三角だるま(新潟県・阿賀野市)_20190227
そういえばだるまのことをよく知らない
これまでいくつかのだるま(甲州親子だるま、福徳人形)をつくってきました。
だるまという縁起物も、選挙事務所や老舗の店舗や合格祈願などでよく見かけますが、全国的にも非常に多くの種類があるようです。またどういう由来があるのかざっくりとですが調べてみました。
だるまの起源だるまのルーツは室町時代に作られていた起き上がり玩具ですが、江戸時代に達磨大師の姿を模して作られたところから、「だるま」と呼ばれるようになりました。 達磨大師とは実在の人物で、中国の嵩山(すうざん)少林寺で、9年も壁に向かって座禅をして悟りを開き、禅宗の始祖となったという高僧です。
9年の座禅修行の中で手足が腐り落ちたとも言われているので、あのような丸いフォルムになっているようです。手足が腐るって、、。
日本各地のだるまの分布は広くその種類もとても多いので、「こけし」に並んで独立したジャンルとして愛されています。
全国の「だるま」紹介や、だるまに関するあれやこれやを紹介した本もありますね。この本欲しいな。
簡略化の末の三角だるま
さて今日は新潟県阿賀野市の「三角だるま」です。
▼実物の方が鉛筆のように頭の先端が鋭角なのですが、僕のつくった物はひっくり返ったアイスクリームのようです。
張子をつくっているときに凹凸が多いと、その分、張子紙を貼るのが難しいです。だるまのフォルムも全体的にはなめらかなのですが、鼻や髪の毛とおでこの境目あたりに細かい凹凸があり、そこを綺麗に仕上げるのは結構大変なんです。
そういった工程を省略して行き着いたのが、凹凸の少ない三角錐という幾何学形態だったというのが面白いです。この形は紙をくるっと巻くだけで済むので確かにつくるのが楽でした(実際のつくりかたがボール紙を巻いただけと知った時は仰天しましたが)。顔の表情もとてもシンプルで親しみやすいものですね。
制作工程の簡略化を押し進めた結果「こんな形になった」、というのは何て言うのでしょうかモダニズムというのか、「用の美」じゃなくて「略の美」?
上手く言い当てられないのですが、こういう感じでユニークな形になっている郷土玩具って相当数ある気がするんですよね。
三角だるまについて
明治30年(1897)頃、群馬県高崎市産のだるまを模した張子製だるまが、柏崎、見附などで制作されたのがはじまりだそうです。
その後、越後地方の名物となるほど、越後各地でつくられていましたが、現在では阿賀野市の旧水原(すいばら)地区にある「今井人形や」の、今井マス子さんが最後のつくり手となっているようです(現在は休業中)。
この三角だるまは赤と青が一対の夫婦となっており、大きい方の赤が女性で、小さくて青い方が男性だそうです。白いこどもだるまもいます。
こちらに今井マス子さんの三角だるま制作工程や、三角だるまの歴史などの詳細が紹介されています。
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【張子制作MAP】
19/47。中部地方は残すところ、石川県、福井県、長野県、岐阜県の4つ。
なかなか面白い郷土玩具たちを紹介できそうです。お楽しみに。