遺産になった道具達 その5 ボウズをあけます
今回の忘れ去られた道具はこれです。
本屋さんで、本を購入する時、本から半円だけ頭が出ている短冊が付いているのはご存知かなと思います。数年前から、この短冊自体が不要になりはじめて、今はあまり、これが付いている書籍は少なくなってしまいましたが、その短冊を「売り上げカード」と言ったり「スリップ」と言ったりしています。
でも、私たちの業界用語では「ボウズ」と言ったりもします。
昔は、ウチノ社内でも「ボウズ」と呼ぶ方が圧倒的に多かった記憶があります。
そう、本の天から顔を出しているこの半月の短冊(スリップ)がボウズです。ボウズを本に差し込む作業を「ボウズ入れ」と呼んだりもしています。
この、半月を空けるのに使ったのが、最初の写真の道具です。昔は、この穴アケの型を印刷物の位置に合わせて、木槌で打って穴をあけていたのです。
実際には、私も使ったことはありませんが、同業者が少量のスリップを開けなくてはいけないから、型を貸してほしいというので、貸してあげたことはあります。
今は、この9連のボウズ穴アケ機(半月穴アケ機)でドンとあけてしまいます。実はこの機械も古くて私が業界に入った時からすでにありましたので、木槌でたたいてスリップの穴アケをした経験はありません。
でも、機械が壊れることもあるので、非常用には使うこともあるだろうと、この道具も捨てられずにいます。
(記事担当:社長)