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I AM STILLを観てFilterを思い出した

ジョングクさんの入隊までのソロ活動を追ったドキュメンタリー映画「I AM STILL」が公開されています。ご覧になりましたか?
この映画のタイトル、英語音痴の私には直訳しかできないのですが、「私はまだまだ(発展途上)」ぐらいの意味になるんでしょうか? 違ってたらすみません。どなたかご教示下さると嬉しいです。
監督はあのパク・ジュンス氏。BTSを始め、Agust-DさんやらJーHOPEさんのドキュメンタリーを手掛けていらっしゃる方です。期待大。

だったんですが、観終わって感じたのは、パク監督、作品として世に出すために結構ご苦労されたのでは、ということでした。
まず何と言っても、この時期のジョングクさんはめちゃくそ忙しかったこと。もちろん映画用にインタビューの時間は設けられていたのですが、何だろう、じっくり感が薄いというか、もっと撮りたいんだけど時間がなかった、というか。
もう長いつきあいですから、パク監督はジョングクさんがどんな人かよく知っています。凡庸な質問には凡庸な答えしか返してこない人(あくまで印象ですよ)。これ手こずります。インタビュアー泣かせです。
例えばラッパーのSUGAさんやRMさんだったら元からが「言葉」の人ですから、ある程度の質問をすれば想像以上の答えが返ってくる人たちです。ある意味やりやすい。
だけどジョングクさんはそうではない。何と表現すればいいのか分かりませんが、とりあえず次元が違うんです。

それで思い出すのはDisney+のコンテンツ「Are You Sure?」第2話に出てくるジミンちゃんとの会話です。
ジミンちゃんはアルバム制作に時間がかかって、効率は悪いけど曲作り自体は面白い、というスタンスなんですが、ジョングクさんは「自分は目指すものが違う」と断言しています。
彼が目指しているのは、

「作られた曲を自分のものにすること。色々な人に色々な曲を自分の声で届ける。今はそうすることで認められたい」

さらに次のように続けます。

「僕は人に語るような話がない。普段から考え事をしたり、記録したり、感性を刺激されたりもしない。だから僕が持ってる才能を使って、表現する役割を果たすんだ」……。

この言いっぷり、凄くないですか? 多分ジミンちゃんが相手だからこんな言葉を引き出せたのであって、普通はなかなかここまでは言えません、と私は思います。
「俺は天性のパフォーマーであり、それしかない」と宣言してるんですよね。

BTS=防弾少年団と言えば、強いメッセージ性を携えて世に出たグループで、ジョングクさん自身もいくつか楽曲を作ってきました。
だけど彼はどこかの時点で「自分発信のメッセージ」に別れを告げ「誰のメッセージであろうと自分がそれを最高の形で表現する」ことを選んだ。

実際に映画の中でもプロデューサーの方々がジョングクさんをべた褒めしてました。PDさんが「こうして欲しい」と言えば、その意図を的確につかみとり、的確に表現する。もう理屈じゃない。PDさんですら言葉で表現しづらいことが一瞬で理解できる。多分、通訳いらない世界。
その天才的な部分を映画で伝えていくのは本当に大変だったと思います。
結局「パフォーマンスで見せるか」ってなって、ライブシーンが多くなったのではないかと。パク監督の本音を想像。

で、私、映画を観てるうちにジミンちゃんの「Filter」という楽曲を思い出しまして。ご存知の方は既にメロディーとエロかっこいいダンスが脳内をグルグル回ってるのでは。
「Filter」は「君のために何にでもなってあげるよ」という楽曲ですよね。
ジョングクさんは二言目には「ARMY、ARMY」って言ってて「ARMYのためなら何でもしたい」という気持ちが映画の中でもひしひしと伝わってきます。なので連想したのかもしれません。
ただジミンちゃんの「Filter」とはニュアンスが大きく異なっていて、ジミンちゃんの場合は「君の色に染まってあげる」と選択権をこちらに委ねてくれてますが、その実はすべて「ペルソナですよ」という意味が込められているように思えるのですが、
ジョングクさんがもし歌ったら「何にでもなってあげる。ただし僕の色でね。そっちの方が絶対いいから」って、何か真っ正直に迫って来そうな勢いなんですね。

ポップであるということは、ある意味「今の時代はこうですよ」っていうFilterの役目を果たす、ということでもあると思うのですが、栄枯盛衰必至の熾烈な音楽業界で、常にポップであり続けることは並大抵ではありません。
「僕の色」を武器にその一歩を踏み出したジョングクさんは本当に勇気があると思うし「僕を知らない人にも認めてもらいたい」という言葉にジョングクさんの覚悟を感じます。

映画の終盤でPdoggさんが、
「最初の頃は自分のポテンシャルをどう出せば良いか分からず苦しんでいたけど、ある時期から一気に開花した」
といった意味のことを話されていました。長年ジョングクさんを見守ってきたPdoggさんにしてみたら当初は「いや、そこじゃない」と歯痒い気持ちになった場面がいっぱいあったんだと思います。かといって、どうアドバイスすればいいか分からない、みたいな。
まことに卑近な例ですが、自転車の練習と似てませんか?自転車って乗れないときは周りが何を言っても乗れないんですけど、何故かあるタイミングで一気に乗れるようになりますよね。理由は分からないんだけど、自力で克服してるのは確か。Pdoggさんが言ってるのは、その感じじゃないかな。卑近な例で本当にすみません。だけど自転車つながりで言うなら「なかなか乗れなくて泣きべそかいてた彼が、あれよあれよという間にツール・ド・フランスに出場するまでになった」みたいな感じではないかと想像するのです。 

そしてジョングクさん自身は、
「人は僕のことを才能があるって言うけど、それは足りない部分を上手く隠しているか、足りないところに近寄らないようにしているから」
といったようなことを話していましたが、何と言うか謙虚な中にも自信を感じさせる言葉ですよね。すごくかっこいいし、プロだなあと思います。

2025年はどうなるのかな。BTSの中では当然マンネのジョングクさんですが、何かすごい影響力を発揮しそうな気がします。もちろん良い意味で。
もう可愛い末っ子ではなく、頼もしい兄弟の一人ですよね。


最後までお読み下さった方は本当にありがとうございます。




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