佐原張子(千葉県・香取市)_20190209
誰にも頼まれてないし、最終的にどうしようか出口も定めないまま、全国各地の郷土玩具を無理くり「張子化」しています。
北は北海道からスタートして、東北地方が済み、そして関東地方も半分を過ぎました。
試しにこれまでの軌跡を列記してみます。
1.木彫りの熊とセワポロロ(北海道)_20190122
2.下川原焼土人形/鳩笛(青森県・弘前市)_20190126
3.犬っこ(秋田県・湯沢市)_20190127
4.相良人形(山形県・米沢市)など_20190128
5.堤人形/赤芥子(あかけし/宮城県・仙台市)_20190129
6.三春駒(みはるごま/福島県・郡山市)_20190130
7.花巻人形(岩手県・花巻市)_20190201
8.黄鮒(きぶな/栃木県・宇都宮市)_20190204
9.横向き虎(茨城県・ひたちなか市)_20190205
10.虫切り獅子頭(群馬県・高崎市)_20190208
11.鷽(うそ/東京都・亀戸天神)_20190123
12.鬼の豆面(愛知県・豊橋市)_20190131
47都道府県の内、1/4まで来ました。各SNS経由でじんわりぬるりと見て頂いていてとても励みになっています。ありがとうございます。
各地の郷土玩具を張子にしているわけですが、技術的にとても苦労しつつも作りがいのある素晴らしいフォルムや構造のものがある一方で、軽やかで自由でのびのびとした、郷土玩具の理想形の一つとでも言うべきものがあります。
今回つくったのは、千葉県でつくられている「佐原張子」の招き猫です。
シンプルで楽しげで誰でもつくれそうだと思いませんか?実際につくっている時もとても楽しかったです。なるべく上手くつくろうと気負わずにつくりました。それでも几帳面な仕上がりになっていますが(オリジナルは後半に貼ったURLの記事でごらんください)。
そういった "上手さを誇るてらいのない"、"なぜだかおかしみと親しみのある"郷土玩具が現代においてもつくられているのは、案外に稀だと思います。
ご当地のお土産物という性質を持った郷土玩具は、食品や食器類に比べて実用性という面では勝ち目がありません。
だからなのか、"とても細かい手仕事"や"おしゃれなデザイン"や"現代的なかわいさを過剰に追求"したりなど、「現代雑貨化」を計って媚びたものも少なくありません。「産業が生きのびるための最適化」という観点もありますから、それを一概にダメというつもりもないのですが。。
けれども「郷土玩具」はその名の通り「郷土を思い出す」とか、「その土地の風土に思いを馳せる」とか「自分の中にある懐かしさを刺激する何か」をたずさえていなければいけないと、個人的には思っています。
郷土玩具はただのオシャレ雑貨ではないのです。
佐原張子の話にもどりましょう。
千葉県香取市で、漁師の網元で手先が器用だった鎌田清太郎氏が独学で張子をつくりはじめ、大正7年(1918年)に佐原張子三浦屋を創業したのがはじまりです。
かつては達磨や、糸巻き式で動く亀車という玩具をつくって、香取神宮や鹿島神宮の露店で販売していたそうです。
現在は鎌田芳朗さんが三浦屋を継いでおり、昔からつくられていたものだけではなく、鎌田さんの自由でおおらかな造形と着色でつくられる魅力的な張子が多くあります。
今回の招き猫も鎌田さんのつくる、一言で言えば「ゆるい」、もしくは「アール・ブリュット」とか「アウトサイダーアート」と呼びたくなるような招き猫を参考にしました。
鎌田さんが個展をした際のインタビューと作品紹介がこちらの記事にくわしく書かれています。
全てを持っていく破壊力抜群の作品の数々をぜひご覧ください。人としても本当に素晴らしい方なのだろうなと、鎌田さんの言葉の端々からも伺えます。
いつかこのような境地に達することができるのだろうか。。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
それではまた。
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