テン年代のエロゲを振り返る(番外編:秋葉原ソフマップアミューズメント館大看板について)
テン年代も終わりですねということで,最近はテン年代の美少女ゲームというnoteを書いています.noteは記事にヘッダー画像を指定することができるんですが,やはり回顧録ということで,当時のエロゲの看板を映したいという気持ちがありました.幸いなことにCCライセンスの元,使用可能な写真がいくつかあったので使用させていただいています.
https://note.mu/waravim/m/m79d2ec4d5212
秋葉原においてエロゲの広告は随所にありますが,そのなかでもアミューズメント館の大看板(ヘッダーのあいミスが移っている場所)は来るたびにエロゲのデカい広告が出ているという印象のある場所です.アミューズメント館自体,何度もエロゲを買った場所でもあり,なかなか思い出深い場所でもあります.そんなわけで懐かしみつつ公開されている写真をいくつか見ていくうちに,意外とエロゲ以外のものが掲示されていることに気づきました.この看板には今までどのようなものが掲示されてきたのだろうか?と思い軽く調べたところ広告に関してまとまったアーカイブはないようです.この場所はJR秋葉原駅を電気街口から中央通りに出ていくと,すぐに見える広告で,なおかつ総武線社内からも見えるそうで,秋葉原の顔のような存在のひとつといっても過言ではない気がします.10年代の秋葉原についてなんらかの知見が得られるのではないか,そう思いtwitterなどを駆使し広告の掲載期間について調べていくことにしました.
なお広告スペースができたのは2007/09/13のソフマップアミューズメント館オープン時っぽいのですが(それ以前は住所を見る限りWindowsパソコン専門店だった模様?),自分で確認できる最古の広告は2008年6月のMETALGEAR SOLID4の広告でした.2007~2010年4月にかけては情報が存在していないのでコメント欄やTwitterなどで情報提供していただけるとありがたいです.ほかの場所も調べたい気持ちが出てきたので,協力していただける方も募集しています.
なおこの場所の広告費用はサイズもあいまって数百万円程度のようです.
ジャンル別統計
集計期間(2010/4/22~2019/8/18) 合計3198日,全100本の広告が掲出されていたようです.内訳を出すと
・アニメ:26本, 823日
・エロゲ:19本, 844日
・エロゲ原作アニメ: 5本, 133日
・ビジュアルノベル: 6本, 219日
・ゲーム: 29本, 823日
・アイドル: 6本, 91日
・ソシャゲ: 4本,109日
・その他:4本, 103日
なんと掲載日数が一番多かったのは,エロゲでした.(エロゲ原作アニメなんていう恣意的なジャンル分けをしているのは気にしないことにしましょう.)エロゲ原作アニメとビジュアルノベルを合わせれば本数でもトップに立ち40%に迫る勢いです.
意外と多かったのがゲームです.アサシンクリードシリーズを筆頭に洋ゲーがかなりの割合を占めていました.正直洋ゲーには興味がなくスルーしているため,ほとんどがエロゲだったと記憶が改竄されてしまったのかもしれないですね.
最長掲載された広告は,Steins;Gate(アニメ)の133日でした.(2011/04/18~2011/08/29)でした.これもニトロプラスが関わっている以上,エロゲみたいなものですからね.やはりあの看板をエロゲの看板と認識しているのは強ち間違いでもないのかもしれません.
常連達
何回も登場している常連ともいうべきシリーズがあることに気づきました.以下消化していきたいと思います.
5pbの科学アドベンチャーシリーズ
最も有名なのはSteins; Gateでしょうか.ファンディスクの線形拘束のフェノグラム,ROBOTICS;NOTES,Chaos;Child含め4回の登場です.割と人気そうなYU-NOとかは出していないみたいですが,新作のADVが出てきたらまた登場しそうですね.
TypeMoon& Fateシリーズ
フェイト/アンリミテッドコード,魔法使いの夜(2回),vita版Fate/hollow ataraxia ,Fateのufotable版アニメ,Fate/Apocrypha アニメ,劇場版アニメ(2回),などを含めて確認出来る限りで8回の登場です.すごい.次の劇場版のBDなども入る可能性があり,
アサシンクリードシリーズ
『アサシンクリードⅢ』,『アサシン クリードIV ブラック フラッグ』,『アサシン クリード ユニティ』,『アサシン クリード シンジケート』, 『アサシン クリード オリジンズ』と5回の登場です.公式Twitterでも言及されていますし,今後も出てくる可能性は高いですね.
水樹奈々
アイドルというジャンルを上の統計で出しましたが,実態はほとんど(3/6)水樹奈々でした.加えてサービスに分類しているanimelo liveについても水樹奈々が広告に載っています.水樹奈々をアイドルとみなすかは微妙ですが,当初はもっとアイドルがいろいろ出てくると思っていたので,アイドルジャンルとしてカウントしてしまいました.なのはシリーズも頻出(3回)なので一ジャンルを占めているといっていいかもしれません.流石です.(ところでなのはx水樹奈々といえば,魔法少女リリカルなのは一期のOPが天才すぎるので万が一見ていない人がいたら見てほしいです)
みなとソフト
「姉小路直子と銀色の死神」「少女たちは荒野を目指す」「真剣で私に恋しなさい!A」「辻堂さんの純愛ロード」「辻堂さんのバージンロード」で5回登場です.周囲にみなとソフト好きがいないので謎ですが,まじ恋が制作に一億円かけてたみたいな話もありますし金はあるメーカーなのかもしれません.
AUGUST
「大図書館の羊飼い」「千の刃濤、桃花染の皇姫」「あいりすミスティリア!」で三回.べっかんこうさんの絵は萌えのイデアという感じがするので,貼ってあると安心感があります.
出てこなくてビビったジャンル
いわゆる女性向けはほとんど出てきていない気がしますね.アミューズメント館は女性客にも力を入れていくらしいのでこれからは増えてくるかもしれないです.
エロゲメーカーで出てこなくて驚いたのはKey,ゆずソフト,SAGA PLANETSなどでしょうか.Keyに関しては確かにRewriteは時期が悪かったし,Rewrite Hfも力があんまり入っていなかったし,サマポケの時は衰退しすぎていたのかもしれないですが,AB 1stなんかは出ていても良かった気がしています.場所としてはこの大広告の下を取っていて上に上げた作品もほとんどそこに乗せたっぽいです.ゆずソフトも安定して売れるメーカーなので出しているかと思ったら出していませんでした.もっともソフマップ本館のもっと大きな広告を取ったりはしているようです.
ソシャゲも艦これのVita版や,グラブルのアニメ,謎に三回やっている「崩壊3rd」などを除きほとんど出てきませんでした.アニメをやっているモバマス,バンドリあたりは出てきてもおかしくない気がしますが,どちらもアニメが大好評という感じでもなかったので厳しかったのでしょうか.ソフマップは基本的にソフトを売るお店なので,スマホゲームとは相性が悪いのかもしれません.
他にも「ラブライブ!」もここには一回も出してません.ソフマップ本館の方をしばらく占拠していたのでそちらで十分と判断したのかもしれません.
全データは以下のスプレッドシートにまとめてあります.まだところどころ編集,検証中だったりします.
以下ネット上に公開されているソフマップアミューズメント館の大看板の写真について主にエロゲが載っているものをピックアップして紹介していきたいと思います.(いわゆるインライン貼り付けなので,著作権的には問題ないという認識ですが,掲載を取り下げてほしい場合は取り下げますので連絡をお願いします.)
2010年
真・恋姫†無双 ~萌将伝~
確認できる範囲での最古のエロゲ広告です.この時は秋葉原中で広告ジャックをしたみたいですね.ラッピングバスまで走らせていたみたいです
https://www.youtube.com/watch?v=xYFoSOIo-Sw
この年は魔法使いの夜が発売する予定でした.しかし複数回の延期を経たため,結局2011年に発売します.広告もそのあおりを受けて,発売時期を曖昧に変更するという珍事が起きています.
2011年
2011年は前述したように三分の一の期間をシュタゲがジャックしていました.Twitterによると本来の掲載期間は1ヶ月だったようです.震災の影響でいろいろと延期になったためでしょうか.
後続はToHeart2DX PLUSとエロゲだったようです.
2011年は他にはましろ色シンフォニー(アニメ)の広告などもありました。
2012年
どーんとデカい顔の白崎つぐみさんが印象的な年です
D.C.Ⅲからはエロゲウインドウ風の広告も.
辻堂さんの純愛ロードなんかがエロゲからは出てきていたようです.
2013年
エロゲっぽいもの中ではWA2のアニメでしょうか.クリスマス発売とロマンチックな日程です.アニメもとてもロマンチックでしたね!
2013年はエロゲ関連としては他には辻堂さんのバージンロードしかないようです.シュタゲ線形拘束のフェノグラムなんかは打越鋼太郎が参加していたりしてそれなりに注目されていた気もしますが,評判はイマイチでした.
2014年
『恋がさくころ桜どき』が二回広告を取っています.最近の『9 -nine-』シリーズも出るたびに秋葉原の広告を埋め尽くしていますが,ぱれっとは広報に力をいれているのでしょうか.泉つばす先生の絵も萌え絵のイデアのひとつな気がしていて,貼ってあると嬉しい広告のひとつです.なおさくさくの評判もいまいちだったりするのですが…
その他にはこの年にはみなとカーニバル『姉小路直子と銀色の死神』が広告を出したりしています.
2015
なんと『姉小路直子と銀色の死神』を除いて,ピュアにエロゲは一本も出ていないです.FateのUBWのアニメが掲載されたりはしています.最近は陰に隠れがちな劇場版UBWもここに広告を出していたことがあるんですよね.
広告としては劇場版の方がかっこいい印象もあります.
みなとソフトから全年齢ですが,『少女たちは荒野を目指す』が掲載.しょこめざは本館にも後に巨大広告を打ちます.
王雀村xタカヒロにはじまり田中ロミオxタカヒロで終わった美しい年ともいえるかもしれません.
2016
妙にエロゲが多い年です.2月にまずまいてつが入ります.本当にまいてつの絵は可愛いし美しいですよね.実際は特定性癖に強みを持つエロゲなんですが……
つづいてPURELYx CATION
さらにPurple のアマツツミ
そして千桃が入ります.
トレーダーの方にも広告が出ていたみたいです.しかし街路樹が何かと邪魔なのがここの広告の宿命な感じがありますね.
年末に『真剣で私に恋しなさい!A』の広告が入り,計6本の広義エロゲが入って2016年は終了.
2017
ノラととのヒットに伴ってノラとと2が秋葉原広告をジャック.この時期にしては珍しく2か月広告を取っていたことからも勢いがうかがえます.そういえば2016~2017年はエロゲ業界が下げ止まった年ともいわれていた気がしますね.
つづいてアオイトリ
エロゲの看板にしては珍しくちょっとエッチな感じですね?
他に掲示されたエロゲとしては『超昂神騎エクシール』があげられます
2018
そして2018年,出来が悪すぎて一回は閉鎖したあいミスが復活に伴って,巨大広告を打ちます.今回のヘッダーにもした画像です.これ以降アミューズメント館がエロゲの取り扱いを辞めたこともあってか,エロゲの看板になることを見たことはありませんね.
ピュアなエロゲとして最後に掲示されたのは,『コイカツ!』でした
と振り返ってみると意外とテン年代のエロゲを振り返るにはふさわしい内容でした.エロゲの萌え絵は自分にとって「アキバ」の象徴なので掲示されていると嬉しいんですが,昨今の情勢を鑑みるにこれからは屋外に広告を打てなくなることもありそうですね.(実際ゼロ年代にはエロゲ広告が排除されるということもあった模様?).しかしそれにしてもテン年代においてもエロゲカルチャーはゼロ年代の残滓も含めてそれなりに影響力があったのだなぁと思いました,これからも何らかの形でこの面白いカルチャーが保たれていくとよいなぁと思いました.
(とおもった矢先にキズナアイが「ふぃぎゅ@めいと」を歌っていて感動しました.)