【読書記録】面白くて眠れなくなる植物学(稲垣栄洋)
【あらすじ】
本書は、ロングセラー『身近な雑草の愉快な生きかた』の著者による、読みだしたらとまらない、すごい植物のはなし。植物は当たり前のように私たちの身の周りにありますが、けっして何気なく生えているわけではありません。植物の生態は、私たちが思っているよりもはるかに不思議であり、謎に満ちています。本書は、そんな植物の魅力を解き明かす一冊です。(本の説明より)
【感想(ネタバレあり)】
先日読んだ植物の本が面白かったので、同じ著者の本をもう1冊。
植物の不思議や面白さについての小ネタがたくさん載っている。身近な植物の話ばかりなので、へぇ〜
と思えて面白い。
以下特に記憶に残ったエピソード。
・植物はフィボナッチ数列(1から始めて前の数字を加算していく数列)に従っている。例えば葉のつき方にもフィボナッチ数列が潜んでいて、この数列に従った規則性を持つことで、すべての葉が重なり合わず効率よく光を受けることができたり茎の強度のバランスを均一にすることができると言われている。
・花びらは葉から分化したものなので、花びらの枚数も数列に従う。多くの花の花びらの枚数は、フィボナッチ数列に出てくる数字と同じ枚数。一部例外(アブラナ等)はあるが、それもフィボナッチ数列と似ているリュカ数列に出てくる数字と同じ枚数の花びらを持つ。
・被子植物は胚珠が子房に包まれており、子房の中で安全に受精できるので、花粉が到達する前から胚を成熟させたまま準備しておくことができ、胚珠が剥き出しになっている裸子植物よりも受精が早く、世代交代のスピードが早い=進化のスピードが早い。
・植物の果実は子房が肥大してできたものだが、リンゴの果実は実は子房が肥大化したものではなく、花の付け根の花托と呼ばれる部分が子房を包み込むようにしてできたもの。本当の実ではないので、擬果と呼ばれる。子房に由来したものはリンゴの芯の部分。イチゴも同じで赤い部分は花托で種のようなつぶつぶが子房かできている。
・葉っぱの中には葉緑体がたくさんあり、この中に緑色の色素を持つ葉緑素がたくさん入っているので、植物は緑色に見える。葉緑素は光合成を行うが、太陽光のうち波長の短い青色と波長の長い赤色や黄色を吸収して光合成を行う。中間色の緑色は光合成にあまり利用されずに反射されるので私たちの目には葉緑素が緑色に見える。
・海藻の色も同じ仕組みで、浅い海の海藻は陸の植物と同じで緑色の光を使わないので緑色に見える。深海では海の水が赤い光を吸収してしまうので、光合成に赤い光を使うことができない。そのため、深海の海藻は青色を吸収する光合成色素を持っており、光合成に使わない赤色と緑色を反射するので陸上で見ると赤色と緑色が混ざった褐色に見える。
・葉緑素は血液に含まれるヘモグロビンに似ている。人間の血液型は血液中の糖タンパクの種類によって決まるが、一部の植物にな人間と似た糖タンパクを持つものがあり、血液型検査をすると人間の血液と同じような反応をする。大根やキャベツはO型。蕎麦はAB型。