先日公開されたZweiLance氏の「【全20問】ZweiLance VS デュエマ認定ジャッジ試験(模擬)【解説付き】」の動画、良かったですよね。
認定ジャッジのあんだんて氏の解説も流暢でありつつ動画の範囲で溢すところがないように語っていてジャッジの仕事ぶりを感じる内容でした。
デュエマのルールについて語られるのはその性質上記事媒体のことが多いので、動画で取り上げられるというだけでルールについて広く知られる機会となってありがたいと思います(これとかも)。
デュエマって総合ルールが内容も構成もしっかり作られており、ルールを知れば大抵の場合あまり解釈を挟まずに各個別事例に対応できるようになってるのが良いんですよね。
ただそれ故、折角の有名プレイヤーがルールを取り上げる機会にそれぞれの答えの論拠が総合ルールレベルで示されていないのが惜しいと思ってしまったので、勝手に補足したいと思った…という趣旨です。
当然ですが主な引用元は以下。
また出題文の提示として当該動画からも引用しています。
①
これはそれなりにルール自体が有名なものかも。端的な「「できない」効果は「できる」効果に勝つ」という文が良い。
②
S・トリガーは割り込んで処理が発生します、ということだが、デュエマの根本部分のシステムである割には意外と面倒な処理だと思う。
例えとしては既に古い感じもあるが、《音感の精霊龍 エメラルーダ》の能力の途中でS・トリガーが捲れると処理の続きをする前にS・トリガーを使って良い、とかは類似例としては最適か。
よくある質問では《メラヴォルガル》の例などが挙げられている。
③
「置換効果は連鎖しない」という文言で広く知られる裁定。《グラディアン・バレット・ドラゴン》でメタ能力を貫通しながら踏み倒せるの好き。
④
より厳密に言うならば、「保留状態のカードは山札に属しているが、そのゾーンにあるカードの枚数として数えなくなるので山札が0枚のカウントになる→よって負ける」が正確。
「属しているが数えない」ってなんだよってなるし超めんどくさいルール。
⑤
動画内では正確に伝えようとしているが少し分かりにくいので補足すると、「タップしているクリーチャーをタップ『しようと選ぶ』ことはできるが、実際にタップすることはできない」という点がルール的に重要。
そして《断断打つべしナウ》はタップしているかどうかを問わないので既にタップしている自クリーチャーに誘導可能。
⑥
複数のカードで構成されたカードの話は、ゴッドの特性も加味すると非常に面倒くさい。
まず問題そのものについて(現在のデュエマはエレメントという種別が出来てしまったせいで逆にややこしくなってる感はあるが)、最も重要なのはカード指定ならば構成カードの1枚を対象指定出来るということ。
しかしゴッドの場合そこから「除去指定されていない構成カードも自分が除去対象に選べる」という処理が入る(問題の場合《神帝マニ》の方を除去可能)。
そしてエレメント指定の場合は構成カードの1枚を対象指定することはできない。
注意としてここでは803.1bが論拠であるように示されているが、実際に重要なのは316.3.で、ここではカード指定とエレメント指定の違いが書かれている。
また、動画で説明されている「キング・セルが離れる際にEXライフの置換を適用できる」については812.1eに依る。
近い存在であるサイキック・セルの処理は805.1cに依る。
こちらも同様に、セルが離れた場合はクリーチャーが離れたものとしては扱わない。めんどくさ!
⑦
特に《逆瀧》などで有名な裁定ではあるが、論拠として引用される110.2はそこまで具体性のある記述をしていなかったりする。
「プレイヤーに影響を与えるというのがどういうことか」というのは結構慣例的。
⑧
主に110.4dに依拠。《砕慄接続 グレイトフル・ベン》で《怒流牙 サイゾウミスト》をマナから出すの、良いよね。
⑨
「〜(特定のゾーン)にあれば」というような条件がある場合、誘発条件を満たす瞬間にそのゾーンになければ機能しない。裁定が変わったらしいのが2016年あたりっぽいので、それ以前にプレイしていた人だと引っかかるかも?
⑩
ここでは手札からそのまま呪文を唱える状況について語っており、その場合は409.1bと409.1cの複合が論拠となる。
(自分のターンに)トリガーで《星龍の暴発》を唱えた場合も状況は変わらないが、「S・トリガーは手札から使っている」ということは知らない人も結構見かけるので補足(特に更に以下の2つのルールの複合に依る)。
⑪
「宣言が必要な誘発型能力」は誘発条件(つまり「~する時」)さえ満たしていれば解決する際の条件が満たされてなくても宣言可能で、特に603.2.、603.4.を参照。
多用するカードの中で同じ状況があり得るのは《百鬼の邪王門》などか。
「クリーチャーが攻撃する時」という誘発条件さえ満たしていれば、「シールドが1つもない~」とか「闇のカードと非のカードが~」の部分は満たしていなくても宣言可能!
⑫
動画では「クリーチャーを構成しているカードはクリーチャーとして扱う」という説明がなされているがこれは誤りで、例えば109.2cには「クリーチャーの上下に重なっているオーラや魔導具等はクリーチャーの構成カードに含まれます」とあるが動画での説明の場合オーラや魔導具等がクリーチャーということになってしまう。
構成カードをクリーチャーとして扱うかどうかはコアとセル特有の裁定なので注意したい。
⑬
これはこの状況そのものについてのルールが存在する。
バトルの際墓地に置かれるのはバトルに負けることによってなので、敗者がいなければ墓地に送られる存在も無い、ということだ。
⑭
動画でも注意があったが、《FORBIDDEN STAR〜世界最後の日〜》は自分のフィールド全体のルールを書き換えているようなものなので合わせてチェック。
⑮
《黒豆だんしゃく》や《ジョット・ガン・ジョラゴン》に連なる、「出た時」のテキストに関する効果。
「特定のテキストへの効果」という特殊性もあり、これらについては総合ルールに明確なルールがあるわけではなく裁定で読み方が定まっている。
革命編以前までの「このクリーチャーをバトルゾーンに出した時」というテキストやそこから王来篇以前までの「このクリーチャーがバトルゾーンに出た時」というテキストは、現在の「このクリーチャーが出た時」と同一視するという裁定になっていることは引っかかる可能性もあるので注意。
裁定で読み方が定まっている部分なので、個別事例を色々確認しておく必要があるのが大変。
⑯
これはセイバー能力で同様の裁定が出ており、《アーテル・ゴルギーニ》特有の現象ということでもないので覚えておく必要はあるだろう。
この裁定は直感的ではないが
のような感じだと考えると納得しやすいだろうか。
⑰~⑲
最近だと《シェケダン・ドメチアーレ》の裁定でよく知られるようになった挙動だと想うが、そちらの方の裁定にはより分かりやすく論拠が書いてある。
同時に行う行為はいくつもあるが、カードを引くという行為に関しては同時に1枚だけと特別に定められている。
こちらはそれ以外のパターンについて。
⑳
これについてはそのままの文言でルールに記載されている。
おわりに
厳密にやるとめんどくさいですねルールって。個人的にはこういう部分をチェックしてるとコンボを思いつくきっかけになったりして結構面白いです。
総合ルールにまであたるのは大変ですが、困った時の論拠は大体書いてあるので一度は眺めてみるのもどうでしょうか。
それでは!!!