見出し画像

子供の病と向き合う

2021年も残すところあと僅か。この夏、思いがけず、一人息子に難病が見つかって心をえぐられるような思いで何とか駆け抜けてきた後半戦だった。9月から毎月、東大病院での入院治療がはじまり、今は4度目のプチ留学。点滴の管を挿すのが毎回恐怖で一苦労。それでも何とか前向きに病気と付き合うことができるように訓練中です。今回は病院でのちょっと面白い出来事について綴ってみます。


1.入院前のコロナ検査

入院日の数日前にコロナ検査を受けることになっています。検査自体はわずか5秒程度で終わりますが、この検査を受けるために保育園を1日お休みします。はじめのうちは検査が終わると真っすぐ家に帰っていましたが、少し市中感染が収まってきたところで、ランチは外で食べて帰ろうか~となり、ついでにお散歩して帰ろうか~となり、東大キャンパス内への立ち入りが認められる患者特権を使ってアカデミックな雰囲気に浸りながらキャンパス内の素敵な建物を眺めて歩きます。ついでにランチもキャンパス内のUTカフェで鴨肉のコンフィがメインのランチプレートをぺろり。ランチの後は上野、浅草、銀座界隈をぶーらぶら。先月は浅草でビール飲んじゃいました(笑)

安藤忠雄氏の設計による福武ホール
安藤コンクリートと内田ゴシックのコントラスト!
外はパリパリ、中はホロホロ、鴨肉のプレート
閉鎖中の赤門をキャンパス内から
浅草へ寄り道してホッとひと息

2.モーニングライナーに乗って

入院日は朝9時に小児科外来へ、3日分の入院セットを持って行かねばなりません。息子が小学校にあがる4月までは私も入院付添が認められるので、親子二人分の荷物で通勤ラッシュアワーの移動はちょっときついです。幸い、上野まで40分で快適に過ごせるモーニングライナーという有難いサービスがありました!あのかっこいいやつに乗れるとなると、子供のモチベーションはあがります。上野に着いたらダッシュで都バスに乗り込むのですが(笑)

オリパラ・ラッピングのモーニングライナー

3.工作の先生

小児病棟には常勤の保育士さんがいらして、毎回楽しい工作を教えてくれます。息子は病棟に着くと真っ先にご挨拶にいくほど、楽しみにしているようです。びっくり箱、クレーンゲーム、CDコマ、ちぎり絵、パラシュートなど子供の創作意欲を掻き立てるお題が満載で、ありがたいことです。同室の子とお話をする機会も工作の時間にやってきます。感染防止対策でなるべくベッドの周りのカーテンを閉めておくように言われてますが、工作の時間となると子供たちはカーテン全開で遊び始めます。

秋にはシャインマスカットと巨峰を作りました!
サンタさんへのお手紙を入れるレターラック


4.ドナルド・マクドナルド・ハウス

これ、息子が病気になって初めて知ったマクドナルドさんのチャリティー事業です。ハウスは遠方から入院している子どもに付添う家族の滞在施設で、全世界に377か所開設されているそうです。東大キャンパス内にもハウスがあって、家族の滞在サービス提供以外にも子供に玩具を届けてくれる嬉しい特典があります。我が家はマックとはこれまで無縁でしたが、こんなふうに支えられるとは思ってもみませんでした。フライドポテトのトランプをもらった時はちょっと嬉しかったです(笑)

ドナルドマクドナルドハウスが作成した、病気と闘う子供と家族の写真でモザイクアートに参加

5.絵日記が面白い

病院での時間は慌ただしい毎日と違って、ゆっくり過ぎていきます。検査や点滴治療はだいたいお昼ぐらいには終わるので、午後はゆっくり。夕方4時までにシャワーを浴びて、6時に夕飯、9時に消灯です。こんな時は絵日記を描くのに最適です。いつもとは違う、病院での出来事を振り返って記録に残します。初めてのMRI検査では途中でおしっこに行きたくなって中断したこと、点滴をがんばってご褒美をもらったこと、工作を楽しんだことなどなど、24色の色鉛筆を使って絵も描きます。

病院での出来事を書きます。

6.マイクラ、ぐち男、にゃんこ、ゲーム三昧

保育園で一番仲良くしているお友達から、お見舞いにマイクラのクリーパーのお人形をもらいました。以来、すっかりマイクラに心を奪われています。ゲームのことは、YouTubeでぐち男さんから色々と教わるようです。ぐち男は病院でしかみせないようにしています。病院での楽しみがまたひとつ増えました。ぐち男の人形は簡単には手に入らないので、夜なべして手作りしましたよ(笑)それから、にゃんこ大戦争も極力病室オンリーでさせています。そして先日ついに、Switch有機ELモデルを購入してしまいました。4月から一人で入院するようになったら、更にゲーム三昧になりそうです。

クリーパーといっしょ
ぐち男も連れてきたょ

7.白い巨塔みたいな

教授回診が、毎週水曜の朝に行われています。教授回診の日の朝は、なんとなく担当の看護師さんのお化粧がいつもより濃いめに見えます。つられて、私もしっかりメーク。強皮症の大家である佐藤伸一教授率いる軍団が、ズラズラーっといらして、息子のベッドを取り囲みます。担当医が早口で息子の症状を読み上げます。教授がお話されることを漏らさず聴こうとお付きの研修医さんや医大生さんの真剣な表情をみて、こちらも気合が入ります。「髪の毛はまた生えてくるかもしれないねぇ」と教授が仰ると、がんばって薬を続けていこうと思います。教授回診の勢いには圧倒されますが、佐藤教授はとても優しくて紳士的な方です。

治療はまだはじまったばかりで、慣れないことや不安も多いですが、こんな感じで新しい楽しみも見つけながら向き合っています。(つづく)

いいなと思ったら応援しよう!