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人生が大きく変わる「底つき体験」とは?



1. はじめに:「底つき体験」とは



「人はどん底を経験して、初めて変わることができる」


この言葉を、どこかで聞いたことがあると思いますが、あなた自身がそれを目撃したり、経験したことはありますか?



「底つき体験」とは、人生でどん底に落ち、そこから今までの生き方や行動を見直すことを言います。



あらゆる依存症の中においても最高の治療法として知られており、人生のどん底の体験を通じて、これまでの自分を大きく変える方法です。



この治療法が、なぜ効果的なのかと言うと、最終的にはどんなことも、本人が「変わりたい」と心の底から思わないと、



どんなに周りが手助けしても、十分な効果が得られないからなのです。



しかし、「底つき体験」を経験することで、本人がようやくその事に気づき、結果、変わりたいという、強い意志が生まれることがあるからです。



たとえ、家族や友人が助けられる状況であっても、本人が本気で自分を変えたいと思うまでは、周りはあえて手を貸さないことが大切なのです。



これを聞くと、冷たいように感じるかもしれませんが、実は依存症を持つ人を救うための、もっとも効果的で、有効な治療法の一つなのです。


2. 人生を変える大きな決断



「底つき体験」は、ただ辛い状況に追い込むためのものではありません。


そこから、自分の中にある、変わるための強さや勇気を見つけ出し、立ち直らせることが目的です。


無責任な行動や、誤った判断を繰り返してきた人が、最後に「底つき体験」を経験することで、


自分の行動が、人生をどれだけ悪化させたのかに気づき、その後の人生を大きく変えることができるのです。


その瞬間に、「変わるか、このままでいるか」を選ぶのは、最終的には本人自身が決める必要があるのです。



そして、その気持ちが生まれたときこそ本当の変化が始まる瞬間なのです。



3. 家族との共依存の関係


例えば、ギャンブル依存症の父親がいる家庭を考えてみましょう。


精神科医の先生によると、依存症の人の背後には、必ずそれを支えている家族、特に妻の存在があるようです。


妻は夫のギャンブルに対して不満を抱きながらも、決して離婚せず、文句を言いながらも働いてお金を稼ぎます。



こうして夫は、ギャンブルを続けるお金を手に入れてしまうのです。



これは、アルコール依存症患者に置き換えても同じことが言えます。依存症患者が飲み歩くお金があるのも、それを支える家族がいるからです。



また、「うちの旦那はすぐに仕事を辞める」「何をやっても長続きしない」と嘆く妻もいます。



精神科の先生によると、このケースでは、妻が稼ぎ手であることが多く、夫が簡単に仕事を辞めることが可能な状況を作り出してしまっているのです。



そして、これには「共依存」という関係が深く関わっています。


4. 共依存とは何か?


共依存とは、互いに「この人には私がいないとダメだ」と思い込む関係を指します。


例えば、ある男性が「自分は何をやってもダメだ」「稼ぐことができない」と感じている場合、



社会での競争を避けたい彼は、自分を受け入れてくれる女性を、人生の早いうちから探し始めます。



若い頃から異性にモテる男性が「自分の魅力を活かしてホストになろう」と考えるように、



競争が苦手な男性は、お金が稼げない自分を受け入れてくれる女性を、人生の早い段階で見つけようとするのです。



そして、そのような男性を支える女性も「私がいないとこの人はダメになる」という人を無意識に探しているわけです。



精神科医によると、共依存関係にある二人は、どんなに大勢の人が集まっている場でも、まるで落雷に打たれたかのように、



「ビビッ」と強烈な衝撃を感じ、運命に導かれるように、お互いを見つけ出すそうです。



実際、共依存の患者に「どうやって今のパートナーと出会ったのか?」と尋ねると、



多くが「自分でもよく分からないけど、『この人だ』とすぐに感じた」と答えるそうです。まるで運命に導かれたように出会いを語るそうです。



精神科医がこの現象に気付いたのは、何年経っても同じ悩みを抱え続ける患者が多いことから、



「彼らは自分でそのような相手を選んでいるのではないか?」と疑い、調査を進めた結果、明らかになったのだといいます。



例えば、暴力を振るう男性(DV)と別れた女性が、次のパートナーもまた暴力的な男性を選んでしまうケースがよくあります。



これは、女性自身が内心では「自分は殴られて当然の人間だ」と感じておりその結果、再びDVを振るう男性を無意識に選んでいる可能性があるのです。



つまり、「うちの旦那は何をやってもダメだ」と言う女性は、そのような男性を自ら選んで、自分の存在価値を常に感じられるようにしているのです。



そして、男性の方は「こんな自分でも大丈夫だ」と言ってくれる女性を見つけて、「この人は私がいないとダメなんだ」と感じさせる行動を繰り返し、彼女からの支援を引き出し続けます。



例えば、子供の面倒をよくみたり、女性を喜ばせる行動をとったりすることで、自分が苦手な、お金稼ぎ以外の方法で、生存をはかるそうです。



この男性は今の女性と別れても、また似たような女性を見つけ、同じサイクルを繰り返します。女性もまた同様に、似た男性を選ぶのです。



これが、心理学的に言う「共依存」の関係です。



さらに、詳しく知りたい方は、こちらの本を読んでください。


5.「底つき体験」の大切さ


さて、アルコールやギャンブル依存症の治療法としてよく知られている「底つき体験」について、話を戻しましょう。



もし、あなたがパートナーや家族、もしくは友人に「もう一度、人生をやり直してほしい」と本気で思うなら



「底つき体験」を経験させることが最も効果的です。



例えば、友人がビジネスで無理なリスクを取り、大金を借りて、大きな挑戦をしたとします。



成功すれば、家族や友人から褒められ、社会的にも高く評価されるかもしれませんが、失敗したときには、全てを失う可能性があるのです。



そのような状況になったら、途中で何度も助けるのではなく、一度、友人に全てを失ってもらい「底つき」を経験させることも、必要なことだと、私は考えています。



家族や友人から見放され全てを失うことで、ようやく自分の無茶な行動が自分だけでなく家族の人生も危険にさらしていたことに気がつけるからです。



私もブログを使って業界の人たちに、リスクや危険性について警鐘を鳴らしているつもりですが、成功を急ぐ人たちは、その忠告に耳を傾けません。



その場合は、一度、全てを失ってもらって、「底つき体験」をしてもらうことも有効的な治療法だと考えています。



冷たく感じるかもしれませんが、私はこれを、「本当の優しさ」と信じています。もちろん、私もよく、誰かを助けることがあります。



しかし、その助けを当たり前のように受け取り、途中から自分の力だと勘違いしている姿が見えたときはそれからは二度と無償で手を差し伸べません。



彼らが自信を持ちすぎて過度なリスクを取った場合、最終的には、「底つき体験」をして、そこから学ぶことも大切だと考えています。



なぜなら、途中で何度も助けることで、「また、なんとかなる」「また、誰かが助けてくれるだろう」と考え、ビジネスのリスクを軽く見てしまい、



同じ失敗を繰り返すことが目に見えているからです。



さらに言えば、「底つき体験」は、できるだけ若いうちに経験した方が良いことは、誰の目から見ても、明らかだからです。



6. 実例:TOKIOの山口さんの場合


2020年9月22日、TOKIOの山口達也さんは、飲酒運転でバイク事故を起こしました。



山口さんがアルコール依存症になってしまったことを知った、TOKIOのメンバーは彼の復帰を許しませんでした。



最初は冷たい対応に見えたかもしれませんが、これは山口さんに「底つき体験」をさせるための重要な決断だったのです。


そこから、山口さんはすべてを失い、アルバイトで生計を立てるようになりました。


現在、彼はアルコール依存症のセミナーに頻繁に参加し、自分が失ったものの大きさを語っています。


また、彼は今でもアルコール依存症と戦っていることを涙ながらに語り、同じ悩みを抱える多くの患者に、勇気と励ましの言葉を贈る活動しています。


正直に言うと、私は、TOKIO時代の山口さんは、あまり目立っていないと感じていましたが、今では、彼が最も印象に残るメンバーとなっています。



なぜなら、彼は自分の過ちに気づき、それを反省して行動に移しており、その活動を通して、山口さんが、とても輝いて見えるからです。


7.実例:青木さやかさんの場合


芸能人の青木さやかさんも、ギャンブル依存症を「底つき体験」によって克服した一例として知られています。


彼女は今でも、ギャンブル依存症の自助グループに通い、そこで他の依存症に苦しむ人々を励ます活動を続けています。


また、大谷翔平さんから大金を盗んだ、水原一平さんについて、青木さんは次のようにコメントしています。


彼女もまた、「言葉は悪いけれど、底つきは、その人にとって”チャンス”だ」と述べています。


8. 適切な支援のタイミング



このように、本当に家族や友人で変えたいと思う人がいるのであれば、できるだけ早いタイミングで、「底つき体験」を経験させることが重要です。



例えば、散財して、会社が傾いたような場合は、その罪を自分で償わせることで、初めて「二度と繰り返さない」と誓うことができるのです。



友人を助けることが簡単にできる立場にあるなら、すぐに手を差し伸べたくなるかもしれません。



しかし、もし、本当にその人が変わることを望むなら、彼らにとって、できる限り早い段階で、「底つき体験」をさせることが最も効果的なのです。



本人が「自分は本当に間違っていた」と深く反省し、自分の過ちを認識した瞬間こそ、支援を提供する絶好のタイミングです。



そのときには、「君に合う仕事があるのだけれど、試してみないか?」と、相手の自立を促す形で支援することが、最善の方法となるでしょう。



私の場合は、友人が、底つき体験を経て、それでも「もう一度挑戦したい、起業したい」と決意し、お金を貯めているのを見たら、



150万円が貯まった時点で、同額の150万円を出資しようと考えています。



なぜなら、私も過去に「底つき」を経験したときに、その方法で、友人に助けてもらったことがあるからです。



そして、そのことを10年経った今でも、ずっと感謝し続けているからです。


9. 真の更生のために


本当に大切な友人や家族を救いたいと考えるなら、冷たいように思えるかもしれませんが、本人がすべてを失い、自らの行動に向き合う時間を与えることが必要です。



彼が再び立ち上がるための鍵は、周りがその人を過度に援助することではなく、本人が「変わらなければならない」と自分の意思で決断することにあります。



もし、あなたが「ずっと僕に依存してほしい」「この人には私がいないとダメだ」と恋人同士のような、共依存の関係を望んでいるのなら話は別ですが、



そうでないなら、本人がリスクを直視し、その結果を受け入れた後に、手を差し伸べることが、その人を本当に救うための最も効果的な支援なのです。



今こそ、その人が変わる時だと信じて、その瞬間を待ちましょう。手を差し伸べるタイミングが来たら、自立を促す形でサポートしてあげましょう。



しかし、それまでは急いで助けず、相手が自分の力で、立ち上がるのを見守ることが大切です。



山口達也さんXより

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