「まちづくりでどんなことができるだろう?」和寒町ふくしのまちづくりNewsletter Vol.4
まちづくりのビジョンを描く
10月14日(土)、第2回和寒町ふくしのまちづくり町民サミットが開催されました。サミットでは来場者・スタッフ含め約70名の皆様にご参加いただきました。今までの取り組みやヒアリングの結果、現在の検討段階のご報告を行いました。また、講演では他の地域のまちづくりの事例をご紹介いただき、第2部ではワークショップにてまちの未来について話し合いました。
事業報告「和寒町の未来を考える機能候補案について」
サミットの冒頭では、社会福祉法人ゆうゆう 大原とteco 金野より、今までの検討段階のご報告を行いました。報告では、今までのサミットやふくしのまちづくりラボの活動などをまとめ、機能候補案を発表しました。
※この内容は、ふくしのまちづくり基本構想として現在受託事業者が検討し町へ提案する予定の内容です。実際に実施することが決定したものではありません。
最期まで暮らし続けることが出来る特別養護老人ホームの体制構築
・特養の定員を40名とし、ユニット型個室・従来型多床室を組み合わせたものについて検討する。
・町立診療所との連携による看取り(最期まで施設でケアをする)支援体制の整備を検討する。
・専門的かつ魅力的な介護や看護ケア体制をつくり、広域的な利用者の受け入れ体制の整備をする。
・将来のニーズに応じ、一部の居室を特養以外に変えることが可能な形で整備をする。
あらゆる住民が安心して在宅生活を送ることができる在宅支援サービスの体制構築
・短期入所や通所・訪問サービスについて、高齢者・障がい児者が利用する共生型サービス事業を実施する。
・高齢者共同福祉住宅「かたくり荘」、大通団地「延寿」 をサービス付き高齢者住宅等に転用することを検討する。
・あらゆる住民を対象にした、訪問看護・訪問介護・居宅介護等の、在宅支援サービスの体制整備。
子どもたちが大切にされる機能の構築
・子どもや子育て世代が和寒町に生まれ育ち、誇りに感じることができる事業を展開する。
・和寒町に定住する若者を増加させるための事業を展開する。
・障がい児に対する社会的サービスについて、共生型事業を基軸とした個別に対応する体制をつくり、専門職を配置する。
あらゆる住民が活躍できることを実現する「雇用創出」機能の構築
・福祉以外の機能について、「雇用を創出する」機能を重点テーマとする。
・町民の活躍と町のニーズをマッチングする場づくり事業の実施及び起業を推進する。
和寒町の特色である農業・食文化を推進する機能の構築
・福祉以外の機能について、「農業・食文化を推進する」機能を重点テーマとする。
・障がい者の就労支援事業による「農福連携」等を推進する。
・特別養護老人ホームの厨房を利用し、学校給食や地域食堂等へ食事をの提供することを検討する。
機能候補「建築について」
機能構築についての検討だけでなく、建築面での検討も進めています。
ワークショップ「理想の未来像、それを誰が担うのか?」
ワークショップ「もっと和寒町をデザインする」を開催しました。和寒町の皆さんとまちの未来の理想像について話し合い、これからの和寒町のビジョンについてグループに分かれて発表しました。
和寒町の理想の未来像
参加者の皆さんから提案された「理想の未来」の一部をご紹介します。
事例紹介「一人ひとりの居場所を作るまちづくりを」
北海道大学大学院で准教授を務める小篠先生。都市デザインを研究する立場
から、各地の事例をご紹介頂きました。「人口減少地域では、社会サービスを適切な規模に変化させるだけでなく、皆が社会サービスの担い手になることが重要です。」そうお話しながら紹介されたのは、イタリア・トリノの「地区の家」でした。
「イタリアも日本と同様、少子高齢化という課題を抱えています。さらに、イタリアは移民が多く、貧困層が増大しているという課題もあります。」この状況を解決すべく、まちの人々は公共施設を再利用し、住民たちのコミュニティの拠点となる「地区の家」を作りました。「地区の家の運営組織では、大小問わず住民の悩み事を聞き、地域にいる人達に出来ることを任せる、ということを続けていました。そういった行いを積み重ねた結果、60の団体と協力し合うようになりました。」地区の家が空いている日は住民によるパーティが開催され、様々な人と出会える場所になっています。そのような雰囲気も、住民が支え合うコミュニティが出来た要因の1つだと示唆しました。
もう一つ、先生がまちづくりに携わられた北海道砂川市の事例を挙げました。公民館と児童館の機能を移転した「地域交流センターゆう」は、市民が設立したNPO法人が運営しています。市民の皆さん自身が専門的な舞台照明や音響設備を管理するだけでなく、ただ専門的な舞台照明や音響設備を管理するだけでなく、花壇の手入れや町内のイベントづくりなど、各々が出来ることを分担して取り組んでいます。「地域の人々を中心に活動を進めた結果、来館者は7万人ほどとなり、従来の2倍ほどになりました。」さらに、学生たちにこれからのまちづくりに向けたリサーチをお願いし、まちの困りごとを解決しています。「学生たちはまちづくり研究所を設置し、既存の商店街と協力しながらまちを良くする活動を提案しました。その結果、地元の人たちで小さなまちづくり組織を作ったり、商工会議所が建て替えられたりと、良い方向への変化が生まれています。」
各々の出来ることで支え合い、社会サービスを皆でつくりあげる。先生は締めにこう語ります。「まちの人々で課題を共有し、まちの人々で成長していく未来を描いていただければと思います。」
和寒町 ふくしのまちづくり検討会
プロジェクトについてさまざまなご意見を伺い、意思決定を行う「和寒町ふくしのまちづくり検討会」を11月にも開催いたします。福祉、農業、商業、観光、子育て分野の町民の方々とまちづくりや建築、福祉などを専門とする町外の研究者などが参画します。