井筒俊彦*ボルヘス*ボルヘス*カバラ、ボルヘス
「世界で最も難しい言語はどれか?」はあまり有効な問いではないとされる。その言語の性質以外の外的要因、とりわけ学習者が何を母国語としているかによって、答えが全く違ってくるからである。しかしながら(あるいはそういうわけで)、「日本語を母国語とする者にとって最も難しい言語はどれか?」と問いを立て直してみるならば、イスラーム学者井筒俊彦の経験談はひとつの参考となりうるように思える。井筒俊彦の語学的天才性については幾多の途方もない伝説が残されているのだが(一か月で一言語を習得する、文