未経験歯科助手教育どうしていますか?
とにかくスタッフ教育は、難しいです。
私も、新人教育に携わる事が年々増えています。
8年ほど前から、
「うちの歯科衛生士の指導をお願いしたい。」と、
依頼されるようになりました。
歯科衛生士の指導って、何?
と、その歯科医院に伺う前までは、頭がハテナでした。
しかし、行ってみてわかりました。
ちっとも働かないんです。笑
先生が、治療をしていても、
アシスタントもせずに、
歯科用品の分厚いカタログをペラペラめくっています。
私が、アシスタントについても、別段気にする素振りも無く、
のんびりと読書?です。
いつもは、歯科助手がいるらしいから、
アシスタントは、私の仕事じゃ無い・・・と、
思っているのかな?
と、解釈し、黙って午前中が終わりました。
休憩に入る前に、院長先生から呼ばれ、
「彼女の教育をお願いしたんだよね。
なにしろ、親子ほども年が違うから、
何を考えているのか、さっぱりわからないんだ。
デンタルショーへ連れて行って、欲しい書籍があるなら、
なんでも買ってあげるよ。と、言ったけど、
『別に・・・欲しい本はありません。』と、断られたよ。
注意をして、辞められるのも困るから、
何も言えないんだよね。なんとかしてもらえないかな。」と。
いやいや、ガンガン注意して、辞められても、
責任は取れません。
私だって、困りますよ。
と、心の中で思っていました。
休憩時間、昼食を食べながら話してみると、
思ったより素直でした。
なんと、ブラッシング指導もどうやってやったらいいかわからないし、
どれが縁下歯石か、わからないと、
話してくれました。
考えてみれば、歯科衛生士学校を卒業して、
そのままこの歯科医院で働き始めたのですから、
誰にも教えてもらっていないという事です。
無理もないかぁと、思いました。
夢は?と、尋ねると、
「早く1000万円貯めて、彼と田舎で結婚すること。」
だそうです。
そうか、だから、残業は引き受けます!
と、言っていたんだと理解しました。
なぜ、歯科衛生士になったのかと、尋ねてみると、
「子育てで仕事を離れても、いいお給料で復帰できると思って、
歯科衛生士を選びました。」
と、言います。
思わず・・・
「ブラッシング指導もできない、
縁下歯石もわからないおばさんの歯科衛生士は、
雇ってもらえないよ・・・。」
と、言ってしまいました。
雇う側としたら、
それなりの経験があると見込んで採用するわけで、
今は若いから、どこででも働けるかもしれないけれど、
仕事のできない年配の歯科衛生士に
魅力を感じる先生は、いませんよね。
そもそも、歳をとっている時点で、
若者よりも不利なわけで、
それでも、頑張って働く人なら、わかりますが、
雇ってみたら、毎日カタログ見ているような歯科衛生士、
いりません。
若者に負けないようにするには、
いい経験を積むしかないんです。
「今、ちゃんと学ばないと、
思ったような未来は、やって来ないよ。
おばちゃんの私が言うんだから、間違いないよ。
世の中、そんなに甘くないからね〜」
と、話した途端、顔色が変わりました。
今と同じように、
就職先は、いくらでもあると、
思っていたようです。
それに、ここの先生は優しいから
何も注意しないけれど、
普通は、クビだよ。
と、言うと、
「そうなんだぁ・・・。」と。
午後の診療が始まって、
先生から私に、スケーリングの依頼が入りました。
プローブを入れてみると、
見本のような縁下歯石があります。
そこで、すぐに彼女に声をかけ、
プローブを渡し、縁下歯石を触ってもらいました。
「これが、縁下歯石ね。」
「へぇ〜」
そうか、新卒歯科衛生士って、このレベルだったんだ・・・。
と、感じた経験でした。
この歯科医院の先生と、歯科衛生士からは、
気に入って頂けたようで、
是非に!と、言われましたが、
その頃の私は、
後輩の教育よりも、自分の成長に力を入れたかったので、
丁重にお断りさせて頂きました。
このあと、なぜか新人教育の依頼が、
増えるようになりました。
しかし、非常に難しいと感じます。
実際、8年前よりも今の方がずっと大変です。
退職代行サービスを使って、
ある日突然退職する人を、何人も見てきました。
先生と一緒に、褒めて褒めて教育したのに、
突然いなくなります。
週に1日の私の出勤日の帰り、
(この歯科医院には、新人教育のために出勤していました。)
「初日に先生から渡されたマニュアル本を見て、
こんなに覚えないといけないなんて、
辞めたくなりました・・・。」
と、告白されました。
ビックリです!
本を見せてもらうと、
確かに、『新人歯科衛生士、歯科助手向け』と、書いてあります。
こりゃあ、いくら何でも無理です。
未経験歯科助手って、昨日まで患者さんですよ。
歯科医院で働き始めたからといって、
急に、何でもわかるわけがないんです。
でもね、
先生だって、人手不足で採用したわけだし、
1日でも早くできるようになって欲しいですよ。
マニュアル本だって、良かれと思って渡したのも、
よくわかります。
それでも、彼女は、頑張っていました。
が、
辞めていきました。
理由は、歯科医院内の人間関係です。
未経験歯科助手への風当たりは、
思った以上にきつかったようです。
確かに、よく耳にします。
「経験者を採用して下さい。」って。
昭和の時代は、
未経験の歯科助手を採用して、
先生の色に染めていったものです。
ところが、最近は、
スタッフから、経験者を希望されるようです。
確かに、いちいち教えなくても動けるのは、
魅力です。
じゃあ、経験さえあれば、
誰でもうまく働けるのか、というと、
そんなことはなくて、
結局は、相性の問題だったりします。
とにかく、人口が減っている今、
歯科医院の存続の鍵を握っているのは、
スタッフの人数です。
先生お一人でこなすには、限界がありますから。
未経験で、歯科医院で働こうと思ってくれた
貴重な存在を、うまく育てていくことが、
先生だけでなく、歯科衛生士にとっても
重要です。
とりえず、歯科衛生士は自分で学べばいいか!と思い、
未経験の歯科助手が、一人でも学べるように、
youtubeチャンネル「歯科助手応援チャンネル」を、始めました。
私も、最初は未経験歯科助手でしたので、
最初に覚えることの多い辛さは、
痛いほどわかります。
忙しく働くスタッフを捕まえて、
「これ、教えて下さい。」とは、言いにくいのもわかります。
だから、一人で学べる環境を作ろうと、
できる限り、専門用語を使わずに、
動画を作っています。
最初の頃の動画は、実にお粗末でした。笑
まあ、今でも、手探りですが。
現在、先生方に、
未経験歯科助手を採用したら使って頂きたい
ひとりセミナーを作成中です。
出来上がりましたら、
noteで発表したいと思っております。
乞うご期待!