うらかたり 第4話
裏方が語る舞台の裏側の物語『うらかたり』と題して、どらま館制作部技術班の渡部と中西が、制作部週間内で毎日更新するnote記事企画。
第4話は、中西が担当します。
渡部さんの仕事を見たあとでやるのは大変恥ずかしいのですが、私がプランを組んだ過去公演の照明からお気に入りの場面を、写真と共に紹介させてください。
2020.12/24 - 12/27
劇団木霊2020年新人公演「真空のジェンガ」
作・演出 鏡原すず
この作品の基礎明かりです。前・上・斜めの成分の光によって全体を万遍なく明るくするというのが、舞台照明の基本型のひとつです。
手前から青と赤の明かりがついています。歩いた人の顔などに当たると色が出る効果を使い、非日常な質感を狙いました。
こちらはナトリウム灯という、トンネルで光っているオレンジ色と同じ光を出す機材を使用しています。この機材には、光が当たった対象物の色味を消す、という効果があり、肉眼で見るとセピア写真のような雰囲気を醸します。
スモークを焚き、PAR(パー)ライトで光の筋を出す、というライブハウスのやり口ですね。本数を増やすとダイナミックさがかなり出ます。激しいギターの中で役者が動く、終盤のシーンで使いました。
実は、台の下にも機材がいました!単体で光らせると、台の影がいい感じに筋をつくってくれます。この筋も終盤に活躍しました。
この作品は、終盤に至るまでは大きな照明変化が多くないものでしたが、逆にニュアンスの違いをそれとなく感じさせる微細な変化が求められました。そのため(写真ではわかりにくく省きましたが)1枚目の基礎明かりを、青っぽいもの/橙っぽいものの2種類作り、シーンに応じて使い分けています。
このように光の色はとても重要な要素で、主に機材にフィルターを取り付けることで表現します。
また、光の質感の違いも大切な要素で、ここら辺は機材選び・フィルター選びにおおきく関わります。例えば、1枚目で天井に丸く光っているのはDFというぼんやりな光が出せる機材で、そこにディフュージョンフィルターを取り付けています。これは摺りガラスのような質感になっており光を拡散させる効果があるので、より柔らかい光になるのです。一方、4枚目は先述の通りPAR(パー)ライトを使っていますが、この機材は電球の光を鏡で集めて鋭く前方へ出す仕組みなので、くっきりはっきりした光となります。
シーンのイメージを丁度よい塩梅で表すのは本当に悩ましい作業ですが、役者のいる舞台と合わさって綺麗につくることが出来た時の感動は………ヤミツキです。
それでは、よろしければ次回もご覧ください!
【写真:渡辺大成様】