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【#Real Voice 2023】 「答えは、いつだってピッチの上にある」 2年・永戸彩花
「Real Voice」
リアルボイス。この部員ブログのテーマである。
1週間前には綺麗な文章を書きあげていた。
それなりの反応を得られたかもしれない。
ただ、読み返せば読み返すほど自分のリアルとは異なるある種の違和感と気持ち悪さを感じた。
これを読んだ来年の今頃は恥ずかしくなるだろうが、締切直前の今、自分のリアルに駆け足ながら正直に向き合いたいと思う。
2023年。
言葉を選ばずに言えば相当病んだ。
自分の中で何かがぷつっと切れて、
授業中なのに涙が止まらなくなったこともあった。
情けない。
次々と襲ってくる事象と聞こえてくる声に立ち向かうことはできなかった。
とてつもない労力と時間と夢が詰まった物事が立て続けに倒れた。
自分の中で消化できる時間も余裕もなかった。
家族に会いたい。友達に会いたい。
何のためにここまで犠牲にしているのか分からなくなった。
それでも、ピッチの上だけでは絶対に100%練習に向き合いたかった。
だからこそ、余計な感情を捨てた。
気づいたら、感情を持てなくなった。
自分のことを話さなくなった。
誰かを信じることができなくなった。
現実を知ったから?自分の弱さを目の当たりにしたから?1年前の自分はどう思うだろう?
人生で初めて、サッカーから逃げたくなった。
サッカーから派生して思い出してしまう全てから逃げたかった。
サッカーという、自分の人生の道しるべを見失った。
それでも、毎日は止まってくれない。
この時の自分には淡々とタスクをこなし、ただ盲目的に目の前を追う事しかできなかった。
8月7日
1週間インターンとしてアルビレックス新潟の皆さんに受け入れていただけることになった。 今の自分の原点であり、唯一無二のクラブ。変なプレッシャーを与えようとせずに、ただただ純粋に楽しみ、勉強しようという気持ちで臨むことにした。
社員の皆さん、パートナー企業の皆さん、スタジアムに足を運ぶサポーターの皆さん、沢山の人と直接お話させていただいた。
全員の顔が、生きていた。
サッカーがハブとなり、街を一つにし、多くの人と企業を支え、支えられ、沢山の夢と希望を与えていること。
強く、強く実感した。
その事実は何よりも分かっていたはずなのに、きっと忘れていた。
サッカーには夢がある。
誰かの活力を生み出す力がある。
上っ面の言葉じゃない。
これこそ、私がサッカーに執着する理由だった。
試合当日、ピッチ上でのアップ見学
目の前の選手を見つめる女の子のこれ以上ないキラキラした目
あの目を、私は一生忘れることはない。
そのまっすぐな目を見て、自然と目が潤んだ。
忘れてたものに気付いたから。
これが、サッカーの本質だと。
自分の原点だと。
こんなにシンプルで真っすぐなものだった。
ピッチの上から聞いた大声援。
全身に鳥肌が立った。
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「この光景を知っているから、
どんなにきつくても辞められないんだよね」
とある方が話してくれた。
心の底から、その通りだな、と思った。
この感情は、サッカーでしか味わえない。
スタジアムが揺れる、あの一瞬のために。
サッカーに固執する理由は沢山あるだろうけど、結局はこの感情に落ち着くのかもしれない。
人生で一番、生きていることを実感した密度の濃い1週間だった。
一人前になって、必ず恩返しできるよう頑張ります。
シーズン中にも関わらず暖かく受け入れてくださったクラブの皆さん、送り出してくださったア式蹴球部の皆さんに、心から感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。
サッカーはサッカーだった。
否定されても、無視されても、孤独になっても、それでもサッカーからは逃げられないなって。逃げちゃいけないなって。
やっぱり自分にはサッカーしかないと思えた。
生き返った。安心した。
その後も私は足を止めることなくスタジアムに通った。
その中のある1試合。
9月9日
クリアソン新宿vs東京武蔵野ユナイテッドFC
@味の素フィールド西が丘
東京という街は、娯楽が多い。サッカーというカテゴリーに絞っても、東京のJクラブは3つもあるし、首都圏クラブであれば1時間強で大抵の場所に足を運べる。
この選択肢に溢れた東京で、
なぜJFLのクラブが国立で1万人以上を集めることができるのか。
0-4でクリアソン新宿は敗北。
この点差なら、怒号が飛ぶことも珍しくない。
3点差が付けば家に帰り始める人もいるだろう。
目にしたのは、真逆の光景。
誰も帰る人はいないし、聞こえてくるのは超ポジティブな言葉。
結果としては大敗なのに、大満足で帰る自分。
今まで自分が見てきたサッカーを覆されたような感覚。
これは何?
何が違う?
サッカーという試合の在り方。色んな考えがある。
それらは全てリスペクトされるべきだし、新たな考えを否定するのは違う。
Jリーグ30年が積み上げてきた歴史や文化も、クリアソンのような新しいスタイルも、どちらもサッカーであり、素晴らしいものだと思う。
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どんな試合にしたい?スタジアムにしたい?
家に帰ってから、考えが巡りすぎて寝付けなかった。
「サッカーを創る」
1つの試合の中で、ピッチに立つ選手、足を運ぶ多くのサポーター、全てのサッカーに関わる人に、幸せを感じてもらうこと。
私はやっぱりここに何よりも面白さとやりがいを感じる。
ここまでサッカーに対する思考が戻ってきたことが何より本当に嬉しかった。
他にも、カシマ、国立、等々力…
2か月強で、合計9試合に足を運んだ。
自分で直接足を運ぶからこそ、自分でお金を払うからこそ、見えてくるものや感じるものがある。
そして、やっと、目の前のピッチが明るくなった。
みんなの1つ1つのプレーに、言葉に、揺れ動く感情が戻ってきた。
サッカーが、ア式が好きな自分を思い出せた。
サッカーに、ア式にこだわる自分を思い出せた。
死んだ顔をした自分を、どうにか励まそうとしてくれる人がいる。
何度立ち上がってもまたすぐ転んでしまう私に、手を差し伸べてくれる人がいる。
大事なミーティングの前の、「頼んだ!行ってらっしゃい」に何度も力を貰ってきた。
ひとりじゃないんだな。
沢山苦しんだ分、こんな暖かさに触れることもあった。
そんな人たちに、ア式に、サッカーに、真の恩返しがしたい。
熱量
愚直さ
そして、結果。
示し続けること。
これが、サッカーもできなければ華もない私がこの組織で生み出せる価値。
一瞬のサボりが、部員101人の一生の後悔につながるかもしれない。
完璧なサポートが、マネジメントが、勝利を手繰り寄せる一因になるかもしれない。
いや、必ずなる。
2023年
関東リーグ1部昇格
新人戦日本一
2024年
日本一、タイトル獲得
早慶戦1万5000人動員、主務をピッチに送り出すこと
絶望の春に大挫折した事が奇跡的に復活した。
どんな試練が続いても、きっとまだ神は、サッカーは、私のことを見捨ててはいない。
目標はシンプル。
「逆算力」自分の強み。
自ずと、やるべきことは見えてくる。
◇永戸彩花(ながとあやか)◇
学年:2年
学部:商学部
出身校:新潟県立長岡高校
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