
Photo by
rarodado
不死?
まず初めに言おう、私は死なない。決して、未来永劫死ぬことは無い。
何故かって?
それは私が、不老不死の祝福にかけられているからさ。
科学者からもらったあの『禁断の薬』、それで私は不老不死になった。
私は私の人生を、永遠に堪能するだろう。
***
不老不死になってから、五十年が経過した。
周りが年老いていく中、私は一人生き続けている。
友達も仲間もいなかったから、悲しくは無かった。
ざまぁ見ろ。
こんな声まで出てきそうなくらい、むしろ嬉しかった。
***
不老不死になってから、四百年が経過した。
人間達は環境を破壊し、地球温暖化が急速に進んだ。
北極の氷が溶け、日本が沈んだ。
ざまぁ見ろ。
中国から日本があった場所を眺める私の口から、
そんな言葉はもう出てこなかった。
***
不老不死になってから、×××××年が経過したと思う。
人類滅亡と共に時計も滅んだせいで、何年経過したか分からなくなった。
野生動物たちが蔓延り、私の体を食い荒らす。
まるで、屍みたいに。
でも死なない。
どれだけ踏まれても、
死臭と共に蠅がたかってきても、
でも死ねない。
こんなのだったら、不老不死なんてならなきゃよかった。
***
不老不死になってから、×××××××××××年くらい経過したのかな。
地球が滅んで私は、宇宙の中を漂っている。
空気が無くて苦しいけれど、でも私は死ねない。
どれだけ足掻こうが、関係ない。
死にたい。
でも、どうやって?
***
……それに比べて、今の私達は幸せだ。
いつでも死ぬ手段を持っている。いつでも死ねる。
こんな風に。
──────────────────────────────────────────────
これは、とある自殺者のノートに書かれた内容である。