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葬式で流してほしいエロゲソング14選
人間にとって死は避けようのない運命である。死後というものに対して科学的に何かがあるかということを立証するものはなく、基本的には死後を自分の人生の延長のように考えるのはやや迷信じみた考えといえるかもしれない。
一方で、意外と自分の死後に行われることを気にしがちである。例えば自分の死体は丁重に扱ってほしいと思う人が結構多いように思いし、他にも「葬式代を遺す」ためのサービスはしばしば宣伝されている。
やはり人の本性として少なくともどのように葬られるかを選択したい欲求があるのだろう。
葬式への欲望とは「自分が死後どう見られたいか」を表しており、それは「自分の人生のゴール」を考えるうえで重要な起点である。葬式とはまだ縁遠いと考えている若者であっても自分の理想の葬式を表現することは人生で成し遂げたいことを再発見するうえで重要である。
ところで、葬式とは、人生のひとつのEDとみなすことができる。EDというのは非常に重要だ。エロゲは非常に分量が多い傾向があり、再びプレイする作品は非常に珍しい。そのためエロゲについて思い出すトリガーというのはエロゲソングになりがちである。曲が良ければプレイ体験はだんだん美化されていくが、逆であればプレイ時間がすべて無駄だったかのように錯覚し始めることすらある。これは人生のEDたる葬式における音楽の重要性を示しているだろう。
そこで今回は葬式で流したいエロゲソングを選ぶことで自らの人生を顧みてみることにした。
true my heart / ave;new feat.佐倉紗織
「きしめん」でもおなじみの、『Nursery Rhyme』主題歌。空耳ばかりが強調されがちだが、歌詞を読み込むと非常に美しい言葉で書かれた素直なラブソングでもあることに気づかされる。ボーカルの高音と電子音が織りなすポップで電波な空気感の中にも切なさを感じるメロディが組み込まれており、OPながらも人生のEDに相応しい一曲となっている。
風の辿り着く場所 / 彩菜
『Kanon』のED。アニメのあゆが走っている映像が印象的な一曲
「ずっと旅をしていく僕ら」を歌う歌詞はこれからも人生を生きていく人たちへの応援歌となっており、葬式にぴったりである。
素晴らしいラップも欠かすことはできない。お経とラップはメッセージ性の強い歌詞をリズムに乗って時には聞き取れないような抑揚やスピードで読み上げるという点で類似しており、葬式にぴったりである。曲のイメージとしては、ある意味『千の風になって』枠ともいえるでかもしれない。
夜明けのベルが鳴る / 安田みずほ
『彼女のセイイキ』のED。言葉って意外に不便だということを気付かさせてくれる名曲。堀江昌太への愛を葬式で確認する。。。素敵だね。
Alicemagic / Rita
『リトルバスターズ!』のED。別れに相応しい曲ですね。君は泣いた後笑えるはずなんですよね…
Wisteria / Rita
『漆黒のシャルノス』 ED 。意味のないことはこの世に一つもないんですよねぇ…
半分の魔法 / 真理歌
『ナルキッソス- スミレ 』という傑作のED。出会いに感謝する点で、かなり葬式向きである。
Farewell Song / Lia
『AIR』ED。タイトルからして完璧に葬式向きの曲。ベースの繰り返しとキラキラ音で雄大な海原を思い出させる。その穏やかな光景はまさしく彼岸の世界。この曲を聴けば安らかに永眠できることは間違いないだろう。
ラムネ2017 / 仲村芽衣子
『ラムネ2』ED。存在しない夏を思い起こさせる名曲。この人の人生にもまた存在しない夏が存在したのだなぁと出席者には印象付けることができるだろう。
夜明けのプリズム /Rita
『ヨスガノソラ』ED。徹夜明けに効くエレキギターがカッコイイED。EDながら始まりを想起させてくれるこの曲は葬式向きだろう。
二人だけのカーテンコール / 浅葉リオ
『アオイトリ』ED。葬式はカーテンコールみたいなものである。葬式というpublicな場所にあえて私秘的な関係性を思わせる曲を入れることで、より深い印象を与えることができる。リフレインを繰り返すごとに豪華になっていく曲調も良い人生を印象付けるだろう。
CROSSING / Marica
『CROSS✝CHANNEL』ED。「絶望でよかった、虚無だけを望んだ」から入る歌詞を聴けばなんとなく文豪感が出てくるし、ゲームで表現された「断絶が一つの救いとなること」「それでも生きていく」といったテーマも思い出すことができるだろう。葬式に相応しい。
Brand New Voice / 花たん
『すきま桜とうその都会』ED。葬式で踊りだす、そういう選択肢もあると思います。
さくら、Reinicarnation / 佐咲紗花
『さくら、もゆ。』OP。Reincarnationなので「蘇れ~」枠。切ないイントロが涙を誘います。でも愛は消えないんやね。
Presto
『はつゆきさくら』OP。ある調査によると卒業式に歌いたい曲一位らしい。春だし不器用に扉を開ける、そんな輝きを想い起こさせますね。無論ゲームの内容的にも死者の追悼がテーマにあるわけだから葬式向きである。そして最後の「バイバイ」で締めれば完璧な葬式の完成である。
以上とりあえずアルバム一枚ぐらいのイメージで14曲ほどを選曲してみた。ED曲の中にはやはりシナリオのEDとクロスオーバーして非常に強力な効果をもたらすものが多い。一方でOP曲の中にもプレイ後から理解できる良さがあるものがあり、このほかにも選びきれない名曲は多々あった。
葬式を考えることを通して人生を見つめなおすことが本企画の趣旨であったが、「やはりエロゲソングはいい」という結論が得られた。
これからもゴールに向けて頑張っていきたい。