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<はじめての線スケッチ>この順番で描けば楽に描けます:八重咲のバラ(1)
はじめに
冬が終わり暖かい季節が訪れ、あちこちと花が咲きだすとスケッチ心が動きだします。
中でも、春に咲く梅や桜、初夏から秋にかけて咲くバラは描きたくなる花の代表でしょう。
この記事では八重のバラの花の描き方についてポイントを解説します。
参考までに、バラを描いた私の野外スケッチ作品を次に示します。
バラの線描方法
「線スケッチ」では、実物を直接みてペンで輪郭を描きます。その際、”物の輪郭を正確に”描くことよりも、特徴を把握して、その”特徴を正確”に描くことが大事なポイントです。最初にバラの花の特徴を述べ、次に描き方を解説します。
特徴:バラの花には一重、半八重、八重という通常の花の構造の種類に加え、花びら自身の持つ特徴に従い、大まかに「剣弁」「半剣弁」「丸弁」という型に分類されます。中でも、「剣弁」「半剣弁」は、人々が通常思い浮かべるバラの特徴を表しているので、本記事の練習題材として取り上げることにします。花びら自体は、交互に重なって外側に向かいます。また、中心部は緩やかに、外周に行くほど強く反り返ります。反りすぎて端が丸くなっている場合もあります。
下の図に、花瓶に活けた茎から上のバラを実際に見て描いた線描の例を示します。
以下に、この八重のバラ花の部分をどのような順番で描いたらよいか解説していきます。
描き方:便宜上、実物ではなく同じ方向から撮影した写真をもとに線描した絵を使います(下図)。
右側に示す線描の花びら一枚一枚に囲み数字を置きました。それは描いた花びらの順番を示します。実際にこの数字の通りの順番で私は描いたのですが、この順番通りに描いてくださいという訳ではありません。ある原則で描いているのです。
それは「中心から描き始め、外周に向かって描き広げる」方法で、八重構造の花の描き方の基本と同じものです。
少し詳しくいうと「中心部分を完成したあと、可能な限りある花びらの輪郭線とその前に描いた輪郭線をつないで一枚が完結する花びらを選び、時計回りでも、反時計回りでも、とびとびでもよいですから、中心から等距離の花びら描きながら順次外側に向けて描いていく」ということです。
なお、中心は蕊が見える場合と見えない場合があります。蕊が見える場合は蕊から描き始めます。
以上に述べた工程を、上の図の①から⑰までの中心部分の線描について、順を追って説明しまします。
①この写真では蕊が僅かに見えるのでここから描きました。
②蕊に接する花びらの輪郭線を描き、⑤と⑥で示した花びらの輪郭線う
ち、②の花びらの部分だけでなく、⑤と⑥で示した花びらの部分も伸ば
して描いておきます。
③の花びらを描きます。
④の花びらを描いたら、先ほど一部を描いた
⑤および⑥の花びらを完成させます。次に、⑥の外側に隣接する
⑦、⑧を描いたら、④の花びらの背後にある
⑨を描きます。
これで中心部の核となるものが描かれました。そのあとの順番は描きやすいものから選びます。私の場合は、
⑩、⑪を描いた後、⑤と⑨の花びらをつなぐ
⑫、その外側の
⑬、⑭、⑮と描き進め、
⑰まで描いて中心部分を完成させました。
その後の⑱から㉞まで、外周に向かって繰り返していくだけで完成します。
<注意>紙を見つめて集中して花びらを一枚一枚描いていくと、最初に描いた花びらの大きさと、後半の花びらの大きさが違ってくることがあります。そのために描き終わって眺めると、花全体の形がいびつになることが起こります。そうならないように、途中で紙を少し離して全体を見て、形が歪んでいないかどうかをチェックしましょう。
なお上の説明では花びらの輪郭だけの線描を説明しました。花びらをよくみると、筋が見えることがあります。このバラの場合、僅かにその筋が見えるので、最初に示した実物を見て描いたバラでは、その筋も描いています。この筋を描くことで、花びらの反り具合も示すことができます。
同じ描き方で、横向きのバラ、剣弁の真っ赤なバラも描けます。参考までに、下に示します。
まとめ
八重のバラの描き方を解説しました。ポイントは以下の通りです。
・バラの花の特徴を把握したあと、八重咲の花の共通の描き方:「中心から描き始め、外周に向かって描き広げる」に従って描く。
・中心部分を完成したあと、ある花びらの輪郭線とその前に描いた輪郭線をつないで一枚が完結する花びらを選び、中心から等距離の花びら描きながら順次外側に向けて描く。