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うらかたり 第5話

裏方が語る舞台の裏側の物語『うらかたり』と題して、どらま館制作部技術班の渡部と中西が、制作部週間内で毎日更新するnote記事企画。
第6話は昨日に引き続き中西が担当します。

こんにちは。今回も過去公演の照明について記していきます!

2021.5/21 - 5/24
劇団木霊2021年本公演「YOKO」
主宰 目黒ほのか
作 マツモトタクロウ
演出 ユリアヤ

今回はつい先日公開を終了した木霊の本公演です。

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こちらが劇中の基礎明かり。地底をイメージし、演技領域の輪郭がはっきり出るようにしました。A-2というフィルターを機材に仕込み、少し色温度を下げる(オレンジ寄りにする)処理もしています。

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比較用として、こちらはA-2フィルター無しの基礎明かりです。色が全然違いますね。

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舞台美術を四角く切り取るこの明かりは、前方からSource-Fourという機材で作りました。この機材は光を四角く切ったり、模様を投影したりできる、とってもデキる子です。前から当てていることで後ろの壁にしっかり人物の影が出るところがこだわりです。

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上の明かりに緑のフロント(斜め前から当てる光)を追加して、不思議空間にしました。この場ではでっかいキック音の中で役者が真顔のまま揺れます。

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先ほどの緑に、サイド(横から当てる光)で濃青、濃黄を足しました。目がチカチカする、異空間です。

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地下から這い上がり、太陽のある世界へ移りました。1枚目の基礎明かりをベースに両サイドから濃黄を追加しています。濃黄が背中で照り返して、人物が不自然に浮き上がるといいな…という明かりです。

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たんぽぽを探しているところ。前の画像のシーンを少し暗くしたものです。

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あ!たんぽぽありました!#40という強い黄色のフィルターを取り付けて丸く照射しています。

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たんぽぽのじゅうたんに彼女を安置しました。おおよそ終幕です。

以上、「YOKO」の照明とその説明でした。

デザインは、「ここは必ず明るくしないといけない」という照明の義務の部分と、「ここはこんな雰囲気をつくる!」という照明の表現の部分とが、常にせめぎ合っています。

またデザインには劇場の環境がかなり関わってきます。例えば、劇団木霊アトリエのように照り返しが強い床面には注意が必要です。吊りこみ可能な機材の数や位置も劇場次第なので、考え方が大きく変わってきます。

そしてそういった悩ましさが、面白さでもあります!


さて、ここまで我々技術班の二人の過去の仕事について紹介してきました。

明日はいよいよ最終回。ちょっとこれまでの回とは違う雰囲気でお届けします…

それではまた!

【写真:深見莉子様】


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