMO】

          布教が届かないのはなぜなのか?

          私の趣味はアニメ鑑賞です。そしてここ数年は、好きになったアニメから派生した「現場」に通うことが多くなっています。 映画館の応援上映に通ったり、ライブに行ったりと、光る棒を振ることも、アニメ鑑賞と並ぶ趣味になりました。 最近、自分の中でめっっちゃ難しいな! と思っているのが、 「コンテンツの面白さを、別ジャンルの人に伝える」ことです。 2016年『KING OF PRISM(キンプリ)』応援上映の頃は、面白さが伝わりやすかったんです。Twitterでいろんな絵師さんが応援

          布教が届かないのはなぜなのか?

          「サ終」はキャラクターの終わりなのか?【日経COMEMO】

          最近、「サ終」という単語をしばしば目にするようになりました。 「サ終」とは、オンラインゲームやソーシャルゲームで使われる ゲームの「サービス終了」という意味です。 特にスマートフォンのアプリゲームはその人気により、海外も含めた新規参入が相次いでいます。 アプリゲームの場合、更新をストップするのみならず、アプリそのものが開けなくなってしまうものも多いです。 Twitterのトレンドに「サ終」が入ると、それとともに、ファンの「残念」「悲しい」というつぶやきが流れてきます。 熱

          「サ終」はキャラクターの終わりなのか?【日経COMEMO】

          NFTアートで気づくインディーズ・マーケットの価値(デジタル絵の所有の喜びとは)【日経COMEMO連載】

          「NFTアート」というキーワードを通して「絵を買う」行為に注目が集まっています。 デジタルの絵を、唯一の価値を持つものとして売買できる「NFTアート」。 アニメのフィールドでも、『竜とそばかすの姫』とファッションブランド・「アンリアレイジ」がコラボレーションして発表された作品が、NFT鳴門美術館に総額5000万円で落札されたことで認知度が高まりました。 「NFTアート」の人気は急速に高まっています。 一般的に、「絵を買う」ことに関して報じ

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          動画コンテンツの課題は「知ってもらうこと」【日経COMEMO】

          コロナ禍の現在、「キャスト×キャラクター」の動画コンテンツが増加していることを【前回】書きました。 ステージ開催が困難な現在、送り手にとって「動画」は、アニメやゲームよりも小規模からスタートできるキャラクターコンテンツというメリットがあります。 ですが、課題もあるように思います。 ■オンラインイベントは新規作との”偶然の出会い”が発生しにくい動画コンテンツの急増により、送り手にとって難しくなったのは「どのようにお客さんに知ってもらうか」だと感じています。動画は導線もさま

          動画コンテンツの課題は「知ってもらうこと」【日経COMEMO】

          イベントから動画へ。声優で伸びる「キャスト×キャラクター」動画【日経COMEMO】

          ■コロナ禍で需要増える「キャスト×キャラクター」動画コロナ禍で、アニメ業界でも、ライブや舞台等のステージものの開催が困難になりました。 声優やアニメソングの歌手、2.5次元の舞台俳優なども、大きなステージに立ちにくいという現状があります。 一方で、声優や俳優、歌手などの総称「キャスト」によって、定着したのがYouTubeなどを使った「配信動画」です。 キャストの配信動画は、個人の自主企画も含めて増加していましたが、コロナ以降は、従来であればTVアニメを出発点にしていたよう

          イベントから動画へ。声優で伸びる「キャスト×キャラクター」動画【日経COMEMO】