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デュエマクラシック05環境で遊んだ話【デュエマ】




土曜に友人の家で遊んでいると、デュエマクラシック用のデッキがあるというので複数人で対戦することに。

ジャンケンで勝ったヤツからデッキを見て選べる、というルールにし、見事イチバンに選ぶ権利を得た自分が確認すると、こんな4つのデッキだった。

友人は何かを参考にこのデッキたちを作ったらしいが、何を参考にしたかは覚えていないらしい。


これらをパッと見てすぐさま思ったのは「こいつらめちゃくちゃヘン!!」ということだった。

そう思いつつ、デッキを選ぶためにどこがヘンだと思ったのか?というのをそそくさと整理してみた。



まず第一に、このデッキ群には「T・ブレイカーが存在しない」のだ。

もちろんカードプールを限定すればT・ブレイカーの存在しないクラシックデッキもあり得るわけだが、これらを眺めていてイヤでも目に付く《アクア・サーファー》はDM-05の出身で、DM-05と言えば初めてT・ブレイカーという能力が実装された弾である。ならばカードプール的には入れる選択肢があったはずだ。


そして次に、このデッキ群には「過剰なアドバンテージを得るカードがほぼ存在しない」

例えばDM-04で登場した《聖霊王アルカディアス》は、当時のエンジェル・コマンドの質の悪さを考慮しても1枚挿しておくくらいしても良いだろうし、例えば《スネークアタック》などはかなり低いコストで強引に勝ちの目を作れるカードだが、そういったものも入っていない。

それでいうとアナカラーデッキには《神々の逆流》などが入っており少し特異ではあるのだが、1枚積みではあるし、全てのデッキが(ほぼ)6コスト以下のクリーチャーでまとまっているような環境なので、そもそも打つことをあまり期待されていない…というような意図を感じる。




ここまで整理してみると、これらのデッキを作った人間の意図がかなり見えてくる気がする。

おそらく制作者は、「4つのデッキどれもが丁度よい強さで、かつ丁度よいアドバンテージの取り合いで試合が出来るようにありとあらゆる手を尽くして調整してやろう!」と考えたのではないか(デッキの制作者はそれぞれ別々かもしれないが)。


これは特異なリスト構成や抑制されたカード群を整理すればある程度自然に見えてくる意図ではあるが、他にもT・ブレイカーが存在しないことなどもそれに寄与している。

相手の5枚のシールドを割り切りダイレクトアタックする時のことを考えよう。
W・ブレイカーまでしか存在しない時、全部のシールドを割り切る最大効率の方法は

W・ブレイク→W・ブレイク→シングルブレイク→ダイレクトアタック

である。しかしT・ブレイカーが存在する場合

T・ブレイク→W・ブレイク→ダイレクトアタック

が可能になるため、攻撃を1手早めてしまえるT・ブレイカーという存在は過剰なアドバンテージなのだ。
当時のT・ブレイカー持ちが軒並みコストが重いというのはあるにしろ、おそらくこれを抑制するためにもT・ブレイカーは無視されているのではないか。


余談だが、デュエチューブでデッドマンが「Wブレイカーという能力が好き」という話をしていたのを見た時、「え!?こんなん能力でもなんでもねえじゃん!!」と思ったのだが、今思うと開発者でありながら古参デュエマプレイヤーでもあるデッドマンはブレイク能力の差によるアドバンテージというものにかなり敏感だからなのではないか…?という気がする。





閑話休題。
そういった、カードのテキストからだけでは簡単には読み取れないパワーバランスから《アクア・サーファー》の配分まで、とにかく異様かつ徹底的なまでにアドバンテージという概念にこだわり尽くしたような手つきをこのリストに感じ、深夜0時を過ぎようかという時間帯にも関わらずめちゃくちゃに興奮してしまった。

すぐさま一緒に遊ぶ友人にそれをくっちゃべってしまいたいところだったが、これは真剣勝負なので黙ってデッキを選ぶことにした。




自分が選んだデッキは……これだ。





小型メインの赤青ビート!!!



選んだ理由の第一は単純かつ明快、とにかく基本のパワーラインが高いからだ。

デッキ間の力関係がほとんど変わらない場合、単純にクリーチャーのパワーで勝てることがそのままテンポ・アドバンテージに繋がる。

《小さな勇者ゲット》《喧嘩屋タイラー》の最大3000のパワーラインは特に素晴らしい。他のデッキの近いコスト帯のカードにはほぼ全て殴り勝てる。
ずいぶん昔に触った覚えのあるカードだが、こんなに頼もしく思える瞬間が来るとは……

小型の殴り合いになった時、《大勇者「大地の猛攻」》が出てきた時だけはかなり危ういが、逆に言えば4枚しかないこれを引かれなければいいだけなのでその確率は無視しても良いと思えるし、それに進化クリーチャーなのでこれを出している時相手のボードに増減は無い。危うくてもそこに返す目はある。

それにパワーラインの面から見ても《機神装甲ヴァルボーグ》という答えがちゃんとあるのでそういう意味での安心感もある。


第二に、有効トリガー数が1番多いから

よく見ると、盤面に干渉出来るトリガーはこのデッキが一番多い(9枚入っている)。その比率も素晴らしく、クリーチャー付きのトリガーである《アクア・サーファー》が最多の4枚も入っていることは、ビートデッキにはこれ以上無いサポートだろう。


第三に、他の全てのデッキに対して何かしらの回答を持っているから

小型に対してはパワーラインで勝つことが出来るし、《アクア・ガード》を適切に切ることができればボードアドバンテージを維持しながら少しパワーラインが負けてるくらいでも取り返せる。
ハンデスに対しては《ミラクル・サーチャー》というイケてる回答があるし、そもそもビートダウンは低コストクリーチャーを盤面に巻き切ってしまえばハンデスする手札がなくなることもよくあるわけで、その構造自体がメタっている部分もある。
そしてブロッカーには《クリスタル・パラディン》や《クリスタル・ランサー》などを投げつける。
中・大型には《ボルカニック・アロー》や《アクア・サーファー》を1回切れれば十分だろう。

相当器用なリストである。

このカード大好き


そして最後の1つは、このデッキだけが唯一「スピードアタッカー」を持つクリーチャーが入っているから!

つまり《解体屋ピーカプ》の存在だ。

普通のクリーチャーは召喚酔いをするため、必ず相手に除去を当てられるかどうかという瞬間が発生する。
それが発生し得ない「スピードアタッカー」という能力は相手にカードの切らせ方を間違わせることができるし、特に最後の詰めに役立つ。

進化クリーチャーも一応スピードアタッカーとして換算は出来るが、カードを2枚消費してしまう点、そしてスピードアタッカーを出すための合計の最小コストはどれも《ピーカプ》に劣る点から、如何にこのカードがこの環境で優秀であるか分かるだろう。




というわけで後は試合の様子。まずは自分以外の友人が水闇自然デッキvs光水闇デッキで対戦。光水闇側はハンデスとブロッカーを駆使するも、盤面の除去が思うようにいかず、どうにか引いた《テレポーテーション》も水のカードの少なさのせいで唱えられずに水闇自然デッキに敗北。


そして次に自分の赤青ビートと水闇自然デッキの対決!
相手に着々とブーストされるも、その間に小型を並べ切り、そのまま殴って勝利。向こうの除去は4コストからだが、こちらは2コストから、というのはかなり重要な差だと感じた。あと《コーライル》の強さが半端ない。トップを固定して状況を大きくコントロール出来るのは素晴らしい。


その後水自然デッキとの対決!なんか決勝マッチっぽい感じになったので、2本先取でやることに。

まずは先攻を取り、小型をガンガン並べていく。《ゲット》→《ピーカプ》の圧倒的速度で攻撃するも最初の1点で《サーファー》に返される…なんてことがありつつも、基本的なパワーラインが勝っているためボードは終始こちらの有利。
向こうは防戦の体制で凌ぐも、最終的には残り盾2枚でこちらのクリーチャーが《アクア・ガード》+2体のところから、最後まで抱えていた《クリスタル・ランサー》を出して過剰打点を揃えて勝利!やっぱWブレイカーは強い。

次は後攻。前回の試合から向こうもビートダウンで仕掛けた方が良いと方針を変え、《大勇者「大地の猛攻」》をメインに攻め立てられてしまう。危惧してた通りになってしまった。
《ボルカニック・アロー》が2度トリガーする機会があったが最初は使うけれど2度目は返せる目が無くなるので使わない…などと絶妙な判断をする場面が増えていくが、シールドはほとんど割ることができないまま。

後半、《アクア・サーファー》の投げ合いになり状況が停滞しかけたが、ここで小型クリーチャーの多さが効いてきた。
トップで2コストクリーチャーを引き当て《アクア・サーファー》と同時にプレイ。当然《サーファー》の投げ合いにならないよう向こうの《サーファー》の効果は2コストクリーチャーの方に。
しかし実はここまでなるべくマナブーストをせずに《サーファー》を2枚抱え続けており、再度2体の同時プレイ。
これで逆転の目ができたか!?と思ったが、向こうも小型を引いてきた。
《コーライル》などで応戦し攻めに転じようとするが、半端な盤面でクリーチャーを寝かせたままだと《大勇者「大地の猛攻」》を出された時に盤面が壊滅してしまうので、ほとんどリーサルを構えられてしまっているけど殴りたいのをどうにか我慢。

しかし案の定《大勇者「大地の猛攻」》を引かれシールドへのアタックが始まる……というところで《サーファー》がトリガー!!!

残る大量のシールドに対し、こちらはギリギリのリーサルではあるが、もはや有効な除去や防御など無い。
手札から《ヴァルボーグ》をプレイしどうにか打点を増強してあとはシールドを殴るのみ。

1点、2点、3点……と緊張の中最後のシールドが割り切られ……トリガーは、なし!!!


ということで無事全戦勝利を収め、俺の思考とデッキ選択に間違いはなかった!!と確信して気持ちよくなりました。イェイ。




しかし改めて見るとこのデッキリストの洗練のされ方には特別心躍るものがある。

これらのカードは昔遊んでいた頃に見知ったものが殆どだし、そしてデュエプレをサービス当初から遊んでいた自分は以下で紹介されているような【ラッカ速攻】のデッキを組んでいたので、むしろ手に馴染むと言ってもいいくらいのはずのものではある。

しかしこれとは全く手触りが違って感じる。何故だろう。


デュエプレは初期から《光輪の精霊 ピカリエ》が導入されるなど基本パワーは紙よりも高く、また多くの人がプレイし基本がランク戦であることから、当初からソリッドな構築が多く自分も無意識にそれに振り回されていたようにも思う。
先に挙げた【ラッカ速攻】などはまさしくその例であり、《ペコタン》のような先行実装カードがあるにしろ紙のデュエマクラシックではそもそも赤青白というカラーの構築自体あまり見かけないようだし、ランクマッチならではの尖り方をしている。


だからそういった差は当然ある。


では今回触ったリストは紙のデュエマクラシックの方に近いかというと…そうではあるが、やはり少し違うと感じる。

赤青のリストは以下のような例があるが、やはり絶妙に思想が違う。


自分の使ったデッキは、《コーライル》で1点狙いの除去に一喜一憂できるようにしたり、《シンカイ・サーチャー》でクリーチャーと引き換えにアドバンテージを取れるようにしたり、《バースト・ショット》をあえて抜いて逆転不可能な状況が出来るを拒否したり……やはり「絶妙なアドバンテージのやり取り」にかなり心を割いているように思う。自分が感心するのはおそらくここだ。


いくらかデュエマをやっていると、強いデッキを作ったり尖ったデッキを作ったりするのは簡単にできるようになっていくが、こういった「如何に相手とのやり取りを面白くするか」という絶妙さを表現するのは本当に至難の業だと分かる。

カードゲーマーが「デッキを見ただけでその人の人となりが分かる」なんてたまに言ったりするが、このリストほどそれを実感したこともない。いや、そんなのは自分の思い込みでしかないわけだが、とにかくこのリストには頭が下がるし、こういうデッキを作れるようになりたいものだと思う。





なんかカバレージと日記の間の子みたいになってしまったがデュエマクラシックめちゃおもしろかったです。誰か一緒にやろう!!

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