うらかたり 第15話
裏方が語る舞台の裏側の物語『うらかたり』と題して、どらま館制作部技術班が制作部週間内で毎日更新するnote記事企画。
今回の制作部週間では、第13話~第18話を公開します。
どうもです。劇団木霊所属の内藤です。前回に引き続き舞台監督の仕事についてお話させていただきます。
舞台監督の大枠の部分は前回書かせていただいたので、では実際「舞台監督って何をしているの?」という部分について書かせていただきます。もちろん、劇団によって舞台監督の役割は異なってきますので、あくまで劇団木霊の舞台監督の仕事ということで。
劇団木霊の舞台監督の仕事は様々ありますが、主な仕事で言えば劇団員のスケジュール管理、時間管理、あとは空気作りなどをしています。
スケジュール管理や時間管理は文字通りの仕事です。公演が滞りなく進められるように、無事に楽日まで終わることができるように、しっかりと管理をしています。もちろん、予想できないハプニングや急な予定変更は起こります。その時に、どのように柔軟に対応していくかを常に意識して行なっております。文面上でも実際の仕事でも派手な仕事ではありませんが、公演を行なっていくにあたり重要な仕事になります。
また、空気作りも意識しています。私はこの部分がかなり重要であると思っています。「舞台監督が空気作りなんてできるの?そういうのは役者や演出家がするものではないの?」と思うかも知れません。確かに、その公演の色や全体の雰囲気を作っているのは演出家や役者の方々です。では舞台監督がする空気作りって?
例えば本番週を想像してみてください。本番週とは実際に公演と同じように音照をつけながら、最終仕上げをする週のことです。舞台監督は本番週においてスケジュール管理や進行をしています。
本番週って空気感が独特です。それもそのはず、最終調整の場面、もうすぐお客様に作品をお見せするわけであり、有耶無耶にしたまま本番なんて迎えられない。私たちは人間ですのでミスもしてしまいます。そのミスに焦る焦る。かなりのプレッシャーの中で行うわけですので、気持ちも不安定になります。そんな時に、舞台監督が空気を作るわけです。決して焦らず、暗い空気にはさせない、それでいて程よい緊張感の中、本番週を皆が過ごせるように。私がまだ舞台監督を始めたての時に、先輩に「舞台監督は絶対に焦っちゃダメ、明るく元気にね。」のようなことを言われました。どんなに自分が不安で苦しくなっても、予想外のハプニングが起きても、決して焦らず明るく元気に場を回す。舞台監督のお仕事の言葉にしにくい部分であり、結構大変な部分であり、とても重要な部分です。
内藤さんが舞台監督トップを務めた公演『グレート・ギャツビー』『あく魔憑き』のフライヤー。どちらも重厚な空気の作品でしたが、小屋入りの様子はとても明るく、舞台監督のありがたさを感じます。(中西)
ここまで長々と舞台監督のお仕事について書かせていただきましたが、何となくでも分かったでしょうか。他にもたくさん仕事はありますが、それらを全て説明するには、私の文才ではより長々と書き連ねることになってしまいますので、代表的な仕事のみにさせていただきました。
他のセクションと同じように、どの公演においても必ず舞台監督というセクションはあります。今回の記事が、少しでも舞台監督への理解の一助になれればと願っております。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
内藤響子
劇団木霊所属
2018年に劇団木霊に入団。以降、役者のみならず、舞台監督としても多くの作品に関わっている。