#46 バスを降りる時、感謝を伝えますか?
日頃は自家用車での移動が多いが、酒の席に向かう時は、バスを利用する。我が街のバスは前乗り均一先料金、後ろ降りである。
そして昨日、酒席へ向かうバスでごく普通のおじさんが、バスを降りる時それほど大きい声では無かったが「ありがとう」言ってバスを降りて行った。
それを見て「アレ?」と思った。バスを降りる時に、感謝の言葉など口にせず、無言で降りて行くのが普通だと思っていた。実際に自分がこのバスに乗ってからいくつものバス停で人は降りたが、誰一人、声を発しなかった。
そして私はこの感謝の言葉を言ってバスを降りて行ったおじさんを見て、昨年2月オーストラリアに旅行して現地の路線バスに乗った時のことを思い出した。
わが街のバスと同じように前乗り後ろ降りのバスだったが、大人から子どもまで、ほぼ皆んなが、バスの降り際に、「サンキュー」と言って降りて行った。沢山の人が乗っていようといまいと、当然のように声をかけて降りて行った。
こうなると私も黙ってバスを降りることは出来ないので、みんなと同じように「サンキュー」と言って何の違和感もなくバスを降りた。
日本でもタクシーを降りる時はみんなだいたい「ありがとう」と言って降りる気がする。後乗り前降りのバスや小さな電車でも、運転手の横を通って降りる時は、お礼の声をかけている人も見かける。
しかし運転席から離れた降り口からバスを降りる時に、運転手に声をかける人を、この街で私は見かけた経験がない。ひょっとしたらこのおじさんは、どこか違う地区の人でそれが習慣になっていて、自然に感謝の声が出てしまったのかもしれないと思った。
たまに違う地方に自動車で行くと、横断歩道を渡った後にわざわざふり返って、車の運転手に頭を下げる人達を見かける、子供ばかりか大人の人でもそうする人を見かける。多分子供のころからの習慣なのだろう。
癖、習慣なのかもしれないが、車を運転している者にとって、渡り終わった後でわざわざふり向き、頭を下げられて悪い気はしない。次の横断歩道でも歩行者がいたら、すかさず車を止めて(法律的に当たり前だが)歩行者にゆっくり道を横断してもらおうという気になる。
さて、バスの話に戻すが、酒席の帰りも同じ路線のバスを利用した。そこで降りる時は私も「ありがとう」と言って降りようと心に決めるも、当然私より先に降りていく人々は黙って降りていく。どんどん自分の降りるバス停に近づくが、あまり乗客の数が減らない。その中本当に声を出して降りられるのか不安になった。
いよいよバスを降りる時が来た。
意を決し「ありがとう」と言って降りてみた。
バスは何事もなく発車した。
降りた自分にはその後の車中の様子を知るよしもない。
でもとても自然にできたと思うし、もう日付が変わるような時間に我が家のそばまで、バスで連れてきてくれた人にお礼が言えたのは、例えその声が運転手に届いていなくても自分自身が無言で降りるより楽しいと思えた。
なにかこのnoteの文を出すことに似ている、恥ずかしいけど楽しいことだな~と感じた。
そしてこの街で「ありがとう」と言ってバスを降りることを、
流行らせてやりたいとさえも思った。