賛否両論も需要拡大の可能性を感じた「Amazon Style」【わたちゃんの、まったりビジネスコラム】
アパレルショップに入って接客を受け、「こちらの方がお似合いですよ!」と言われると必ずそっちを買ってしまう、わたちゃんです。しかもその選んだのは、たいがい値段が高い方です。本当にこちらの方が似合っていたのか不安になることもあります。
昨年秋に米国の小売業視察で、Amazon Styleを訪問してきました。Amazon Styleとは、最新テクノロジーを活用したサービスとオペレーションにより、よりパーソナライズされたショッピング体験を提供するアパレル店舗です。2022年5月にロサンゼルスに1号店ができました。
最大の特徴は、店舗での服選びや試着室の予約をスマホ経由のセルフサービスでできることと。そして、自分が希望した試着品以外にアマゾンのAIを駆使したリコメンド商品が試着室に準備されていることです。リコメンドは、年齢や体型、自分の好みを登録(スマホアプリに次々と写真が出てきて好き、嫌いを選ぶ)した情報や、過去の購買履歴から判断しているようです。実際に試着室に入ると、自分が選んだ試着品以外にアマゾンレコメンドの複数の洋服と靴が棚に並んでいました。
まだまだ実験店舗的な意味合いが強く、「こんな店では買いたくない」というファッション好きな方の意見もありましたが、大いなる可能性を感じました。リコメンドの精度は学習を繰り返すことで向上します。アマゾン生態系で収集されるさまざまな購買履歴や、SNSでの投稿情報、デジタルで把握できる行動履歴が学習データとなり、精度が高いリコメンドとなってきます。
昨今では、アパレルもサブスクリプションサービスが登場してきています。AmazonStyleならば、指定の日時に顧客のTPOに応じた服をAIが判断して服を試着室に準備してくれ、顧客は試着室で着替えてお出かけできます。「今日は彼女にディナーでプロポーズする」とAmazonに伝えれば、彼女のSNS情報から彼女好みの、しかもちょっとフォーマルな服装を選定して用意してくれているといった、近未来映画に登場しそうな場面も想像できます。
ということで、大きな可能性を感じた視察でしたが、悩みである、「アパレル店舗での接客に弱い」という自分のソリューションにも最適ではないかと思いました。ファッション好きではないけど、お洒落な服は着てみたい。でも店員とファッション談義はできない、でも誰かに「これ似合うよ」と言って欲しい。こんな優柔不断なオヤジには、アマゾンが「これ似合うよ」といってくれるだけで十分なのです。こんなタイプ、多いと思うんだけどな……。