バンコク視察で感じた“Used in Japan”の価値【わたちゃんの、まったりビジネスコラム】
誰も住んでいない愛媛の実家を取り壊し、更地にして近所の人に引き取ってもらった、わたちゃんです。廃墟になって近所迷惑にならずに済んだことにホッとしている半面、生まれ育った実家、帰省先がなくなった寂しさがあります。まだ使えそうな家具や食器、雑貨を処分したのはサステナブルではなかったと、少し引け目を感じました。
昨年10月に、海外の小売り事情の視察でバンコクを訪問しました。最先端の商業施設は、お洒落でゴージャスな造作で、そこだけ見ると日本以上の繫栄と豊かさを感じました。とても「発展途上国」というワードは相応しくない風景でした。
一方、そんな最先端商業施設から一歩裏道に入った街は、昔ながらの屋台や市場があり、早朝から人込みでごった返しています。また、若者が溢れかえっていて経済成長の真っただ中の活気があり、15年ほど前に上海を訪れた際に感じたものと同様のものを感じました。豊かさに貪欲でありながら、やさしい笑顔が溢れかえっている風景にとてもワクワクしました。
今回もっとも刺激的だったのは、日本の中古商品を扱っている販売事業者の視察でした。アパレル、家具、ぬいぐるみ、ゲーム、工具、食器、レコード、その他小物類を、毎月コンテナ15台分ほど日本から輸入して販売しています。
日本で“使われていた”ということがブランドになっているというのです。つまり、Made in JapanでなくてもUsed in Japanであれば、価値があるそうです。
さらに興味深いのはビジネスモデルです。アパレルや小物類は、基本的に量り売りで、1キロあたり価格で販売しています。カテゴリ分けされた売場がいくつもあり、売場単位で量り売り単価が決まっています。しかも、その単価は毎日10%ディスカウントされ、10日で売り切りとなるのです。
買い手にとっては、欲しい商品は10日間のうちの早い日程で来なければGetできませんが、遅い日になると安くGetできるのです。業者と一般顧客が半々で、とくに業者は毎日来店しています。
したがって、売り手側はいかに初日の売り出しをイベント的なものとして集客するかが勝負です。若い女性を採用し、彼女らのSNSでプロモーションすることをメイン施策としており、10万人フォロワーがいるスタッフもいるとのことでした。
ちょうど訪問日に初日の売場があったため動画撮影をしました。カウントダウン形式の開店で、買い物かごをもって店内になだれ込む様子はオイルショック時のトイレットペーパー騒動を彷彿させました。サステナブルな視点やビジネスモデルの視点など、非常に興味深い見学先でした。
ということで、愛媛の実家の処分品もこちらに持ってくれば大いに価値ある商品として喜ばれるのにもったいないことしたな、と反省しました。あるいは取り壊し業者がコンテナに積んで輸出してくれていたなら、社会貢献したことになるけれど。
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