常間地の人生のアドベンチャー ベスト5
この記事はWARPSPACE Advent Calendar 2020の25日目(ラスト)の記事です。
さて、今は弊ワープスペースの大掃除&餅つきが終わり、皆が帰って静まり返ったオフィスで一人、2020年のアドベントカレンダー最後のエントリーを書いています。今の感情を一言で表すとシンプルに「幸せだなぁ」と思っています。最初に起業をしてから10年以上、まさに七転八倒、七転び八起き。本当にいろいろなことがあったし、今も想定外の出来事が日々起こるわけですが、2019年初にこの会社のCEOになってから少しずつ少しずつ、そしてようやく「良いチーム」になってきたなぁ、と。メンバーそれぞれが無理に力まず、フラットにチームが形成され、真剣なときは真剣に、楽しむときは自然に笑顔が溢れる、そんな光景を見るにつけ、心の底から「幸せだなぁ」と思うし、このチームなら大抵のことは難なく乗り越えられると確信できます。
さて、今年のワープスペースのアドベントカレンダーは、メンバーの行動指針である9つのCompass of Behaviorのいずれかに沿って書かれています。数時間のミーティングを何度も繰り返し行うなかで抽出され、抽象化され、言語化された僕らの価値観がまさにこのCompassです。最後のエントリーで何を書くか、めっちゃ悩んだんですがせっかくなので、僕のこれまでの七転八倒をCompassの「Adventure」にかけて、これまでの人生のアドベンチャーをランキング形式で5つご紹介したいと思います。まずは、第5位。
第5位 「戦慄!契約直後にクライアントが闇の組織にさらわれる」
僕が23歳くらいのときだったと思います。当時共同経営していたベンチャーで初めて数千万円級のプロジェクトを受注したことがありました。ついに、という感じでめちゃめちゃ嬉しかったのを覚えています。無事契約書の締結も終わり、必要な人材も採用し始め、さぁこれから、といった矢先。事件は起きたのです。突然、相手方の社長と連絡が取れなくなりました。先方の社内も含めて大騒ぎです。数日後、事態が判明しました。実はその社長、会社の運営資金として良からぬお金に手を付けてしまっていたらしく、その筋の人たちに連れ去られ、監禁されているということでした。
そうこうしているうちに、その会社は解散させられてしまいました。オフィスももぬけの殻。もうわけが分かりません。社長は無事戻ってこられたようですが、時すでに遅し。もちろん、契約は事実上ご破算。このプロジェクトのためにチームを拡大していたため、失った売上を何か別でカバーしないとたちまち会社が立ち行かなくなるところまで即座に追い詰められました。2年くらいかけて何とかその分はリカバーしましたが、逆にむしろそのまま案件が続いていたとすると、僕ら自身の身も危なかったかもしれません。まさに紙一重でした。それ以降、大型案件であればあるほど、相手方の素性には細心の注意を払うようになりました。
第4位 「激動!ベトナムで会社を立ち上げる」
25歳くらいのとき、初めて海外法人を設立する機会に恵まれました。当時(今も)仲良くさせていただいていた経営者の方がベトナムで現地法人を持っていて、僕はIT、彼は製造業という別業種でしたが、一度現地に遊びに行かせてもらったことがきっかけで、あるアイデアで盛り上がり、ジョイントで法人立ち上げをすることになりました。
そもそも海外でビジネスを本格的にすること自体がなかったので、初めての経験を数多くすることができました。全く違う文化圏ということではありませんでしたが、やはりとはいえそこは外国。全く勝手の違う世界で試行錯誤の連続でした。もともと現地に明るいパートナーがいても日々驚きの連続だったので、もし身一つだったらと考えるとゾッとします。そもそも世界はみんな違うことを前提に捉えなければいけないし、理解しようとすることからすべてが始まる、という考え方がこのとき僕の中で生まれたように思います。
第3位 「感動!海中世界との出会い」
今僕に趣味とよべるものは数えるほどしかないのですが、その数少ない趣味の一つがスキューバダイビングです。僕が結婚した2013年、新婚旅行先のタイで妻に誘われて体験ダイビングをしたのがきっかけです。その後、年に数回ですが、旅行の行き先はダイビングが出来る場所を前提に選ばれるようになりました。
ダイビングは精神や命と向き合うスポーツです。数多くの生命が存在する海の中において、人間は酸素ボンベが無ければ、水深2メートルだって生きていけません。酸素ボンベのレギュレーター(空気の吸い口)を咥えていなければ即死するのに、人間は不思議で、水中でパニックになるとなぜかそれを外して、口で呼吸しようとします。水の中では自分の精神を安定させなければいけません。ダイビングで一番鍛えられるのはまずそこです。落ち着いて潜れるようになったとき、目の前に広がるのは素晴らしい命の営みです。この地球は決して人間のものではない、ということを明確に知らしめてくれます。水中にいるとその時間だけですが、強制にデジタルデトックスが出来ます。これもまた現代生活においては新鮮で貴重です。もしかしたら、宇宙も含めどんどん通信で繋がっていくとすると、人類に残された最後の圏外環境は海中なのかもしれません。
今まで撮った水中写真のベストショット@慶良間諸島、沖縄
第2位 「激闘!VSルワンダ税関24時」
昨年ワープスペースでルワンダに出張しました。目的は衛星用地上局(アンテナ)の設置ということで、可搬型の小型アンテナ(と言っても大きいキャリーケース1個くらいのサイズはある)を預け入れ荷物で持ち込みました。事前に現地の通信関係の規制当局とやり取りをし書類も揃って、何の問題もなく持ち込めるはずでした。が、しかし、そこはアフリカ。その話が税関にイマイチ伝わっておらず、というか規制当局からもらうべき書類が実は他にもいくつかあることが判明しました。
しょうがないのでその書類の発行を待っている間、ロケーションの下見を先行して行うことにしました。ついに書類が発行され、意気揚々と税関に向かったわけですが(アンテナはこのとき税関に留め置かれていました)、税関職員いわく、税関の判断はそれとは別と言われてしまったのです。ここからバトルが始まります。もう何がこの国の法律で、誰が正しいのか分かりません。ただ規制当局がこれを揃えて出せば持ち込めると言ったのは事実です。それを盾に押し通そうとしますが、これがなかなか手強い。最終的には、このアンテナで行うことはルワンダの国のための仕事に必要なんだ、ということを長時間にわたり力説をしたところ、最終的に担当官はアンテナの国内への持ち込みを許可してくれました。結局、関税の計算やら、払込の手続きやらをするためにいろいろな列に並んだ結果、無事解放されたころには夜も遅くになっていました。翌日にはアンテナの設置をしなければ間に合わなかったので本当にギリギリでした。この件を乗り越えられたので、今ではよほどのハードな状況の交渉でも乗り越えられる自信があります。笑
第1位 「始動!ワープスペースCEOジョイン」
僕は「Adventure」とは、何かを求めて未知や未踏の領域に飛び込むこと、そしてそのなかで多くの試練やリスクを乗り越えることだと考えています。そういう意味で、常間地の人生のアドベンチャー ベスト5の第一位には、これが入るべきだろうと思います。僕の起業家、経営者人生は、大半がITの世界のなかにありました。宇宙産業はまさに未踏でした。でもだからこそ、僕が宇宙産業にとって外人だからこそ、今の宇宙産業の変革、民主化の新しい動きに大きく貢献できるのだと思っています。
この想いを遂げるのに、あと少なくとも5年はかかるでしょう。その間に今では決して想像の付かない出来事やハードシングスが数多く訪れるんだと思います。ただ、今のチームメンバーを軸として多くの仲間がこれからも集い立ち向かうならば、万難を排していけると確信をしています。
最後に、ここまでワープスペースが歩みを進めてこれたのも、様々な形で応援、そして支えてくださった皆様のおかげです。本年も誠にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。では、よいお年をお迎えください。メリークリスマス。
ワープスペース CEO 常間地 悟
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