与党Aと与党B(国民民主党の予算案賛成について考える)
国民民主党が衆議院で予算案に賛成してニュースになっています。しばらく経過を見てみないとこれについての評価は難しいと思っていますが、個人的には予算案に賛成したこと自体は肯定的にとらえています。それは、おおざっぱな論ですが、以下のような考え方を私はしているからです。
一般的に政治を見るとき、与党か野党かという話になります。小選挙区制度と関係する二大政党制もこういう考え方に基づいているのだと思います。しかしそれぞれの政党が拠って立つ政治的、社会的な主義主張によって考えると、現在ではそのような単純な話にならないと思います。
ソ連崩壊以前、「社会主義国家あるいは共産主義国家」vs「資本主義国家」の対立が成り立っていた時代には、政党はどちらかの国家体制を選んでいましたので、それによって政党を二分することができたでしょう。具体的に言えば、社会党・共産党と、自民党に。
しかし今の日本で、社会主義や共産主義を根拠に国家を作るのが現実的だとはもう思われないはずです。そうなると上のような政党の分け方は成り立たなくなります。資本主義、社会主義、共産主義というはっきりした対立が失われたけれどもしかし政治は旧来のまま続けられていて、政党は「現実的な政党」と「理想を語る政党」といったぐらいのグループ分けになってしまっているように見えます。共産党は共産主義の実現という目標を捨てていないと思いますので、そういう意味では以前のコピーの「たしかな野党」は言い得て妙ですね。
そして資本主義に代わる別の社会体制、経済体制が見出せない今必要になっているのは、資本主義に基づいているという意味で「現実的な政党」だが、現在は政権を持っていない政党なのだと思います。なぜ「現実的な政党」が2つ必要かというと、権力を持つとその政党、政治家は腐敗していくと思うからです。もし「現実的な政党」が2つあれば、ある党が政権を持っていて腐敗したり政策が陳腐になったときに、もう片方の党が新たに政権を担いその腐敗をリセットし、政策にも新しい風を呼び込むことができるのではないでしょうか。
ここで国民民主党の話に戻ると、与党と野党の意味を現在権力を持っているか否かで考えると国民民主党は明確に野党です(玉木代表も記者会見でそう言っていました)。しかし上の「現実的な政党」と「理想を語る政党」という対立で考えると前者に当たり、そういう意味では「与党候補(与党B)」と言えるかもしれません。野球でいえば二軍ですね。予算案に国民民主党が賛成して「与党になるのか」とか「もう野党じゃない」とか言われましたが、現政権(与党A)に加えて与党候補(与党B)も与党というなら確かにそうですとしか言いようがないですし、そのような批判は的外れだと思います。
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