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「受け取ってくれてありがとう」の心がけ


「For you」は誰のため?



先日、初めて祖母の家で在宅ワークをしました。

職場から作業用のPCを支給されているので、インターネット環境さえ整っていれば、やろうと思えば基本的にどこでも仕事ができます。

祖父の入院中に祖母が一人で心細いというので、在宅予定の日だけ泊りに行きました。Wi-Fiの準備だけは必要でしたが、通常通り仕事を進められるものだと実感しました。コロナ禍で様々な制限があり不自由もしますが、こうして大切な人の身近に寄りそう時間を増やせるのは、見方を変えれば感謝すべきことなのかもしれませんね。

祖母と話をしていて感じたのは、「自分がやらないと」という気持ちの強さが、その人自身を縛り付けるということです。

祖父が病気で食欲がなくなり、それでも少しでも食べてほしいと試行錯誤を重ねるものの、なかなか食が進まない。「そこまでしなくて良いと思うよ」と私や父が話しても、「私がやらないと」という使命感が強いらしく、今度はこうしてみよう、と試してはその繰り返し。

相手のためを想って努力しても、その相手が喜んでくれないとき。

「せっかくやってあげたのに」
「すこしくらい感謝してくれてもいいのに」

そういって時には機嫌を損ねてしまう。自分がいないとダメ、と思い込んで色々と手伝ってしまうことは、子育てや仕事の中でもよくある場面ではないでしょうか。

私の母もこの傾向が強く、血が繋がっていない二人が似たような性格のため、その二人の血を継いでいる私はなおのこと、その傾向があるなと自覚しています。

ですが、何かをやってあげることは、実は大部分が自己満足だったりしますね。相手の喜ぶ姿や、「ありがとう」という感謝の言葉を聞いて、自分が役に立ったと感じたいのは、他でもなく自分自身。

私が最近愛読している、新谷典子さんの著書『すべてを叶える』の中で、このような言葉があります。

“多くの「For you」は「For me」”だと。

「あなたのために」というのは美しい響きですが、一歩間違えると相手を責める言葉になりかねない。

本では、地方公演の歌手を例に挙げています。

「ファンの皆さま方のために、ここまで参りました」

そう言われると、自分たちのために来てくれた、と感じる一方で、「わざわざ来てあげました」というニュアンスで受け取られる可能性もあります。

先日の3月11日で、東日本大震災から10年が経ちましたね。被災地への復興支援コンサートが数多く開催され、様々なボランティア活動も行われてきました。

「被災地の役に立ちたい」という想いからの行動は素晴らしいです。ただ、それをしたから当然に感謝されるかといえば、必ずしもそうではないです。なぜなら、相手からお願いされたわけではないので。

自分がどれだけの時間やお金、そして労力を費やしたとしても、相手が納得するものでなければ、相手の心を動かすことはできません。

それはコンサルにも通じることですし、YouTube投稿や本の出版でも言えることですね。営業であれば、価値を伝えたからといって相手から感謝の言葉を引き出せるとは限りません。

祖父母のような介護も、子育ても、誰かへのプレゼントも同じ。

むしろ、「受け取ってくれてありがとう」という気持ちを持つことが大切だと感じています。

価値を与えて一番喜ぶのは自分自身

特に社会人になってからは、「自分がやりたいから」という意識を持って行動するようにしています。

先日、祖母の家で在宅ワークをしたのも、祖母からのお願いではなく自分がやりたくて提案したこと。だから受け入れてくれたことに感謝しています。その上で「来てくれてありがとう」と笑顔で言ってもらえると、なんだか得した気分になりますね。

周囲の評価を気にして行動できずにいた時よりも、ずっと気持ちが楽になるし、相手の喜びを考える楽しさも感じられる。主体的に行動するのでパフォーマンスも向上するので、結果的に相手に喜ばれる可能性が高まるはずです。

辛そうにしている人からの大きなプレゼントよりも、幸せそうにしている人からの小さなプレゼントのほうが、もらったときの喜びが大きくなるのではないでしょうか。

ただし、こちらが受け取る場合であれば、常に感謝の気持ちを忘れないように心がけています。

どんなものでも、相手が一生懸命に想いを込めてくれたものであるなら、まずはその想いに対して感謝の気持ちを伝えたい。もしそれが、自分が必要としていないものであるなら、まず一度、どうにか活用できないかと考えてみて、それでも難しければきちんと伝える。

相手の親切に大して断ることは勇気がいりますから、もちろん100%出来ているわけではありませんが、その意識を持つだけでも違うのではないかと。

「For you」=「For me」

与えることができる感謝と、
与えてくれたことへの感謝。

この二つが飛び交う環境が広がれば、それが組織の成長へ、そして大きな成果へと繋がると感じるのは、私だけでしょうか?


“わがままこそ最高の美徳”(ヘルマン・ヘッセより)

和顔愛語の連鎖を大切に、これからも環境づくりに貢献します。


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(参考文献)

新谷典子『すべてを叶える』
~仕事も家庭も子育ても思いを形にする
  ハッピーマインドの磨き方~

すべてを叶える20210314



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