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また会う日まで

「また会う日まで、みんな元気でいようね」と言って、母と姉と一緒に空港で妹を見送った。4年半ぶりにニュージーランドから里帰りをした妹家族と過ごした1ヵ月は、あっという間に過ぎてしまった。伯父の介護で実家を離れていた母も久しぶりに帰ってきて、賑やかな毎日だった。息子も片言の英語を使いながら、歳の近い姪っ子たちと一緒に遊んだ。ゴールデンウィークには泊りがけで出かけ、母と三家族が集まって過ごすこともできた。次にこうして皆で会えるのはいつになるだろう。人生何が起こるか分からない世の中で、もう二度とこんな風に皆が揃って集えることはないかもしれないと感慨深くなりながら、別れを惜しんだ。

母+三家族+ワンちゃん2匹と一緒に
@塙ハウス in 香取市加藤洲

妹は、小柄な両親から生まれてきたにしては、身長が170cm以上もあって、昔から態度もデカい(笑)偉そうに振舞っているわけではないが、ただ黙って立っているだけで強そうに見える。幼少期は怖がりで、一人で寝ることも出来なかったのに、彼女は高校2年生でベネズエラ留学をして以来、親元を離れてずっと海外で暮らしている。父が亡くなるまではイギリス、スコットランド、フランス、スペインで学んで一旦帰国し、少し落ち着いてからオーストラリアへ渡り、ニュージーランドに拠点を移してからは教育省で国家公務員として働いている。日本とは違い、外国籍でも受験資格が与えられ、試験にパスすれば国家公務員になれる移民の国で暮らす方が、彼女には合っているのだろうと思う。子育て環境もユニークで、日本とは全く異なる学校教育現場の話を聴くと面白い。現地の公立小学校には机も椅子もなくて、好きな場所で好きな体勢で授業を受けるというのが最近のトレンドだそうだ。

9歳の姪っ子、月渚(ルナ)。日本では小学3年生にあたるが、ニュージーランドでは5年生に進級した。その判断はペーパーテストではなく、インタビュー。例えば、「 rule(規則) と law(法律) の違いを答えなさい」といった問いかけに対し、「まず、結果が違います。規則を破ると何かしらペナルティはありますが、法律を侵すとjail(牢屋)に入ります。規則の中には時々理不尽なものもあります」と、ルナは躊躇なく答えたらしい。彼女はとにかく読書好きで、好奇心旺盛。一緒にいると質問攻めで、答えに詰まる。

8歳の姪っ子、葦天(アシア)。息子と同じ小学2年生にあたるが、ニュージーランドでは3年生。身体を動かすことが大好きな彼女は体操チームの強化選手になっているそうで、船橋アンデルセン公園へ連れて行ったときは、アスレチック上級者コースを難なくクリアしていた。食欲旺盛で何でもペロリと平らげてしまうものの、いつも少しだけ食器にご飯粒が残っている彼女に、米粒は一粒も残すことなく綺麗に食べるように伝えた。

姉は今回の妹の里帰りを誰よりもサポートしていた。妹のために人間ドックを予約し、キッザニアや着物体験・写真撮影にも付添った。食事や宿の手配も姉が調べてまわった。2年前に乳がんの手術をして以来、塞ぎがちだった姉が元気そうに振舞っているのを見るのは嬉しかった。そういえば、姉は私の通院にも付添ってくれたことがあった。学生時代、エジプトを旅していた私に会いに来てくれたこともあったし、大学卒業後に南アフリカに住んでいた時は母を連れて会いにきてくれたこともあった。

優しい姉と逞しい妹を持って、私は幸せだ。

次に皆でそろって会えるのはいつになるだろう。母にはこれからもずっと元気でいて、孫たちの成長を見守っていてほしい。75歳を過ぎても未だに私学の学校で養護教諭としてパートで働き、コロナ禍に先立ってしまった伯母の家族をサポートし、伯父の世話もして最期まで看取ったしっかり者の母である。三人娘のことはさておき、常に身近な誰かの心配をしている母にはもう少し楽をさせてあげたい。娘たちそれぞれが自分の人生を楽しく、心豊かに生きていくことがきっと母にとって一番の親孝行なのだろうと思う。それがなかなか難しいんだけどね(苦笑)

母と姉と妹と、皆で揃ってまた会う日はもう数えるほどしかないかもしれない。そんなことを想うと胸が張り裂けそうになるが、なんとか元気でいられるように、健康的な毎日を心がけていきたいと思う。

こうしてみると、やっぱり大きい妹(笑)

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