和レゲエ数珠繋ぎ-第58回-ケイタ
アーティスト名 qimygo
曲名 青い魚
発売年 2017年
第57回の最後に触れた瀬尾一三は、中島みゆきや長渕剛のアレンジ等で知られる編曲・作曲家です。勝手に関東のイメージを持っていましたが、兵庫県生まれの瀬尾一三は、関西のフォークにも関係する人物。1969年頃から金延幸子、中川イサト、松田幸一らと共にバンド「愚」として活動していました。
当時の関西フォークのシーンにおいて存在感のあるバンドだったそうですが、その活動期間は僅かであり音源もほとんど残っていないようです。第56回の大塚まさじらがまだディランと名乗っていた結成初期、愚のブッキングに中川イサトの家を訪ねたなんて話も読んだことがあります。
ボーカルの金延幸子はその後ソロとなり、1972年に細野晴臣のプロデュースでアルバム『み空』をリリース。そこに収録の「青い魚」のカバーが今回の楽曲。歌っているのはqimygo。原曲の流れを崩さずにアップデートした素晴らしいラヴァーズロックです。渋い選曲。
アルバム『み空』は、日本のインディーズ・レーベルの先駆けとも言われる「URCレコード」からのリリースです。そしてURCやその関連会社で働いていたのが第57回の加川良やジャックスの早川義夫。URCやその内部の話題になると商業的云々の話がついて回るのですが、当企画の趣旨とズレるためノータッチ。これは実際を知らない私では語れません。
さらにはqimygoの今年9月にリリースされたシングルがあります。タイトルは「サルビアの花」これは早川義夫の楽曲です。なんだか上手いこと繋がっていきます。この辺りのフォーク・クラシックがレゲエカバーされるのはDJにとって本当にありがたい。
ここ数回で、フォークソングとレゲエの絡みをたくさん聴いてきましたが2つの相性は良さそう。もう1曲聴いてみましょう。
日本のスカバンド・BRAVE LION が歌う「生活の柄」のレゲエカバーです。原曲より上がったピッチが心地よくハマったナイスカバー。原曲を歌っているのは高田渡。フォークシーンの話題になると必ずと言っていいほど名前が挙がるレジェンドです。イベント・春一番のキーマンでもあります。
どれも素晴らしい仕上がり。
日本の音楽にバリエーションが出始めた時代の名曲であるゆえに、カバーされる流れは必然ではありますが、ここまでの流れを数珠繋ぎした選曲で今回はお送りました。今回の楽曲は全て7インチでリリースされています。
ありがとうございました!