マーブリング染 :一期一会の模様を生み出す技法
皆さん、マーブリング染という技法をご存じですか?
溶液の表面に何色かの絵の具を重ねて浮かべ、櫛や筆で模様を描き、それを紙に写し取る特殊な技法です。
マーブリングの技法は15世紀頃のトルコが起源と言われ、その後、イタリアのフィレンツェで盛んになった歴史があります。
日本でも唯一無二の複雑な模様とその美しさから、装丁はもちろん、改ざん防止の実用面で明治時代から洋式帳簿製本にも用いられてきました。
帳簿では製本用語で「小口(こぐち)」と呼ばれる本の側面にマーブリングを施すことで、改ざん目的による、その複製やページの抜き取り防止の役割を担っていました。
但し、この25年来の電子媒体の発展により、紙の帳簿の需要は限りなくなくなり、マーブリングを施した製品を見かけることはほとんどなくなってしまいました。今年からの電子帳簿の義務化で、紙の帳簿が引導を渡されてしまったことは記憶に新しいことです。
つまり、マーブリングの技術は、ほとんど絶滅危惧種の動物のようになってしまったのです。
弊社では2022年から本格的にその技法を職人に学んでもらい、自社のオリジナル製品にマーブリングを施すために社内で研鑽を積んできました。
その加工の簡単な手順の写真ですが、ご覧ください。
通常の仕事の合間を縫ってのトレーニングではありましたが、職人さんがスキルをアップしてくれたおかげで、2023年の夏と秋に開催された文具販売のイベントで、初めてその技法を施した限定版の商品を披露することが出来ました。
初めは、表紙用紙にマーブリングをして上製本に仕立てたノートからスタートしましたが、職人さんも、どんどん腕をあげてくれて、弊社のオリジナルノートの小口(三方の切り口)にもマーブルを施すことが出来るようになりました。ノートは角丸加工されているので、その部分がとても技術的に修練が必要で、本当に慎重に染めています。(写真ではなかなか、その慎重さが伝わらないのです。動画ですと良くわかるのですが。)
今は、社内で2人しかこの技術を習得していませんが、仕事の合間を縫っては、他の若手社員にもマーブリングができるように訓練してもらっているところです。なぜなら、一人一人の感性の違いで、色の組み合わせや描く模様が違ってきますので、技術が広がればそれだけいろいろな一期一会の模様が編み出されるはずだからです。
弊社では、マーブリングノートを限定品としてオンラインストアで、不定期ですが、数量限定で応募による抽選販売をしています。
また、マーブリング染付のオリジナルノートのOEMも承っておりますので、ご興味のある方はメールでお気軽にお問い合わせ願います。
(記事担当:社長)