相続税 知って不安を解消(北海道新聞連載④)
今回から相続などに身近なお金の問題について、クイズ形式で解説することにしました。
意外に知られていない問題についてわかりやすく説明します。
今回はまず「相続税」、クイズに挑戦してみてください。
Q 相続税は次のうち誰が支払うのですか。
① 法定相続人
② 遺産をもらった人
③ 払いたい人
A 正解は②です。
相続税は相続や遺贈(遺言によって財産を移転すること)によって財産を取得した人が支払います。法定相続人だけだとは限りません。
遺言によって財産をもらった人も支払います。
Q 相続税の申告書は次の機関のうちどこに出すのでしょうか。
① 亡くなった方の住所を所轄する税務署
② 財産をもらった方の住所を所轄する税務署
③ 市役所などの官庁
A ①が正解です。
実際に支払う窓口は、税務署の他に金融機関や郵便局でも可能です。
相続税の申告には期限が決まっています。
亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
財産がわからなかったり、そもそも相続人を確認する作業から始めると あっという間にたってしまいます。
Q Aさんは3千万円の財産を残して2015年7月1日に亡くなりました。
相続税はいくらかかりますか。
Aさんは亡くなる3年以内には誰にも贈与していません。
また税務署への特別な制度の申請もしていません。
相続税額は次の3つのうち正解は。
① 相続税の税率は55%なので1650万円
② 相続税の税率は10%なので300万円
③ 0円。相続税はかからない
A ③が正解で、相続税はかかりません。
相続税は3千万円+(法定相続人の数✕600万円)の金額を超えた分にだけかかります。
相続税がかかる例を説明します。
配偶者を亡くしていたBさんが亡くなり、子供が一人だけいました。
遺産は3700万円でした。
その場合は法定相続人が一人ですので、
3千万円+600万円で、3600万円までは相続税はかかりません。
遺産は3700万円ですので、3700万円-3600万円で、100万円に相続税がかかることになります。
100万円の場合の税率は10%ですので、相続税は10万円となります。
相続税については、配偶者やご自宅、ご自宅を持っていない子供などのために優遇されている制度がたくさんあります。
むやみに不安に陥るのではなく、制度を知ることで大事なものを守りましょう。
相続税や贈与税の具体的な相談は、相続税に詳しい税理士さんにご相談ください。
ポイント
*遺産に相続税がかかる場合
3000万円+(法定相続人の数✕600万円)を超えた分
*法定相続人が一人で遺産が3700万円の場合は
3000万円+(1✕600万円)=3600万円を超えた分
*課税対象は
3700万-3600万=100万円
*税額は
100万円✕0.1=10万円
2015年(平成27年)7月1日(水曜日)北海道新聞
「相続税」
2015年は相続税の基礎控除額が4割下がり、相続税申告者が大きく増えました。
全国での相続税申告者は8%になりましたが、地域別に見ると、北海道では4%。東京は15%。
財産の割合として北海道では預貯金が最も多く、東京では土地が最も多い財産です。
当然ながら対策は変わります。