浴衣生地を積もる
浴衣の裁断について
1.1 標準サイズから考えてみる&積もってみる
浴衣生地である現代幅38センチ,12メートル(着尺)の反物と仮定して標準サイズの裁断について積もってみます。
浴衣は,袖2枚,身頃2枚,衽2枚,衿1枚,共衿(かけ衿)1枚から構成されています。これ全体を裁断した合計が,およそ12m。では,縫い代を含めた長さ(用尺)を以下に記します。
標準サイズの場合,衽と衿は半分に裁断して取るので,この浴衣に必要な生地の長さはおよそ12.12mになり,12cm足りなくなります。
ですが,かけ衿というのは図1のように衿を取った分から作りますので,袖と身頃を足した長さが9メートルで残りが3m。
衿は縫い代込みで208cmから210cmで,3mから引いて,92cmから90cmになります。90~92cmの長さをかけ衿にします。(私はかけ衿を48cmにしていますが,単衣や袷と同じ長さなので,浴衣は45cmを基本としている時もあります)
※ですが,現代は背が高い人も増えているので12mよりも長い,1反が13mということも多いですし,ぴったり12mということはないと思います。初めに全体の長さを計った方がいいです。
※あくまでも素人の考え方です。
1.2 かけ衿を長くしたい場合
98まで伸ばしたい!のであれば,内揚げを取らない方法もありますが,衿を繋ぐという方法もあります。かけ衿の長さはそのままに,衽で残った10cm(余剰分があるのでそれ以上)を衿にそのままつなぎます。その際,繋ぐ場所はかけ衿に隠れる場所,もしくは着用した際に隠れてしまう右側で繋げてください。
衿先の縫い代ですが,1㎝は厳しいですが,2㎝だといけます。
1.3 ふくよかサイズから考えてみる
こちらは幅が広くなるだけなので,積もってもほとんど用尺は変わりません。
ふくよかサイズは衽幅が17センチです。縫い代は最低3センチ必要になってきますので,20センチの幅が必要になります。なので,半分に裁断してはいけません。幅38センチの反物を20センチと18センチで裁断する必要があります。
ばち衿は縫い代がギリギリになりますが,取れます。
衿の長さも標準サイズと同じように考えてください。
1.4 トールサイズから考えてみる
こちらは,身長が高いので用尺が変わってきます。
トールサイズの場合,図1で積もると,12.52mになってしまい,足りません。内揚げを取らなかったとしてもまだ32cm足りません。
図2のように考えてみましょう。袖と身頃から12mを引いた長さが248cmになります。248cmから衽の155cmを引くと,残りは93cm。
ここで内揚げを取らなければ残りは113cmになります。それでもまだ少し足りないようなら,衽の剣先部分の縫い代をさらに1㎝引いて,114cm。
更に,袖の縫い代6cmから5㎝にすると,118cm。もしくは袖丈52から標準の49cmに変更します。
それでも足りない場合は,かけ衿で隠れるようにして,晒しなどほかの布で衿を繋ぎます。見えないからといって,外に出るような形で違う布地を使うのはおススメしません。
反物の幅が39㎝ある場合は,1/3に裁断すれば13cmで棒衿が作れます。
まとめ
和裁は色々と厳格かと思いきや,意外に柔軟な考え方が出来るのがとても良いところだと思っています。
といっても,私は素人なのでこれが正しいとは限りません。
柄合わせは,横一列に並ばない&衽と袖に柄が来るようになどを気を付けているくらいです。
次は,ミシンと手縫いで作る方法について簡単に書いていこうと思っています。浴衣の記事が終了したら,一旦お休みして,自分の単衣を完成させようと思います。
それでは。