Vol.2 Web増刊号:LIFEとAPERTUREのアーカイブ閲覧方法
最初に
Mirrors and Windows:American Photography since 1960のカタログや展示風景は以下のリンクから。無料で閲覧可能です。
MoMA Mirrors and Windows:American Photography since 1960
Vol.2で紹介した "Mirrors and Windows:American Photography since 1960" は、1960年から当時の最先端(1978年)のアメリカにおける写真表現を前段となった1950年代の具体的な影響から検討したものでした。
著者であるシャーカフスキーは、写真における雑誌という媒体の役割とその変遷についても言及しています。
アメリカの写真雑誌といえば、LIFEやAperture。文中でのLIFEの扱いは比較的小さく、Photographerに対するeditorialな力が働いていた例として挙げられているほか、LIFEなどに掲載された特定の写真(群)について言及するという形で間接的に登場します。
一方 apertureは、創始者のマイナー・ホワイトが、この展示会で特に重要な人物の一人として位置付けられていることもあり、登場頻度は高め。
引用部分を見るだけでも、これらの雑誌がかなり具体的な形で言及されていることが分かります。
そうなると気になるのは、これらの雑誌の内容がどういうものだったのかということではないでしょうか。
実は、どちらの雑誌もネットでアーカイブを閲覧することが可能です。
LIFEは週間時代(1936年〜1972年)のアーカイブが無料公開、apertureは有料($9.99/month)で公開されています。
それぞれの利用方法を簡単に紹介しましょう。
LIFE
アーカイブへのリンク:
Google Books, LIFE (November 23, 1936)
本文で ”the late Larry Burrows's superb and disturbingly conventional battle scenes” と言及されているラリー・バローズの写真を串刺し検索で見つけてみました。
Google Books, LIFE (January 25, 1963)
aperture
apertureのアーカイブは有料です。
登録システムが少々イケておらず、落とし穴がいくつか存在するので、注意点をリストアップしておきます。
登録が完了してしまえば、特に迷うことなくアーカイブを閲覧・検索できると思います。
リンク:aperture
購読前の注意点①
aperture.orgとaperture Archiveのアカウントは別。
①アーカイブ購読にaperture.orgのアカウントは不要。
購読の大まかな流れ
登録画面で住所、支払い情報などを入力(PayPalを使うのがベター)
購入が処理されたらapertureからアカウントをアクティベートするための仮のログイン情報と、リンクが書かれたメール(Subscription Confirmation Notification)が届くので、指示通りにActivate・アカウントの作成をする。
ここで注意点②③
②JCBは使えません。そしてVisaやMasterがあってもPayPalを使うべきです。理由は後述します。
③情報を送信してもすぐにメールは届きません。
どうやら向こうが手動(?)で購入を処理しているようで、上記メールが届くのは翌営業日以降です。
PayPalを使うべき、と書いたのはこの謎の購入処理の仕組みが不安だから。小規模なネットショッピングは魔境です。以前、特殊な三脚を直販に近い形で購入したら、入力したクレジットカードの番号が平文で送られてきたことがあります。気をつけるに越したことはありません。
上画像を参考に登録画面まで進めば、インターネットショッピングをする人であれば問題なく進められると思います。
下画像の通り、InternationalのArchive Onlyを選んでください。
Printは実際の雑誌が届くプランです。
本文で "The article stated that there are four kinds of photographs: documentary, pictorial, informational, and the equivalent." と言及されているマイナー・ホワイトとウォルター・チャペルの "Some Methods For Experiencing Photographs" (Winter, 1957) を探してみました。
なお、この記事は購読をしなくても閲覧できるようです。
Mirrors and Windowsでも重要なキーワードとして扱われている "equivalent" ですが、シャーカフスキーが引用しなかった図が本誌には載っていたことが分かります。
注意点④
購読の解約はサポート画面に記載のある、メール(custsvc_aperture@fulcoinc.com)からのみ!
今日日そんなサービスあります?!怖い!やはりPayPalを使いましょう…。
最後に
7月16日(土)開幕「浅間国際フォトフェスティバル2022」のテーマは「Mirrors & Windows」だそうです。今なお、そして今まさにホットな(のかもしれない)このワードは思い込み・早合点をしたくなる魅力を持っています。
ですが、ここまで紹介してきたように、原文やその中で触れられている文章・雑誌に容易にアクセスできる環境が存在します。自分でそこに当たることも、誰かの解釈を無批判に眺め、ワードを拾い集めるようなヤバい「勉強」から抜け出すための一手になりうるはずです。