どらま館制作部週間03を終えて~その3
こんにちは。どらま館制作部スタッフの重村です。
この記事では、先日2021年9月29日(水)〜10月4日(月)に行われた『どらま館制作部週間03』全体と、その中の企画『上演未満との交信』『どらま館制作会議室』を振り返っていきます!
今回のラインナップ
第1回、第2回の反省を大いに活かしながら、第3回となる今回は以下のように多様なラインナップとなりました。
この記事では、その中でも『上演未満との交信』『どらま館制作会議室』にフォーカスしていきます。
そのほかの企画については、こちらからご覧ください!
『上演未満との交信』
今回の制作部週間でもさまざまな新しい試みがありましたが、その一つが企画『上演未満との交信』です。
この企画は、当初望んだ形での上演ができなかった演劇を「上演未満」と定義し、さまざまな手法でそれらとの”交信”を試みる企画です。
上演未満に当てはまる学生演劇(大学・高校問わず)の脚本を募集し、どらま館note上でのアーカイブやそれらを用いたワークショップを実施しました。(※脚本アーカイブは10月30日で終了しました)
10月2日に開催したワークショップでは、劇団森3年代の中荄啾仁さんがファシリテーターを担当してくださいました!
どらま館をzoom上に映しながら、「上演未満」の作品に演出をつけてみるワークショップを開催し、「どうすれば上演未満との交信が可能になるか」という難しいテーマを念頭に置きながら、演出経験に関係なくディスカッションすることができました。
また、今回の企画が今までの企画と大きく異なる点があります。それは、企画発案がどらま制作部スタッフではなく、早稲田で演劇に携わる学生サイドからの発案だったことです。
その発案者こそが、ファシリテーターも務めてくれた中荄さんです。彼自身が主宰していた公演が「上演未満」となってしまい、そこから今回の企画へと結びつきました。
学生側から自発的に企画が持ち込まれるという構図は、我々がかねてから理想としていたことの一つでもあります。それが実現できたこと、大変嬉しいです。
そんな中荄さんから今回の企画について、コメントをいただいています↓
WSを通して、上演未満との交信は確に果たせたと思う。応募して頂いた脚本を見つめて、上演をソウゾウする。起点として設定した装置はその向こう側に広がる果てしない演劇作品の豊かさを見せてくれた。zoomの画面に映されていたどらま館ははじめ、なんの装置もなくただ真っ黒に沈黙していた。何も無かった。
私一人には計りえない程の知恵を絞り実践を重ねた上演未満。その失われた時間と交信するため、私たちは劇場というカンバスにイマジネーションで画を描いた。すると、上演未満たちは私たちにさらなるイメージの豊かさをもって切実に強烈に語りかけてくる。どらま館に設置する装置を考えていた時、私たちはいかにして上演未満たちの手をとるかを考え、必死に手を大きく開くような心持ちであった。そして彼らはその手に実に豊かなイメージとともに手を伸ばしてくれたのだ。
上演未満がもたらしてくれたものは、これからのソウゾウの大きな飼料となる。この手を離さないままで、作品を作り続け、上演未満を忘れないままでいたい。
最後に、ご協力くださったどらま館制作部の皆様、脚本提供、当日参加をしてくださった方に感謝申し上げます。ありがとうございました。(中荄)
『どらま制作会議室』
第1回の制作部週間から継続して実施している企画もあります。どらま技術班スタッフが更新する『うらかたり』に加えて、『どらま館制作会議室』がその一つです。
過去回では、どらま館スタッフの仕事内容の紹介やどらま館が過去に招聘した団体を振り返り、今後について長期的な視点でディスカッションをしてきました。
第3回となる今回の制作会議室では、どらま館設立から現在までにどのような自主的な企画が実施されてきたかをスタッフ内で共有し、「2021年現在ならどのように企画していくか」「参加するとしたら、それぞれどの企画に参加してみたいか」などを話し合いました。
↓以下のURLから会議時のアーカイブがご視聴できます↓
また、企画発案者で、どらま館担当職員の宮崎さんよりコメントいただいています↓
今回のどらま館制作会議室では、どらま館のこれまでの「企画」を振り返りました。前回の「招聘公演」に引き続き、「どらま館を誰のためのどんな場所にするのか」を切り口を変えて話してみる回でしたが、正直に言うと、一つの企画に対してのわたしの資料の用意が不足していたため活発な議論が出来なかったと反省しています。。
というのも、今回の会議の中で、過去にどらま館で公演した劇団のことを学生スタッフのほとんどの人が「知らない」ということを知りました。ふだん企画以外の仕事に関わっている人も多いので、それも当然ではあるのですが、これは知ってるだろうと思っていた劇団もアテが外れてしまい、企画を考える以前のところで話が落ち着いてしまったところがありました。これはひとえに私の準備不足で申し訳なかったです。
少し飛躍した話になってしまうのですが、今回の会議を振り返りながら、サークル以外の演劇を「知らない」ことが、サークル活動に求められる「正しい振る舞い」になっているところがあるではないか、なんてことを少し思いました。ふとよぎったのは、千葉雅也さんの『勉強の哲学』にあった「勉強することはキモくなること」というフレーズで、「知らない」ことの共有が集団(サークル)を維持する「掟」になっているところがあるのかもしれないと思ったのでした。そもそも、知識として「知らない」ことは、それが悪いのかということも勿論あるのですが、「知らない」を起点に話し合って、次のアクションにつながるかどうかが肝心なはずです。「知らない」ものに触れて好奇心が発揮されたことで、それまでの良しとされていた規範やその場の関係性に水を差してしまうことは十分にあって、それは大げさに言えば、居場所の失ってしまうことにもつながるのだと思います。
個人的にどらま館の企画では、知らないものに触れて好奇心が発揮されるものを!と考えていたのですが、それがサークルにいるときの居心地を悪くする可能性があるということまでは思いが至っていませんでした。どらま館企画の参加を通じてそれ以前と以後の自分が変わってしまうような体験を提供したいと考えていますが、そういう需要ってないですか??(宮崎)
さいごに
今年6月に第1回を開催し、2ヶ月ごとに開催してきたどらま館制作部週間。第1回の準備当初は、どらま館にてオフラインで全てのイベントを実施予定でしたが、第3回となる今回まで全てオンラインでの開催となりました。
オンラインでも代替できること、むしろ活性化されること、オフライン出なくてはできないこと‥たくさんの気付きがある半年間でした。
これにて、『どらま館制作部週間03』全体と『上演未満との交信』『どらま館制作会議室』の振り返りは終わりです。次回の制作部週間は2022年1月を予定しています。お楽しみに!
また、どらま館では、note以外にもTwitterや公式HPにて活動紹介をしております。ぜひご覧ください。