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あなたの知らない多胎の世界

私は10歳になるの双子の母です。
数年前からnoteでふたごの子育てで感じることを書いてきました。

先日、知人から「双子って育てるの大変なんですか?」と聞かれました。

双子が小さい頃は、初めての子どもが双子だったので、それが大変なことなのか、よくわからないままに毎日必死でした。

双子を産んだのは自分なのだから「大変」なんて言っちゃだめだという気持ちもありました。

でも、あらためて振り返ると、控えめに言ってめちゃくちゃ大変です。

「双子って育てるの大変なんですか?」

多胎の妊娠・出産のリアルを知ってほしい。
そして身近に多胎の妊婦さんや多胎ファミリーがいたら、ちょっとだけ想像力を持って接して欲しい。

そんな気持ちで、このnoteを書きます。

切迫早産

多胎の場合、まず妊娠した時点で「ハイリスク妊婦」となります。
そもそも、単胎(一人)妊娠が通常なわけで、多胎は異常妊娠。

一人の赤ちゃんであれば40週前後で出産しますが、私が出産した病院では、双子の場合は36週での出産を目指すと説明されました。

多胎妊娠の場合、30週頃に一人が1500gを超えてくると、二人で合計3000g。母体は産もう産もうとするそうです。
そのため切迫早産になり、入院を余儀なくされます。

私も実際、妊娠26週の定期検診にいくと、そこから10週間、管理入院をすることになりました。

子宮の収縮が見られる→そのまま放置したら陣痛につながる可能性もあり、早産になってしまう。ということで、即入院を告げられたのです。

恐怖の点滴ウテメリン

入院するとすぐ、陣痛が起きないように、点滴で身体中の力を脱力させる薬を投与され、廃人のように寝たきりの生活がスタートしました。

点滴を打って数日は、手が震えて箸が上手く持てませんでした。

ちなみに、この点滴は、薬のレベルが上がっていくことはあっても、出産当日まで外せることはありません。

私は10週間の入院期間中に、点滴を打てる血管がなくなってしまい、(腕も、手の甲も、足の甲も…)最後はカテーテルを通して、薬を投与されることになりました。

なるべく安静に。
点滴をしたままトイレに行き、シャワーを浴びる生活のスタートです。

毎朝行列の腟内消毒

入院中に地味に辛かったのが、毎朝行われる膣内消毒です。
重たいお腹を抱えて、産婦人科の診察台に座り、足を広げて腟内消毒をする。

こんなこと、妊娠するまで知らなかったし…いや入院するまで知らない世界でした。切迫早産予防のためとはいえ、毎朝毎朝、あの診察台に座るのはかなりの苦痛。

そんな生活の中、それでも、1日でも長く双子をお腹の中で育てることがミッションになるので、不安で不安で押しつぶされそうな日々の中36週を目指しました。

でも、そこまで行けるのは稀なことで、
24週、26週、28週…

早く生まれていく多胎児の赤ちゃんをたくさん見ました…。
そのため、双子の赤ちゃんは小さく小さく生まれます。

後陣痛…?

帝王切開後、病室に戻って麻酔がきれて色んな意識が蘇ってきた時、とんでもない痛み=子宮の収縮に泣くことになりました。

痛み止めを何錠飲んでも効かない。
今まで味わったことの無いお腹の痛みでした。

お腹の中を捻じりあげられるような痛みに、ただただうめき声を上げる…。
それは「後陣痛」というものだと知りました。

看護師さんから「双子分大きくなった子宮がもとに戻るから」そう説明されたのですが、とんでもない痛みでした。陣痛は経験しなかったけど、後陣痛なんてものがあったなんて。(これも出産するまで誰も教えてくれませんでした)

ホルモン大爆発!

産後、後陣痛のあとに襲ってきたのは、胸の痛みでした。
気がつくと、胸に熱い鉄のお椀がくっついたような感覚があり、パンパンにはった胸の痛みはどうしようもありませんでした。

妊娠中は早産予防のためおっぱいマッサージは禁止でした。
なのに、産後はすぐに授乳しなければならない。
でも母乳が出やすい状態になっていない。

痛いし出ないし、痛いし出ない。最悪のループです。

看護師さんいわく、双子は二人分の胎盤が身体から出ていったことで、ホルモンバランスが崩れているから。と言われたのですが、とにかく身体がボロボロになりました。

そんなときに、お見舞いに来られようものなら、もう自分を失うぐらいイライラと悲しさで情緒不安定の権化でした。

エンドレス授乳の世界へ

そもそも10週間入院して、ほぼ寝たきり生活をしていたので、筋力は落ちているし、帝王切開の傷口は痛む。

そんな中で、昨日まで「寝ていなさい!」と言われていたのに、生まれた瞬間から3時間起きの授乳が始まります。

しかも2人分の授乳。

生まれてきた赤ちゃんは2000gほど。
周りの赤ちゃんたちより一回り小さく、哺乳が下手で全然ミルクを飲めません。
赤ちゃんに哺乳が上手・下手があるなんてこのときまで知りませんでした。

授乳室で上手に授乳して、さっと病室へ帰っていくお母さんが羨ましい。
こちらはあっという間に1時間2時間過ぎて、次の授乳時間が来るのです。

パニックでした。飲ませないといけないのに、飲まない。
しかも休むまもなくまた授乳…。

そんな状態で、満身創痍。もう絶望です。

まさかの一人だけ入院

絶望の中、退院日を迎えるわけですが…
新生児、規定の体重をクリアできないと退院できません。

我が家も、息子がクリアできず入院することになりました…。
ここでもう詰みます。

娘を自宅に連れて帰り、息子は入院。
となると、母は毎日母乳をもって通院しなければならないのです…。

え?同じように小さい双子の娘を抱えて、毎日病院へ通うなんて…。
(こんなことは双子を生むまで知りませんでした)

これが、妊娠から生後7日目ぐらいまでに起こることです。


あくまでこれは私とふたご。我が家の物語です。私は、一人の子供を出産したことがないので、一般的な「お産」を経験していません。

だからこれがどれぐらい大変で、どれぐらい当たり前なのかわかりません。
でも、双子界隈では普通でも、もしかしたらあまり知られていないことなのかもしれない。

私は今、関東多胎ネットという多胎家庭の育児を支援する団体のサポートをしています。

関東多胎ネットでは「ふたご・みつごなどの多胎家庭への支援の継続」に向けてクラウドファンディングに挑戦中です。

ご支援はこちらから↓お願いします!

多胎家庭を特別に支援してほしいということではなく、「ふたご・みつごにやさしい社会は、みんなにやさしい社会」になることを願って、この活動に賛同しています。

この投稿を読んでくださった方に、多胎児の妊娠・出産について少しでも知ってもらえると嬉しいです。

ふたごの育児についてコノビーでも書いています。


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