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遺産になった道具たち その2-竹べラ

今回紹介するのは、竹製のヘラです。薄く平べったい5センチ×21センチくらいの道具で、紙を折りたたむ作業に使われます

手作業時代の必需品、紙を折る道具「竹べら」

これは、昔々、紙折作業を機械ではなく、手作業でこなしていた時に使っていた道具です。
「ヘラ」「竹ベラ」と呼ばれていて、今では見本用のダミーを作る時くらいしか使わなくなってしまいました。
今でも何本か健在で、たまに使います。

折りべら
紙折りの際に折り目をつける道具。長さ約250mm、巾50mmくらいの竹または堅木、或は牛骨などで造られている。よく使い慣れないと、刷本を破損することがある。
竹べらに似たもので、紙やクロスなどを切り截つのに用いる竹製のナイフがある、これを「さきべら」(bamboo spatula)という。

『製本用義 訓練所用』川口寿・著より

今では束見本用の紙を折りたたむ時が出番

渡邉製本では、束見本用の本文用紙を折る時に竹ベラを使っています。

大きな紙を折りたたんで製本ダミーの本文に使う
折り目に空気が入るとシワや膨らみの原因になるので慣れが必要な作業

下の写真のように、よくよく見ると、両サイドの真ん中にアールが付いていて、くぼんでいるのがお分かりにになるかと思います。

使い込むと真ん中が摩擦で削れてくびれてくる

これは、最初からではなく、使い込んでいくうちに、紙との摩擦で、少しずつ、削れていったためです。
前回書いた「コツ」と同じで、使い込まれた証拠です。

竹輪で紙折り作業のショート動画もあります

40秒ちょっとのショート動画です。紙を折るシューッという音がASMRっぽいです。

昔の女工さんは一時間で1000枚も折っていた!?

紙折り機ができる前は、女工さんたちがせっせとこのヘラで折っていたんだそうです。
先代の話によると、早い人は1時間に1000枚位折ったとか。本当ならすごい早業です。
私なんか、白紙でもとてもそんなに早くは折れません。

たまたま、「製本界」という組合の業界紙の表紙写真に戦前の紙折作業の風景がありました。

こんなふうに人海戦術で折っていたのですね。
よく見えませんが、きっと竹ベラをみんな手にしてシュシュッとリズミカルに折っているのでしょうね。
私の知らない、遠い昔の時代のことですね……


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イラストAC : ぶらお様 / kinoko3様

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