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どらま館制作部週間02を終えて~その2

こんにちは。どらま館制作部スタッフのにいづま久実です。

どらま館は今年度、円盤に乗る派さんを招聘して制作部週間で様々な企画を行う予定です。6月の第1回制作部週間では劇団森×劇団森OB カゲヤマ気象台『森森森森会議』と円盤に乗る派ワークショップ『自分のためにモノローグを書く』を行いました。

8月の第2回では円盤に乗る派さんを紹介する記事企画『円盤の乗り方』と円盤に乗る派オンラインWS『演出プランを練る』を行いました。

『円盤の乗り方』

まずは、記事企画『円盤の乗り方』について振り返ります。まだご覧になっていない方は以下のURLからご覧ください。

vol.1

vol.2

記事を編集したのは、どらま館制作部の重村です。
インタビューの場にいた身としてこの記事を簡単に振り返ります。

 ちょうどこの時オリンピック前で、Twitter上ではオリンピック反対の声が多くありました。私はオリンピックのボランティアに参加していたのですが、テレビでもオリンピックを紹介するものより、反対する世論を取り上げる番組の方が多かったように感じます。「オリンピックはなぜ開催できるのか」その問いを自身の中で考える中でのインタビューでした。
 円盤に乗る派に関すること(メンバーやアトリエについて)の延長線でカゲヤマさんが考える演劇や劇場の役割についても話を伺いました。その中でカゲヤマさんから「劇場は心の健康につながる」という言葉を聞き、「意外に単純だけど確かに合っている」と納得でき、もやもやしていたのもがスッキリしたような感覚になりました。私は「心の健康」という点でオリンピックが必要性の高いものに感じられていたのだと気づいたからです。考えや立場によって価値は違うもので、自分の価値観を言葉にして話し合うことが大切なのだと思いました。
インタビューを通して、演劇が必要な理由は人によって違うものであり、それを自分なりの言葉にすることが大切なのだと思いました。

 また、音声コンテンツのvol.2では、私が演劇を鑑賞していてしばしば抱く「わからない」をカゲヤマさんに質問しました。そこで出てきた「未知の文化領域」と「演劇が日常に侵食する」という言葉が私は少し怖く感じてしまいました。なぜなら、今まで触れてこなかった未知の文化が意図せず自分の生活に入ることで、考え方などが変わってしまうのではないかという不安に感じるからです。しかし、改めて考えると「わからない演劇」を観た後に、私生活の悩みがとてもちっぽけなもののように感じるあの感覚が侵食なのかなと思います。つまり、舞台で起こっていたよくわからないことが日常に侵食するのではなく、上演中によくわからないなと思いながら自分なりに理解しようとしていたその頭の使い方が日常生活に侵食するのだと思いました。「わからない」からこの劇団は見ないと思うのはやめようと思いました。今の私には「なにこれわからない」と混乱する時間も大事かなと思います。
 もしかしたら円盤に乗る派の次回公演『ウォーターフォール』を見て今まで見た演劇と違うなとか難しいなと感じるかもしれません。でもその「わからない感覚」が日常に侵食してくる感覚を楽しんでみてください。

『演出プランを練る』

 次に円盤に乗る派WS『演出プランを練る』について振り返っていきます。WSに関する紹介記事はこちらからご覧になれます。

 最初に講師のカゲヤマさん、額田さんから演出をプランを考える際のレクチャーをしていただきました。

 その後、円盤に乗る派の『ウォーターフォール』の脚本の一部に参加者と講師のお二人が演出をプランを練るという作業を行いました。

 また、今回のWSでは誰かが考えた演出プランに自分のプランを組み合わせるという作業も行いました。以下の画像は、その時の発表の様子です。

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参加者の1人、中村マサシさんからコメントをいただいたので紹介します!!

 講師の方々の演出論は、上演を考えるプロセスとして非常に興味深く拝聴しました。特に演出のイメージの構築の仕方、俳優、座組との共有の仕方が面白く感じました。
 本題の演出プランを練る段では、一度自分でプランを練った後に、他の方の演出プランの一部を取り込んで、自分の案の再構築を行いました。他の人のプランを自身のイメージに取り込むことを、意識的にあまり行わないため、とても刺激的な時間でした。また、今回は純粋に演出プランを練るだけだったため、他の方のものすごく自由な演出の展開を聞くことができ、わくわくする時間でした。
 はじめに伺った講師のお二人の演出の仕方に加え、他の参加者の方の演出の思考法も垣間見ることができ、同時に同じテキストで、非常にバラエティー豊かな交流のある時間でした。

講師のお二人からもコメントをいただきました。

カゲヤマ気象台さんのコメントです。

 演出についてワークショップをするという立場ながら、同時に自分にとっても「演出って何だ?」ということを見つめ直す体験にもなりました。どうしても明確な形をもたず、目に見えず、自律もしていない「演出」という分野には、経験則であったり、不確定要素であったり、いわば答えを知らないまま賭けに出るような部分があります。毎回不安を抱えながら、本番を迎えたときにどこかホッとして、なんとか作品になったと胸をなでおろすような感覚です。
 今回のワークショップは、「わからなさ」の体験を共有するようなものに結果的になったのではないかと思います。そして、その「わからないもの」に対してどのようにアプローチができるか、意見を交換しつつ模索することができたのは自分にとってもよい経験となりました。
 当初の予定から変わってオンライン開催となりましたが、劇場や舞台と離れて演出について考えられたことは結果として、それぞれの参加者にとって舞台演出を自分の生活実感の延長線上で捉えられるきっかけにもなったかもしれないと思います。

ゲスト講師 額田大志さんからのコメントです。

上演が誕生するずっと前のことを話し合う、貴重な時間が流れていました。自分にとっての演出とは何か、何を大切に上演をつくっているのか。「演出プランのみを発表する」という制約がそれを可能にしたと思います。上演が一つの結果だとしたら、そこにいたるまでの思考のプロセスを共有するワークショップでした。
 私自身も参加者のプランに納得したり、驚いたりしていました。演出家としての自分が苦手なこと、得意なことを客観視できる時間でもありました。なによりも、「演出」という目に見えない何かをできるだけ言葉にしていくこと、それを参加者同士で共有することで、ぼんやりとした演出の輪郭を少しだけ浮き立たせることができたと思います。

なかなか頭の中に描く演出プランを言葉にするのは難しいと思いますが、オンラインということもあり、とてもわかりやすく言語化されていたように感じました。稽古初日が始まる前や稽古が始まってから演出家が家で演出を考えている様子を覗き見したようなWSでした。オンラインの開催になってしまいましたが、目の前のテキストに参加者の皆さんと講師のお二人が向き合う3時間強は、とても濃度の高い時間でした。機会があったら、対面で『演出をつけるWS』も開催したいと思いました。

さいごに

最後までお読みいただきありがとうございます。
次の更新は、9/8(水)です。その3もお楽しみに!!


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