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マラソン全国制覇への道7/47(群馬県) 2017 榛名湖マラソン

右アキレス腱の故障・その後

思い切って1か月ランオフすることにした。ランオフによる走力低下は怖かったが、致命的な故障になっ走れなくなるのはもっと怖かったからだ。走りたくても我慢した。ジョグすらしなかった。その甲斐あってか、1か月のランオフ後、慎重に様子をみながら徐々にスピードを上げてみても、ある程度のスピードなら問題なく走れることを確認。練習を本格的に再開することにした。

3シーズン目で改善したこと

2シーズン目ではサブ3を達成できなかった。

感覚頼みの練習で、痛みをごまかし、ゴリ押しで達成できるほど、サブ3は甘くなかった。

簡単ではあるけど日誌をつけていたので、振り返って、問題点を洗い出し、対策を講じた。

・フォームの見直し
故障リスクの低い、基本をベースにした、自分にとっての最適解のフォームを言語化し、反復して固定することにした。

・ガーミンを購入
感覚だけではなく、データでも自分の走りを振り返って分析できるようにした。

・メインとなる練習を固定
ダニエルズさんの計算式をもとに①閾値走②レースペース走③Eペース走を練習のメインにすることにした。昔から多くの人が取り入れている信用のおける練習方法であること、固定することで比較対象の基準ができるから。その時々で坂練をしたり、ビルドアップ走もするが、メインはダニエルズさんの練習。

・練習前後のケア
どんなに時間がなくても、必ず練習前に、動的ストレッチ、動き作り、ドリル、流し、練習後に静的ストレッチをするようにした。

・ロキソニンの使用を禁止
痛みは身体からの無理をしている注意喚起のサインと判断して、痛みと向き合うことにした。初期の誤った成功体験は中長期の成功を阻害するという典型的な例だった。

・ブログを始めた
色々なことを言語化しながら理解を深め、やったらやりっぱなしにせず必ず振りかえるようにした。アクセス数は殆どなかったけど、ありがたいことに見てくださる方もいてモチベアップにも繋がった。

復帰戦に選んだレース


激坂を含む周回コースのため累積標高が569mもあり、某所の過酷なフルマラソンランキングで岐阜県のいびがわを押さえて一位にランクインするほどきついコースで知られる榛名湖マラソン。

通常のタイムから15分落ちのタイムに落ち着くと言われているので、サブ3:10+0:15の3:25切りを目標に走ることに。

もし3:25を切れれば、2か月後のつくばでサブ3を狙うにあたって大きな自信になるだろう。

レース


故障明け後の初フルの号砲が鳴る。

距離合わせの3キロ強は、集団のペースに合わせて軽く流す。

9月開催の大会とはいえ、高度1000メートルの高地ということもあり、涼しくて意外と走りやすい。

脚の痛みも特になく、今のところはいい感じ。

ふと顔を上げるとお待ちかねの激坂。


確かに今まで走ってきた、ヤビツ峠や足柄峠、富士吉田火祭りロードレースに比べると勾配はそれほどきつくはないけど、間近で見るとかなりイカつい坂だ。

これを5回か。

できるだけ脚に負担をかけないようにストライドを狭くして淡々と登る。途中で何人かに抜かれても焦らずにそのまま登り続けると、写真の上部のところで登り坂が終了。

左折しながら180度折り返すと、今後は急な下り坂が。

前傾姿勢で膝のクッションを利用し、ブレーキをかけないように注意しながら駆け降りる。

ここからしばらくは林道で細かいアップダウンはあるものの、日差しはほとんどないので涼しい上に、下り基調で走りやすい。快適に走っていると左手に榛名湖が見えてきた。

林道から垣間見える榛名湖は趣があり、「おおー良い景色だー」と感動。
(終盤は疲れでそれどころではなくなりましたが)

エイドのボランティアの方々、更には観光客の方々からの応援もありつつ、手を上げたりして感謝を伝えながら走り続ける。

久しぶりのレース。楽しい。本来レースって楽しいもんだよな、と素直に思えた。故障明けの復帰戦として榛名湖マラソンを選んでよかったとも思えた。

その後はちょっとしたアップダウンと平坦区間を経由して、ゴールゲートをくぐり1周目が終了。

タイムを確認すると50分ちょっとで約3分の貯金。

この時点での脚の状態は、左足裏と右アキレス腱にじんわりとした重みがあるけど痛みはない。

不安はぬぐえないけど、今のところ問題なく走れている。最後まで持ってくれることを祈る。

そして2周目。

3分の貯金なので少し速いか?と思いつつ、ゆるやかな登り坂を経由して、再び激坂へ。激坂では足を使わないようにゆっくり登り、下りと平坦区間は体感に任せて2周目終了。

タイムを確認すると88分ちょっと。まだ3分弱の貯金。

今のペースで走れば、激坂を+1分弱で走っても目標タイムは達成できるなと気が楽になった。

しかし依然、左足裏と右アキレス腱にじんわりとした重みがあることに加え、左ハム、右股関節も追加でじんわりと重くなってきた。アップダウンで地味に足にダメージが蓄積されているのを感じた。

そして3周目。

激坂で脚に負担をかけないようにゆっくり登り終え、21kmを過ぎたあたりで、もう半分ではなく、ようやく半分と思ってしまった。

ようやく?まだ半分も残っているのに?

疲労を自覚した途端、今まで感じることがなかった息苦しさを覚えるようになってしまった。

下り坂で脚に負担をかけないように慎重に走るが、1周目や2周目のようにうまく膝を使えなくなってきて、下りのスピードも落ちてきているのが分かる。

しんどくなってきた。

最初気にならなかった細かいアップダウンも気になるようになってくる。

依然として、脚の各部位にじんわりとした重みがあって、何かの拍子に刺すような痛みが走りそうな不安がある。

頑張っても故障するかもしれないし、歩いたり、DNFしようか・・・

と考えてしまった。

レース中に故障をしてしまうと、メンタルも弱くなってしまうものらしい。

亀裂の入ったダムのように次々に走り続けなくても良い理由や言い訳が頭に浮かんでは消えた。

そもそも調整レースだし、タイムを狙うようなコースではないし、誰に文句を言われるわけでもないし、少し歩いても良いんじゃないか?

そうだよ、別にしんどい思いをしてまで走り続けることはない、まずは歩こう、歩けばこの苦しみから解放される、

と考え、それもそうだ、と納得した。

そして歩きかけたその時

いやいや、待て待て、
お前は何を言っているんだ m9(^Д^)

私の中の鬼コーチが声をかけてきた。
※注:良い病院は間に合っています。


m9(^Д^)

お前は少しきついからといって
言い訳を並べてレースを投げようとしているが、
そんなんでレース後に納得できるのか?

故障するかもしれない。確かに故障は避けなければならない。
でも、今は、まだ、痛みもなく走れているだろ?

\(^o^)/

・・・

m9(^Д^)

一時的に負けるのは恥でもなんでもない、
全てに勝つことなんてできやしないからな。

たとえ望む結果が得られなかったとしても、
次に繋がる課題を得られれば、それは上手な負け方だ。

それをなんだ、今のお前は。

このままレースを投げれば、「私は楽園に住んでいて、
適切な目標も設定できないくらい脳内お花畑で、
すこーしきついくらいで尻尾を巻いて逃げ出す負け犬です」
と言ってるようなもんだぞ。

試しにキャインとでも鳴いてみろよ。

\(^o^)/

(・・・相変わらず口が悪いな

m9(^Д^)

負け方としては下の下。

逃げ癖がついて同じようなことがあればまた簡単に逃げ出すだろう。

そんな体たらくでどうしてこの先やっていける。

サブ3なんてどうせできやしない。

他のことも何も成し遂げられやしない。

何者にもなれない。

時間の無駄だ。

惨めな自分を再確認するだけだ。

\(^o^)/

・・・

m9(^Д^)

それが嫌なら。

粘れ!

粘れ!

そう、納豆のように!

\(^o^)/

・・・

m9(^Д^)

・・・

\(^o^)/

今最後になんて

m9(^Д^)

粘れ!

粘れ!

そう、力の限り!
そして狂った犬のように走るんだ!

\(^o^)/

(言い直した)


はいはい、分かりましたよ、走り続けますよ。

今までのレースでも苦しい時はあったけど、というか苦しいことばかりだったけど、ここまで弱気になったことなんてなかったのに。

走らなければいけない理由なんてほんの少ししかないのに、
走らなくて良い理由はたくさんありすぎて困る。

でも、確かに自分で決めたことだ。幸い脚もまだ大丈夫だ。
痛くなればその時はやめればいい。

行けるところまで行こう。

そして4周目

128分位 約2分弱の貯金

残り2周。疲労による落ち込みを計算に入れると目標タイムぎりぎりくらいか。

きつさは変わらないが、痛みを覚えるまで走れるだけ走ると方針が定まれば、何とか耐えられる。

4回目の激坂。脚を使わないように時間をかけて登る。ここは頑張らなくても良い、下りで少しは取り戻せる。

下りで軽快に走れなくなったものの、ブレーキをかけないように前傾姿勢を保ち、ストライドを狭くすれば勝手にスピードに乗って走ることができる。

登り坂でしんどい思いをした後は、下り坂で楽できるし、走りがいのある面白いレースだよなーとその時思った。

榛名湖マラソンはコース以外にも魅力あふれる良いレースだ。

ボランティアの方々から毎周応援も貰える。中には満面の笑顔で「頑張ってください!」と”毎周”同じテンションで応援してくださるおば様もいて、少し休んでも良いんじゃないか?と心配してしまうくらいだったけど、正直有難かった。

それに給食も充実。

申し込み当初は、周回毎に異なる給食が振舞われるのにも魅力を感じ、
レースまでに十分にサブ3を狙えるまでに仕上がっていたら給食を食べまくりのファンランにしようかなー♪と考えていたくらいだ。

実際には夏の暑さもあり全然仕上がらなかった結果、ファンランどころか、撃沈覚悟の分の悪いレース展開を強いられ、苦悶の表情で走るはめになっているけど。

m9(^Д^)
それはお前が十分に仕上げられなかったからで、自業自得だ。

\(^o^)/
はい、返す言葉もございません。

榛名湖そばの売店で自腹で購入したのか、榛名湖を眺めながらアイスクリームを美味しそうにほおばっているランナーの方々もいて、死ぬほどうらやましかった。くそう、サブ3を絶対に達成してファンランでまた走りに来るからな、と心に誓った。

そして5周目。

通過タイムは166分ちょっと。約1分位の貯金。

順調に食いつぶしている。

残り7.8km弱。

泣いても笑ってもラスト1周。

「もうこれが最後か・・・」と思うと、感慨深さと一抹の寂しさを覚え

るはずもなく、

疲労困憊のため何も考えられずにもくもくと登る。

登り切ったところで、なけなしの1分の貯金もほぼなくなった。

そして下り。

37kmのアップダウンを走ってきたこともあり、脚が重く、最初のような軽快さなど見る影もなくなり、泥臭く、ドタドタ走るが、スピード出ず。

これ駄目なパターンだ。

もう間に合わないんじゃないか?

でも3:25は切れなくても、3:30は切れそうだし、それも
立派なタイムじゃないのか?

と一瞬脳裏をかすめるも、

m9(^Д^)
おい!お前!この期に及んで何を腑抜けたこと言ってるんだ!

粘るんだよ!力の限り粘れや!

すかさず私の中の鬼コーチから叱責罵倒、もとい叱咤激励される\(^o^)/

そうは言ってもきついものはきつい。

とりあえず気分転換にサングラスを外してみた。

おお、明るい、ちょっとテンションが上がる。

少しスピードアップ。

しかし、それも一時しのぎ。

すぐにきつくなる。

何か他にテンション上げるようなことはないのか?

考える考える考える。

・・・

・・・

何も思い浮かばない。万策尽きた。



その時、

横から、すーと私を追い越していくランナーの方が。

そのランナーの方の後ろ姿を見ると、レース終盤になってもほれぼれするような綺麗なフォームで、まだまだ余力がありそう。

渡りに船とは正にこのこと。

決めた。

Aさん(仮名)、どこまでも付いていきます。

ストーキング開始。

10メートルくらい離されているけど、それ以上は差が開かないように何とか食らいつく。

離されそうになっても、必死にくらいつく。

絶妙のペースでありがたい。

41kmを経過したところでガーミンを見ると目標タイムの3:25まで残り5分ちょっと。

ここから飛ばしてぎりぎり間に合うかどうかの微妙なタイム。

余力は殆どないけど、重い脚を交互に前に出しラストスパート。

ゴールゲートのある直線に入り、時計を見る余裕もなく、1秒でも速く、前へ前へと、ばらばらのフォームであがくように走る。

そして、一人一人にゴールテープを貼りなおしてくれる(!)学生ボランティアさんの「お疲れ様です!」の声に、「ありがとうございます!」と応えながらゴールテープを切った。

「ようやく終わった」という安堵感と、とにかく必死だったため痛恨の時計止め忘れ。

20メートルほど歩いて気づき時計を止める。

目標タイムである3:25を切れたかどうか分からない。

ふらふらと記録証の発行所に向かい記録証でタイムを確認。

ネットで4秒切れていた\(^o^)/

3:25:31(グロス
3:24:56(ネット)



レース後

・上武大学の学生さんによる無料マッサージ。
攣りそうだった足がマッサージ後には全くハリがなくなってすげーとなった。

・無料のとん汁サービス。
味噌の塩分が疲れた体に染みわたる。絶品。

・榛名湖温泉「ゆうすげ元湯」上記エイドの裏手の20メートルくらい離れたところから、温泉までの送迎バスが発着している。パンフレットについている割引券を使えば250円で入浴できる。

・1,000円の買い物チケット
参加者全員にTシャツではなく、1,000円の買い物チケットが渡され、
会場で軽食や飲み物、お土産等を買える。参加費が4,000円であることをコスパ良すぎで逆に心配になる。

沢山のハムやベーコンのセットが、なんとたったの1000円。お土産に良さそうと思うも、残念ながら保冷剤はないとのことで泣く泣く断念。

・総括

風光明媚な景色を眺めながら、日本有数のタフなコースを走れる。応援も熱い。エイドも充実。コスパも良い。満足度がかなり高い。記録狙いではなく、今度はファンランで走りたい。久しぶりに走っていて楽しいと感じたレースだった。

帰宅後、妻にレースについてのあれやこれを話した。最後に「もう平坦なコースでは満足できないかもしれない」と言った私に、妻がいつも通り、冷静に一言。

「ドMか」


マラソン全国制覇への道 (番外編 サブ3への道②)つくばマラソン へ続く

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